日本の住宅の平均寿命が二十数年ということを受け、
見てみると、これって家として当たり前!というもの。
ということは、これまで当たり前じゃなかったってことですよね。
【長期優良住宅の認定基準】
(詳細は検索すればすぐに分かるので、省略します。)
2.維持管理・更新の容易性(メンテナンスのしやすさ)
3.可変性(リフォームのしやすさ)
6.住居環境(景観を損なわないようなデザイン)
7.住戸面積(一戸建て住宅では75平米以上)
<一言コメント>
(あくまでも素人の直感的感想です。)
2.大規模な床暖房や空調装置などを躯体に組み込んでしまってそれに頼る構造は、気がかりです。
3.耐力を壁だけに頼るツーバイフォーや柱位置を替え難い軽量鉄骨は、気がかりです。
4.高齢者だけでなく障害者にも優しい住環境は誰にでも優しいので、最初から必要ですよね。
5.高気密で新建材からの化学物質の蒸散を屋内に封じ込める構造にする一方で、
24時間換気装置の義務を課して電気をつけっぱなしにさせるのは、矛盾では?
7.ミニ開発を防ぐ意味で重要ですが、密集地の狭小かつ良好な現代町家の創造の観点が必要。
8.建築前に提出の維持保全計画に沿って定期点検を行い必要に応じて改修や設備交換が必要…
10年に1度は点検の義務があり、これを怠った場合は認定が取り消される恐れがある…
人口減少時代、住宅の長寿命化で新築件数が減少する対策としての建築業者保護策でしょう。
長期優良住宅の認定基準の内容そのものは、もちろん良いことです。
一方で、デメリットも指摘されています。
A.建築着工までに時間かかる
認定基準に合わせて住宅を設計する必要があり、設計に数週間~1カ月程度、
登録住宅性能評価機関での技術的審査(性能評価)と所管行政庁での審査の両方に数週間程度、
余分に時間がかかるそうです。
B.申請費用がかかる
高度な設計や、図面や説明書などの必要書類の作成や申請に10万円以上の手数料がかかり、
合わせて申請費用が15~25万円程度かかるそうです。
C.建築費用がかさむ
一般住宅より質が高い分、当然材質や工程から通常よりも建築コストが上がります。
D.完成後も手間と費用がかかる
10年に1度の頻度で業者による有料点検の義務があり、
住宅履歴情報(点検や補修や改修など)を作成・保管しなければならない。
E.税金は実質そんなに得とは限らない
様々な要素を加味して試算してみると、場合によってはほとんど減税にならないばかりか、
固定資産税が上る可能性があるそうです。
<一言コメント>
(あくまでも素人の直感的感想です。)
A.そもそもまともな設計をして構造計算をしたら、長期優良住宅でなくても当たり前で、
発注して3か月で完成みたいな家を「買う」という感覚が間違い。家は「建てる」もの。
B.生涯を賭けて建てる家、当然のコスト。伝統構法にかかる適判などのコストと大差なさそう。
C.そもそもローコスト住宅を見て坪単価30万円とかで家を買えると思う感覚が変。
新建材で大壁で建ててビニル壁紙で包んだらピカピカの新築だけど、中身も性能も見えない。
D.メンテナンスフリーの家なんてない。メンテと履歴は家を資産として捉える上で重要だし、
義務でなくても必要なこと。家は10年で資産価値がゼロという常識を覆す必要がある。
E.コストをかけて認定をとって、+-トントン? コストがかかるモノの普及を図る政策。
こう考えてみると、百年、世代を超えて生きる高耐久高性能な住宅の普及を図ろうという
この制度は、趣旨としては素晴らしいものだと思います。
一方で、こんな当たり前の内容を制度化しないといけないぐらい、
これまで住宅の質が低かったということ。敗戦から七十余年、
住宅にとっては復興期をようやく抜け出そうというところなんでしょうね。
戦前の(伝統構法の)住宅は、手入れさえしっかりしていれば、百年三代は当たり前でしたから。
で、あらためて考えてみると、長期優良住宅の認定をとらないといけない必然性は、
結局はあまりなさそうにも思えます。
そもそも税金が安くなるから長期優良住宅を新築するという順番でも、
金銭的に得な住宅であることを目的とするものでもありませんよね。
質の高い住宅を建てるということの本質は何か?
良い家なら、認定されようがされまいが、その品質は変わらないということですよね。
それなら長期優良住宅の水準で新築するけど認定はしないというのも十分あり得ます。
国が基準を定めたということは、求められる住宅の参考基準を示したということ、
認定に関わらず、今後は新築や中古住宅の見極めの参考になるということす。
そう考えると、伝統構法・石場建ての家は、現行の建築基準法の適合外であっても
十分その性能を満たすことが可能だし、コスト的にも許容範囲ということになります。
我が国の政府は当然、業界の利益確保や業界保護の観点を優先に制度化します。
しかし私たち国民は、施主の立場、発注し住む立場からこの制度を見極める必要があるでしょう。
国に認定してもらわなくても性能の保証のできる信頼できる業者に建築を依頼したり、
新築時の性能仕様やメンテナンス履歴を書面でしっかり残すなどの、
住まい手としての自己責任が求められると思います。
こう考えると、これからの低炭素社会に向けた住まいと住まい方や、
国連のSDGs(持続可能な開発目標)を見据えた観点からも、
伝統構法・石場建ての家は、古くて新しい時代に相応しいものだと言えるでしょう。