大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

雨のなか窓全開で暮らす … 深い軒や窓の工夫 ~ シン・ツユアケにあたって


こうブログに書いたのが、7/2稿。

ところがどっこい、7月に入ってからは梅雨前線は消えているのに、
ぐずついた雨がちな日が続き、戻り梅雨の様相。

それも天気予報を見ると、今日あたり「シン・ツユアケ」!
今日はにわか雨はあったものの朝から夏休みの陽射し。
朝から蝉と子どもたちが騒いでいます。

昨夜は、戻り梅雨最後の大雨。
それでも窓は全開! 雨の音と風を感じながら寝ていました!
この心地よさは、言葉にできません。


それというのも、我が家は軒が深いから。

特にインナーバルコニーのある部屋には、雨はまったく吹き込んできません。
雨上がりの朝も、バルコニーの床さえ濡れていませんでした。


極端なハナシ・・・
私の理想は、こうなんですよね! NHK「ちむどんどん」のやんばるの家。

雨端(アマハジ)という深い軒のお陰で、南東側は窓どころか壁もほぼありません。

「ちむどんどん」でご存じのように、
沖縄の伝統民家には玄関もなく、直に縁側から出入りします。
撮影はスタジオのセットでしてるそうですが、実際ならすごい虫でしょうね。

日本の民家も軒が深いので、雨が降ったぐらいでは縁側を閉じたりしません。
そして普段は、縁側から直に出入りします。

何年か前に建築家の伊礼智先生にお会いしたときに、おこがましくも、
現代の家でもそういう提案があればいいのに…などと申し上げたことがあります。
我が家もそんな原案も描いてみましたが、敷地的に断念しました。




話しを戻して・・・。深い軒は雨から家を守ってくれます。
2階はもとより1階の掃出し窓を全開放していても、
雨が室内に入ることはありません。


小雨なら、こんな☝感じ。
けっこう大雨でも、こんな☟感じ。


深い軒は雨だけでなく真夏の直射日光も防ぎますから、
外壁の耐久性の向上にも大きく寄与します。

梅雨に限らず雨の夜、
エアコンなしで窓を開けっぱなしで心地よく寝るもう一つの工夫は、
通風(採風)雨戸。風を通しながら施錠できます。

ルーバーの角度は自由に自由に変えられるので、
外の明りを採りながら雨を防ぐこともできます。

これは既存の雨戸と入れ替えることもできるので、オススメです。

北側は、住宅密集地なので余地がなく、軒を深く出せませんでした。
そこでハイサイドライトは横滑り出し窓に。

窓の下側だけ開くので、雨が降っても開けっ放しで採風できます。

こうして雨が降っていても外とつながる家。
閉め切ってエアコンで除湿なんてことはしなくても、気温次第で過ごせます。
湿度はそれなりに上がりますが、土壁と無垢材のお陰で不快感はありません。


そんな楽しい梅雨も、もう終わり。
これからの盛夏、敢えて西からの陽射しを採り入れる設計にした窓には、
申しわけ程度に簾を掛けてみました。


上側の窓☟はFIX、障子を入れて断熱。

(逆光だと見えてるように写らない…)

下側は☝横滑り出し窓で採風。

実質、今日から真夏!
今日は最高気温は31℃でしたが、風があったので、
家の中は29℃台でも窓全開で風がそよいでて、エアコンなしで過ごせました。

大阪・関西万博のシンボルが世界最大級の木造建築って … しかも伝統的構法 ~ 我が家と同じ!規模違い過ぎ!!

先日(6/28)我が家を建ててくれた日伸建設建て方現場​を見学に行ったのを機に、
2年と数か月前の我が家を思い返してみる・・・



昨日7/18は、2025年の大阪・関西万博開幕1000日前イベントが開催され、
公式キャラクターの愛称が「ミャクミャク」に決まったと発表されました。

1970年の大阪・千里万博に両親に連れられ十回ほど見に行き、
社会科の教員になろうと心に決めた当時10歳の万博少年だった私は、
再び大阪で万博が開催されると発表されたとき、を膨らませたものでした。


​(☝これらのパビリオンは当時、鉄骨で仮設されたものだったようです。)​​

けれど今度の万博には、それからいろいろ闇の部分も見えてきて、
気分も萎えてきています。​
それというのも、まずは閉幕後の跡地にIR(カジノ)を開設することを前提にしていること。

IRの賛否を問う住民投票直接請求へ有効署名が法定数を超えたのに、
大阪市廃止「都」構想の住民投票を2度もやるほど住民投票好きの行政当局は、
これを拒否する構えです。

それに、IRに公費を投入しないと断言していたのことへの公約違反も問題ですし、
いろんな利権にまみれているのではと、疑惑が膨らむ一方です。

冒頭のミャクミャクも、今の大阪を象徴しているような異様なデザイン。
「吉本」に代表される歪められた大阪のゲスい印象を象徴しているようで、
画像をアップする気にもなりません。

横浜も和歌山もカジノの話しは市民の良識の力で消えたのに、大阪は・・・。
IRのために万博をしたいのかと、万博爺さんも興醒めしてしまいます。


そんななか、ひとつ、嬉しい報道が!
なんと、大阪・関西万博の会場のシンボルとして設けられるリング型の建物が、
直径約600m、約6万平方mの世界最大級の木造建築になるというのです。

おお~っ! これって、伝統構法の我が家と同んなじ建て方やん!!



これだけ大きいと、我が家のように天然乾燥無垢材で、
地場の工務店が建てるってことにはならず、
エンジニアリングウッドで大手ゼネコンが建てるんでしょうけどね。

過去稿(​2020/6/18​)で触れたように・・・
せっかく木造で新国立競技場を建てたのに、その建設にあたり、
熱帯雨林皆伐され地域住民が困窮!なんて問題が起きなければいいんですが。



何年か前、このブログで何度も触れている「​木の家ネット​」の事務局に、
大阪・関西万博で伝統構法のことを世界に向けて発信できればいいですね!
みたいなことを無責任に言ったことがありました。

2005年の愛知万博愛・地球博」で人気を博した
となりのトトロに登場するサツキとメイの家の「本物」を建てたのは、
木の家ネット加盟の大工さんたちだと知ったからでした。




その愛知万博の跡地は愛知最大級の公園モリコロパークとして活かされて、
愛知県民の憩いの場となり、日本を代表する観光地のひとつとなりました。
 

更にこの秋には、一部がジブリパークとしてリニューアルオープンとのこと。
木の家ネットの皆さんが建てた「サツキとメイの家」を中核に、
日本の文化が世界中から観光客を呼び込むことになります。

それに引き換え、大阪・関西万博の将来が賭博場とは・・・。
大阪の知性・品性の乏しさを世界に曝すような発想の貧困な構想では、
大阪人として肩身が狭い!



大阪での万博は、今度が3度目。

1970年の日本万国博覧会の跡地は、天才芸術家(故)岡本太郎の「太陽の塔」を核に、
万博記念公園」としてリニューアルを続け、
すっかり府民の憩いの場、賑わい創出の拠点として定着しています。

1990年の国際花と緑の博覧会は、今のSDGsを先取りするかのような万博。
その跡地も府民の寛ぎや文化やスポーツの拠点としてすっかり定着。
その迎賓館で、私たちの息子夫婦も結婚式を挙げました。
 
そして、千三百数十年前(難波宮)から都市開発が始まり、緑の極端に少ない大阪に、
両方とも貴重な広大な森を提供しています。

こんど2025年の大阪・関西万博が、
この世界最大級の木造建築の建設をきっかけに、
それを核にした日本文化の世界への発信拠点であり続けられればと思います。

そして生物多様性ホットスポットAランクの海浜地域という夢洲(ユメシマ)​の特性が生きる
世界有数の大都市圏のなかにある野鳥の楽園であり続けられればと思います。

そうすれば、大阪市府民にとどまらず日本国民みんなの財産となり、
まさに自然を生かしながら発展してきた日本らしいSDGsの発信拠点として、
世界中の財産となります。



大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。
跡地がカジノでは、まったくチグハグというもの。

未来社会のデザインは、今やSDGsサステナブルを避けて通れません。
それは、前世紀型の工業製品やエネルギー消費やAI偏重思考からの脱却が本質のはず。
目先のカネではなく、いかに環境に負荷をかけずに持続可能性を担保できるか。
木の家ネットの皆さんがそれを一部具現化した「サツキとメイの家」は、
まさにそれを語りかけていると思います。

こんどの世界最大級の木造建築は、
まさにSDGsのSustainable Developmentの象徴となり得ることでしょう。


(2025年日本国際博覧会協会)​

デザインを担当する建築家の藤本壮介氏は、
「日本には古くから木造建築の歴史がある。伝統的な建築の趣ももたせて、
万博で、日本の建築を世界にアピールしたい」とおっしゃっているそうです。

その本旨が跡地利用にも本質的に生かされるとしたら、
我が大阪での関西万博も楽しみ!というもんです。



大阪・関西万博のシンボル大屋根のニュースから、
我が家の2年ちょっと前の様子を思い返しながらアレコレ考えてみました。
両方とも百年二百年後の世界に贈れるものになってほしいものです。

猛暑日にエアコンなしで過ごす … 案外いける? ~ もう梅雨が明けてしまったって!

このところの暑さは、いくら暑い大阪でも異常!
今日(7/2)も枚方の外気温の最高は36.0℃(我が家も​tenki.jp​も)。

なんと近畿地方では6/28に梅雨が明けちゃったったとか!
平年値は7/19頃​。​観測史上最も早く​、この夏の水不足や農作物への影響が心配。

以来、夏休みのような晴天が続き、気温がぐんぐん上昇。
それで日中は老犬のために、
1階のみエアコンを28℃設定で使い始めました。

昨日は最高気温が38℃を超え、夜になっても気温が25℃!
これでは我が家がいくら風通しがいいといっても、
入ってくる風が体温より高ければ、どうしようもありません。

昨年の同時期、2021.7.10稿を見返してみました。

去年の今ごろは、最高気温30℃を超えるか超えないかってとこだったのね!

けれど、早過ぎる梅雨明けのこの猛暑も予報によれば今日まで、
明日からは雨模様で気温も落ち着くとのこと。

そこで今日は、朝から晩までエアコンなし暮らしをしてみました。
 
ということで、朝。玄関には強烈な陽射し。


でも、深いケラバと庇とが、影をつくります。


朝陽の当たる2階の東側の窓には、簾をかけました。


[朝8時:実測データ]
    外気    1階    2階
気温:30.5  30.0  31.5(℃)
湿度: 57    60    52 (%)     

2階の室温が外気温より高いのは、
梅雨が明けて猛暑が始まってからも2階はエアコンをまだ稼働していなかったので、
夜中じゅう夜風を通してはいるのものの蓄熱しているせいかと思われます。

けれどシーリングファンは回しっぱなしなんで、

体感的には何とかしのげる感じです。

[昼13時:実測データ]
    外気    1階    2階
気温:35.5  32.0  34.0(℃)
湿度: 45    55    50 (%)

昼になっても、深い軒のお陰で、南面には直射日光は当たっていません。


1階の掃出し窓を全開していても、ギリギリセーフってところです。


この夏場の日射遮蔽については、去年の夏至の日の投稿でも触れました。

[昼14時:実測データ]
    外気    1階    2階
気温:36.0  33.0  34.5(℃)
湿度: 40    50    45 (%)

さすがに室温が35℃に迫ると、いくら木組み土壁の家でも暑い!
でも、Tシャツ1枚、扇風機ブンブンで、寛ぐ分には何とか過ごせます。

同条件(エアコンなし窓全開)で、今どきの高気密高断熱住宅なら、どうなんでしょう?

[昼15時:実測データ]
    外気    1階    2階
気温:36.0  33.5  34.5(℃)
湿度: 40    50    45 (%)

今日の暑さはこれがピーク。エアコンなしで乗り切れそう!


さすがに昨日みたいに最高気温が体温を超えるようだとエアコンは入れるべきでしょうけど、
猛暑季の災害時に停電しても、団扇があれば何とかなりそうです。

この時間になると西陽が射し始めるので、
夏場には西の窓には簾が必須です。


[夕17時:実測データ]
    外気    1階    2階
気温:34.5  33.0  34.0(℃)
湿度: 50    55    50 (%)

室温も多少は下がってきましたが、
この中で夕飯の支度に煮炊きをするのは、さすがにシンドイと思います。

環境省によれば、室温目安は夏は28℃が推奨されています。
これを超えていたら、エアコンで室温を28℃に下げようという意味。
素直にエアコンを点けるべきでしょうね!



これで夕立でも降ればいいんですが、
今夜も熱帯夜になりそうです。

[晩20時:実測データ]
    外気    1階    2階
気温:32.5  32.0  33.0(℃)
湿度: 55    55    50 (%)

寝る前に寝室にはエアコンを入れておきましょう。

・・・というわけで、最高気温が35℃以上の「猛暑日」でも、
なんとかエアコンなしで乗り切ることができるということが分かりました。

けれどそれは、朝からずっとエアコンなしで、
室温が上がりきる昼過ぎに向けて体を慣らしていけばということでしょう。

そんな真夏の朝、木組み土壁の我が家は、
夏休みに泊まった田舎の民宿のような空気感。
そして昼の暑さのピークでも、都会の住宅密集地とは思えない空気感。

決して暑くないわけではないのですが、これは言葉にするのが難しい。
そんな空気感のこと、この石場建て伝統構法の家を建ててくれた
日伸建設​の営業マンが同様のことを言っていました。

それは、エアコンなんてまだ設置されてない日伸建設のオープンハウスに、
日中ずっと待機していての感想だそうです。

​​(☝link)無垢材で建てられた、内壁はバウビオに土佐和紙の建売分譲住宅にて。

それにしても、脱炭素とかいって冬を旨とした家づくりを目指す動きが喧しいけど、
この温暖化の時代に少なくとも大阪では夏を旨とすべし。
「ドイツでは・・・」とか、どうよ!

​​(在日ドイツ商工会議所より☝)

日本古来(軒を深く開口部を大きく自然素材)の家の様式で
できるだけエアコンに頼らずにすむってのが、温暖地域のSDGsというもの。
エアコン空調を前提に軒も窓もなくして太陽光発電義務化なんて、本末転倒でしょ!

明日は天気が下り坂、恵みの雨を期待したいところ!
気温も一日中26~27℃との予報。
この戻り梅雨?に、やっぱり明日は一日中エアコン除湿しておこうかな。

<追記7/3>
朝からかなりの雨!
室温は30℃を下回りました・・・湿度は70%超えだけど。

深い軒のお陰で、掃き出し窓全開で雨は入ってこないけど、
そよ風も、雨音に小鳥のさえずりも、心地いい。

今日もエアコンは、いらないな!

今週一週間はずっと雨がち予報・・・梅雨明け宣言は何だったの?

西陽の射すキッチン! … それってセオリーに反するんじゃ? ~ 日暮れまで日光を楽しむ家

平年より遅れていた近畿の梅雨入り。
それも明日週末からか来週からか?との予報。
梅雨前の一年で最もいい時候も今日あたりまでのようです。

昨日今日は晴れて最高気温は30℃に迫りましたが、
まだ爽やかな風も吹いていて窓からの風が心地いい。
そして夏至の迫る今ごろは、西陽の爽やかな光も心地いいんです。


(キッチンの窓から射す西陽・・・見えているようには撮れませんが。)​​

我が家は、東側が道に面して間口が狭く、
南面と北面は長いけど両側とも隣家に挟まれているという、
細長い形をしています。

なので、南面の日射取得はあまり期待できないので、
朝陽と夕陽もしっかり取り込める窓配置にしてあります。


春/秋分の日の頃だけは、南の窓から少し陽が射します☝が、
夏場は長い軒の陰になるので・・・ま、それはいいんですが、
冬場は隣家の陰になってしまい、1階の南の窓には陽射しが入らないんです。

夏至の頃は太陽が東北東から昇るので、東面の玄関に陽が射すだけでなく、
トイレの北面の高窓からも朝の光が射し込み、
爽やかな朝のトイレタイムが楽しめます。


朝陽は、そうして目覚めを促す効果があるので、
この家の間取りを検討し始めた当初はDKに朝陽を採り込もうと、
東側にキッチンを向けてはどうかと考えていました。

けれど紆余曲折、結局は西側(南西角)にキッチンをもってきて、
夕方に仕事から帰宅するとキッチンが明るいというコンセプトにしました。

システムキッチンに向かって西面には、
横に細長い窓が上下に並んでいます。

上側の窓はFIX(はめころし)で開閉できない純粋な明り取り。
低い光線のギラギラ感を抑えるため、障子を入れてあります。


食器棚を挟んで下側は、シンクの手元への採光と、採風を兼ねた横滑り出し窓。
蛇口にキラリと夕陽が反射するのが、お気に入りです。


この時季の日没前は、
西北西側の隣家の向こうに太陽が隠れてしまう夕方6時前まで、
西の窓からリビングの奥まで光が射します。


東の玄関からは、東側のお向かいの家の反射光が入ってきて、
決して明るいわけではないんですが、とっても陰影が美しく、
夕方帰宅後の疲れが癒される心持ちになります。


そして玄関を開け放しておくと、東西に風が抜けていく・・・。
ご近所の夕餉(ユウゲ)の香りも、ご近所の子どもの声もこのひと時を彩って、
街の何気ない平穏な暮らしをしみじみと想わせてくれる我が家です。

とはいえ、もう梅雨間近。
この夕方の光と影のショーも、名残惜しいけどしばらくお預け。

夏至をはさんで梅雨が明けた頃、またその頃のお天道様を楽しみに、
これからの梅雨は無垢材木組み土壁の家の本領発揮です!

築古フルリノベーション住宅 ~ 無垢材・自然素材で地域密着の工務店が手掛けると・・・

今日(6/2)の枚方はとってもよく晴れて、最高気温30.7℃!

石場建て伝統構法の我が家は、窓を日中ずっと開け放して、
機械換気なし、扇風機なし、エアコンなし。

それで、部屋によって差はありますが、
概ね1階は25.5℃、2階は27.5℃、湿度は40%前後。
不快指数は70程ですから、暑くもなし風がそよいで心地いい。

エアコンが必要なのは、1年の半分ぐらい。
だいたい7月8月前後3か月ほどと、12月1月前後の3か月ほど。

なかでも梅雨前の日の長い今頃が(秋雨の時季が過ぎた秋晴れ頃もですが)、
エアコンに頼らず家の中で過ごす快適性を堪能できて、
外気に開放的な日本の伝統的な家の建て方の良さを最も感じます。

これは、気密断熱を極端に追求して窓を小さく閉鎖的につくったような
​今どきの家では、決して味わえない贅沢な季節の過ごし方です。

​​(今夕6時過ぎ、我が家の南西側)​​


さて、
先週土曜日(5/28)は、石場建て伝統構法の我が家を建ててくれた棟梁の手による
分譲(建売)住宅の竣工披露会を妻と見に行ってきたことを、5/28稿で紹介しました。

そこで、このウッドショック、諸物価高騰の折、
無垢材・自然素材にこだわった注文住宅はなかなか手が届きにくいなか、
こだわりの分譲(建売)住宅という選択肢の可能性を考えました。

そしてその日のうちに返す刀で(?!)日伸建設​ではなく他のエリアの、
築古家屋のリノベーション物件の完成披露現場に行ってみました。

築古家屋のリノベーションといえば、
日伸建設​が築50年に迫るの伝統的家屋を再生した事例を、2021/4/13稿で紹介しました。


​(参照2021/4/13稿☟click) 

けれど今回見に行ったのは、築55年に迫ろうという家ではありますが、
いわゆる古民家的な価値のある家ではなく、
普通なら「古家付土地」として解体前提の土地物件になるthe昭和!の家。

物件情報を調べると、ここも手掛けたのは地域密着の工務店
健康な暮らしをテーマに自然素材や無垢材を大切にした
家づくりをしているとのことで、興味を持ったわけです。

昭和40年代築ですから、まだ集成材は使われない時代で柱は無垢材とはいえ、
ダイニングキッチンや洋室は床も壁も化粧合板だったはず。
和室も今は懐かしい綿壁(繊維壁)だったでしょうし、
断熱材もなく、ペラペラアルミサッシかペラペラガラス木製窓枠だったでしょう。

それがどうなったか?!



ほとんど骨だけまで解体して、傷んだ柱などは交換。
屋根はガルバリウム鋼板に葺き替え。
耐震補強、雨漏り箇所も完全補修。



断熱対策はグラスウールを入れ、
ペアガラスアルミサッシに総入れ替え。


 
フローリングは無垢杉材。
壁は居室は全て漆喰塗(一部ビニルクロス)に。
古家の臭いも新建材の嫌な臭いも全然しません。

気になる水回りは、もちろん食洗器付の最新システムキッチン。
増床して1616(1坪)ユニットバス、洗面所も1坪に。
居間とダイニングキッチンだったところは、LDKに。
 


敢えて一部、the昭和レトロを残してあるところがご愛敬。
それで広々40坪ほどの南向き庭、駐車2台というゆとり!



このエリアで土地60坪弱、建延30坪弱のこの物件。
新築ならゆうに6000万円は超えるだろうところ、
フルリノベで4000万円ほど!

確かに、現代の高気密高断熱性能は、数値の上では期待できません。
けれど、このエリアで4000万円で新築といえば、土地20坪クラス、
ビルトインガレージ3階建ての新建材ローコスト住宅。

「豊かさ」って何なんでしょう?
う~ん・・・、唸らされてしまいました。
日本の家は余っていて、2040年には空き家率が4割にもなるとのこと。

この古家、ストリートビューで見ると、かつての状態が写ったまま。
経年劣化でパっと見はかなりのボロ家のように見受けられます。

けれど当時は、建築技術こそ今のように発達はしていなかったけれど、
民家形式ではなくても日本の気候風土に合った南に開放的な風の通る造り。
エアコンも断熱材もない時代に、快適に過ごせることが念頭にあったわけですから。

それに、今の家には無い窓の上の庇が当たり前のごとく!
それも今となっては贅沢でさえあります。

そして注文住宅であれば、多くは一定水準以上の普請でもあります。
それがこんなふうに現代の住まいとして自然素材や無垢材で蘇るなら、
築古フルリノベーションは大いにアリではないでしょうか。



こんなに空家が余り増え続けているのに、
このリノベ物件がもし古家付土地として解体更地物件となっていたら、
小さい新築3階建て2軒になっていたことでしょう。

冒頭に挙げた日伸建設が再生した伝統的家屋も、
古家付土地として小さい新築3階建て3軒になる寸前だったところです。

そうなっていたら、瀟洒な住宅地という環境は徐々に台無しになっていき、
景観も損なわれてその地域の価値も下がっていくことになります。

ZEHやHEAT20やと数値競争という土俵ではないところで、
古くても価値ある家を現代の技術で生かし続ける・・・。

健康的な自然素材や無垢材を使ったゆとりのある家を、
手ごろな価格で手に入れる・・・。

新築偏重ではなく、良い家を末永く引き継いでいく価値観への転換。
太陽光発電パネルの新築住宅への設置義務化なんかより、
よほど本来の​SDGs(持続可能な開発目標)​だと思います。

今、一戸建てを考えるなら、ホームインスペクション(住宅診断)ができて、​
木造を知り尽くした地域密着の工務店に、
築古フルリノベーションを相談してみるという選択肢はいかがでしょうか。

(※ 参照click☞ 日本ホームインスペクターズ協会)

建売り分譲住宅 ~ 無垢材・自然素材にこだわる地域密着の大工直営工務店が手掛けると ・・・

今日は、石場建て伝統構法の我が家を建ててくれた
日伸建設の棟梁の手による、枚方市牧野阪の分譲(建売)住宅。
この​facebook☟​を見て、9割5分完成披露現場に、妻と見に行ってみました。



玄関に入ると、爽やかな空気。
内壁材が、石膏ボードではなく、合板でもなく、調湿自然素材​バウビオ​に
土佐和紙張りって、建売り仕様じゃないよね・・・トイレの中まで!


洗面洗濯脱衣室は余裕の2.6帖!・・・いわゆる狭小住宅の部類なのに。
洗濯物の室内干しにもアイロンがけにも使い勝手良さそうです。

もちろん湿気で結露することもないので、カビの心配もありません。

1階奥の多目的室。ドーンとオープンクローゼットスペースも。
窓から隣家に手が届く住宅密集地なのに、
効果的な窓配置で真っ暗ってこともなく、意外と風もよく通っていました。

建具は、建売りだけに無垢板とはいかずフラッシュ(中空)戸ですが、

この階段下のたかが物入れ扉をとってみても、
無垢板の質感を思わせるこだわり建具!

階段もコスパ的に一枚板とはいかず接ぎ材とはいえ、無垢材の板は質感が違います。

疲れて帰宅してきて2階のリビングに上がる度に、
足触りもよく温かみも感じそう。


リビングと階段室は無垢建具で仕切られていて、

開放感と温熱環境が両立。

左側の内窓の下端と右側の引戸の中桟が一直線というだけでなく、
割付け寸法も計算ずくの手作りこだわり無垢材白木建具。


手刻みがウリの日伸建設とはいえ、建売分譲はコスト面からプレカット。
ですが、カウンターテーブルは無垢自然木の棟梁お手製の手刻み。

我が家も採用したタイル張り。棟梁セレクトが、とってもオシャレ!

主婦(夫)的には最も(?)気になるキッチン。

シックなリクシルの食洗機付で、とっても使い勝手が良さそうです。

2階にもオシャレな造作洗面台。

もちろんトイレも、1階2階にあります。

柱は総檜無垢材!
もちろんリビングの開放的な勾配天井も丸太梁も無垢材。


フローリング(建売りにあるまじきレッドオーク!)も、無垢材。

狭小住宅ということでLDKは面積的には決して広くはないのに、
間取りの抜け感から広々と感じるだけでなく、
高級感さえ醸し出しています。

小さい家なりに収納もよく考えられてて、
2階の奥の部屋は左右対称になっていて、クローゼットが2つあるので、

2人分の子ども部屋にもできます。

そしてその上にはロフトまで!

子どもの遊び心だけでなくお父さんの遊び心もくすぐります。


大容量収納としても重宝しそうです。


来週末には、家具も仮配置してみての展示になるそうですが、
若夫婦の住まいを想定した具体的な暮らしが見えてくるのではないかと、
そんなイメージを膨らますのも楽しみです。

建売分譲とはいえ、ここまで無垢材・自然素材を多用すると、
さすがにローコスト住宅の価格帯というわけにはいきません。

けれど、このウッドショックやあらゆる物価が高騰するなか、
これからの都市部の住宅の基本的なあり方の提案として、
おおいに選択肢になり得るのではないでしょうか。

そして、この高品質を適正価格で提供できるのは、
地域密着の実直な大工直営工務店ならではだと思いました。

我が家を建ててくれた工務店だからといって、
決して日伸建設の宣伝という趣旨ではないんです・・・
そりゃあ、贔屓にはもちろんしてますけど。

何より、健康や心の豊かさよりコストを優先するのか、
住まいと暮らしの本質的価値を優先する家選びか・・・。
 
百聞は一見にしかず! ぜひ目の当たり体感してみてはと思って、
今日見た感想を書き留めてみました。

(お問い合わせ​☟link​)
 
<参照>
この分譲住宅の建築中現場を見に行ったときの投稿☟
2/26稿「建築現場に見学に行って思ったこと…建築会社選びの着眼点~お勧めできるお付き合い」
・・・こうしてみると、建売りとしては異例の建築期間の長さ。手間暇かかってます。

木造建築は火災に弱い? … 炭化層/ヒートブリッジ ~ 木造保育園の全焼から

先日(5/12)、木造平屋建ての保育園が全焼してしまいました。
三重県いなべ市の市立笠間保育園。出火原因は調査中。
夜中だったこともあり、ケガ人がなかったことは幸いでした。

この園舎は、建材や内装に県産スギをふんだんに使ったことが特徴で、
同年の木材利用優良施設コンクール林野庁長官賞を受賞した建物だそうです。

「木のぬくもり」をコンセプトに建築されたこだわりの園舎。
建築にあたって園長先生が最初に提示したイメージは、
「みんなが一つになれる」「こどもたちが自由に裸足で走り回れる」保育園。


​設計:株式会社アール・アイ・エー​
(link☞ ​建築作品デザインストーリー​ / ​建築作品ギャラリー​)

2013年3月に竣工してまだ十年も経っておらず、
百年後が楽しみな建物だっただけに本当に残念ですし、
何より子どもたちのショックを思うと、本当に悲しいことです。

出火原因は、前日に屋外で使った七輪の疑いがあるそうです。
園児と七輪で豆を焼いて食べるなんて、本当に素敵です。

子どもの頃から直火の扱いに親しんでおくことは、とても大切なこと。
でも若い先生方も、もしかしたら七輪の扱いに不慣れだったかもしれません。

七輪で注意しなければならないのは、消火後の「炭の始末」。
水を掛けて火が消えたと思っても、炭の内部で燻っているものです。
酸素を遮断して完全に消火を確認しないと、屋内に収納してはいけません。

それと同園には、スプリンクラーが設置されてなかったそうです。
建築基準法的には大丈夫だったんでしょうけど、
私の地元大阪府立の学校でも要望に反して設置されていない学校があります。

子どもたちがいる時間の火災だったらと思うと、ゾッとします。
法律も法律ですが、まず子どもたちの安全安心の保障を、
学校・園の設置者は第一に考えてほしいものです。


さて、こうして木造建築が火災に遭うと、
まず「木造」であることが問題にされる傾向があるように思います。
震災でも、木造建築の被害がことさら強調されるようです。

でも実際に火災において、
木造であることは、他の構造に比べて問題が大きいのでしょうか。
富田林市の「寺内町」、大阪府内唯一の「伝統的建造物」指定保存地区にある
19世紀後半築の中井家住宅が全焼してしまったことを取り上げました。

そこで、黒焦げになっても崩壊せず鎮火まで躯体を支え続けた木造住宅のこと、
火災における新建材の化学物質による燃焼ガスの問題について触れました。

先述の設計会社​アール・アイ・エー​によると、
「万一の火災に備えて燃え代を設計時に考慮することで、
床、壁、天井の露出部分も木構造でありながら、建物の耐火にも配慮しています。」とのこと。

この火災、施設規模が1700㎡と大きいとはいえ、鎮火に8時間もかかったとのこと。
それでも8時間も燃えて黒焦げではありますが、
​建物が崩落せず残っているところもあるようです。


​​東海テレビ5/12より☝link

なので、もし仮に中に人がいたとしても、
建物が焼け落ちる前に避難する時間は確保できていたはずだし、
有毒燃焼ガス(CO等)により意識を失い避難できなくなるリスクも低かったと思われます。

私が実際に見た建売住宅の火災現場、柱は建築基準法最低ライン3.5寸(10.5㎝)。
燃え代が考慮されていたとは言えませんが、それでも鎮火まで1~2時間で、
合板は焼け落ちたものの、柱や梁は表面が焦げただけ。

化学物質系の焦げ臭がたちこめ、エアコンは溶け落ち、
不燃材であるはずのビニルクロスやグラスウールも焼けています。


(株式会社OKUTA LOHAS studio所沢店のブログより​​link)

要は、勢い良く燃えているのは、木造躯体というより家財や付帯物の方。
このことは、軽量鉄骨造でもコンクリート造でも同じこと。

火災の燃焼温度は1200℃に達し、3m離れた隣家が受ける温度も840℃に達するそうです。
そして木材の着火温度は、260℃と言われています。

そう言われれば確かに木は燃えやすいです。
けれど木は燃えると表面が焦げて「炭化層」になります。

炭化層の内部には熱が伝わりにくくなり、また酸素の供給も断たれるので、
それ以上は燃え進みにくくなります。
ある程度の厚みがある木であれば、燃え進む速さは0.6㎜/分ほどだとか。

なので建築基準法最低ライン3.5寸(10.5㎝)の柱でも、
例え火に30分間さらされても、表面から2㎝弱は焦げるだけで内側のほとんどの部分は残るそうです。

ひと口に木造と言っても2×4なら太い柱はなく、細い材と合板だけの躯体なので、
在来工法より焼け落ちるのは大幅に早いと推察されます。

また木材は熱伝導率がかなり低い(約0.2W/m・K)のに対して、
鉄は熱伝導率が高い(約80W/m・K)ので、現代の木造在来工法の金物は、
強度確保に貢献する一方で、火災により木材に熱を伝導してしまいます。

柱やが炎にさらされると表面が焼けるだけでなく、
金物がヒートブリッジ(熱橋)となって木材を芯から発火させかねません。


軽量鉄骨造だと、その鉄そのものが柱や梁なので、
まず家財から炎が上がると構造全体が急激に高温になり、
躯体は燃えなくても出火箇所以外からの発火を誘発しかねません。

それを考えるとこんな構造体は、地震には強いかもしれませんが、

火災という観点からはどうも疑問を覚えます。

(同様に鉄の熱伝導率の高さは、冷気を防ぐ断熱性能にも悪影響を及ぼします。)

それに、実験で5×10㎝の木と鉄の梁に荷重をかけながら燃やすと、
鉄は5分後に元の強度の半分以下に、10分後には20%程度しか残らず、
荷重でぐにゃりと曲がってしまうそうです。
それに対して、木は10分経っても80%の強度を保ちます。

また温度で言うと、同一条件に設定した木と鉄の建材を加熱していくと、
鉄は550℃で強度が50%ダウン、木は5%ダウン。
木は700℃になっても23%しか強度が落ないというデータもあるそうです。

火災では、鉄骨だと熱で曲がって構造を支えられなくなるかもしれませんが、
木は温度が上昇しても変形しづらい素材なので、
そのぶん避難する時間を稼げるということができます。。


要は火災の場合、
一定時間内に建物が崩壊せずに立ち続けることが大切だということです。

何よりも大切なのは「命」
家が燃えない構造であることは、その次です。
どうせ火事になったら、半焼でも、木造だろうが鉄骨造だろうが改築では済まず、建て替えになります。

例え家の7~8割が焼け残ったとしても、
家じゅうに煤が回って、その後すべて使い物になりません。
現代の家は大壁で中空ですから、壁体内も石膏ボードも断熱材も全滅です。

我が家を新築するにあたって伝統木構造を選択したのには、
上述のような観点があったからです。



伝統構法では、何度もこのブログで述べていますが、
在来工法に比べて柱や梁が圧倒的に太いのです。
しかも仕口や継手に金具は使いません。

そのため火災になってしまったら、
燃えるのは燃えますが、それは何工法でもしょうがないことで、
伝統構法なら燃え尽き倒壊するまでの時間が長く、避難する時間を十分稼げます。

それに土壁ですから、完全耐火素材です。
部分火災であれば、塗り替えで修復できる可能性があります。
また、瓦葺きもあわせ、もらい火にも強いといえます。


木造建築物が火事になると、つい木造は火事に弱いとの印象が先立ちますが、
実際はそうとは限らないというお話し。

火災に強い工法の優劣を述べる論旨ではないけど、
伝統木構造は先入観に反して意外と火災に弱いわけではない・・・
耐火構造の観点からも選択肢に入るというお話し。



そして火災で本当に怖いのは、
有毒燃焼ガスにより避難行動ができなくなることと、
焼け落ちるまでの避難時間が確保できているかが問題というお話し。

家を新築するにあたって、高気密高断熱や耐震性能ばかりに目が向きがちですが、
残念ながら火災に遭ってしまったときのことも考えては?
・・・というお話しでした。