大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

石場建て/ベースコンクリート(2)

​​(石場建て/ベースコンクリート(1)からの続き・・・)

ところで、基礎コンクリートの型枠が組まれた時点で​​
「あれ?」と気付く人?・・・ 普通の基礎は、こんなの。
↑この写真、ウチの少し後に打設されたベタ基礎。​​
この家は在来木造軸組み工法の家。
きっと、ウチをあれよあれよと追い抜いて、3月末には竣工・引渡しかな!

さて、現行の建築基準法で規定されているのは、
鉄筋コンクリートで立ち上げた(ベタ)布基礎の上に、
木を横に寝かせた土台を敷き、そこに柱を差します。
コンクリートは最初はアルカリ性ですが、表面から中性化が進み、
中の鉄筋に錆が発生して、コンクリートにヒビが入り強度が落ち、
耐用年数は五十年ほどと言われています。
また横に寝かせた木は腐りやすいうえに交換も困難ということで、
なかなか百年単位の長寿命は期待できないのではないでしょうか。


家が腐朽するのは足元から。
石場建てであれば脚元はむき出しで湿気を溜め込まないので、
そもそも腐れや白蟻のリスクが格段に低いのですが、
それでも百年もすればメンテナンスが必要となってくるでしょう。
石場建てであれば、建物をそっくり持ち上げて、
足元の部分だけを根継ぎという技術で補修することができるのです。


さて、そんな石場建て、地面に礎石を置いていけばいいんじゃないの?
ベースコンクリート?・・・いえいえ、これは、
いわゆる今よく見られるベタ基礎とは似て非なるものなんです。

昔の石場建ての民家や町家は、
地面の上に直に礎石を置いて、柱を立てていました。
いま新しく石場建てに挑戦している施工例でも、
そうしているところもたくさんあるようです。


地面に直とはいえ、その場合は、
礎石のところ一か所一か所に硬い地盤まで穴を掘り、
割り栗石と砕石を入れてヨイトマケで突き固めてから、
その上に砕石と馴染ませながら礎石を置いていくそうです。


ウチの場合はそんなに手間をかけていられなかったことや、
大都市近郊の住宅密集地であること、
土地の強度がそんなに悪くなく均等だったこと、
そして建築確認上の要請などから、
コンクリートの盤を一面に敷設することになりました。

河岸段丘という立地上、かなり深くに伏流水がないとも言いきれず、
コンクリート盤が湿気の上りを防いでくれるかもしれませんし、
鉄筋を入れてあるので、不同沈下を防ぐ効果もあるでしょう。
地震で家の下で地割れしても、コンクリート盤の上に乗っておれるかも。

このベースコンクリート、本来的には無くても良いものなんでしょうが、
ウチの場合は地表の処理をコンクリートで補う工法を選んだというわけ。
コンクリートは長期の耐力が期待できませんが、
百年後にコンクリートの耐力がなくなっても、
礎石の下の割り栗石や砕石としての役割を期待しようというもの。
つまり、あくまでも主役は礎石なのです。


ま、要は、どんな工法の建物でも、地震動で地面が壊れたら、
どうしようもないのです。
関東大震災のときに、その頃はほとんどが石場建ての家だったのが、
倒壊したところと大丈夫だったところとがあるそうです。
阪神淡路大震災でも、築浅のハウスメーカーの家でも倒壊しています。


今思い返せば、こんなベースコンクリートや地盤の話しなども、
日伸建設から石場建ての話しを持ち掛けられて調べる中で、
その当時、以前から石場建ての復権に先駆的に尽力されていた
今は亡き​梓工務店​の伊東裕一さんから直に教えていただきました。
私が梓工務店に発注することはないのを分かっていながら、
伊東さんは石場建て伝統構法について熱く語ってくださったのです。
それが石場建てを決断する決め手の一つとなり今があります。
この場をお借りして、厚くお礼申し上げます。

ここで熱く語ってくださった梓工務店施工の石場建て(2018年3月)

 

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