大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

地域密着!地元の工務店がんばれ・・・先を越されて思う

ウチのベース(基礎)コンクリートの敷設が、昨年11月中旬。
そのあと11月下旬だったか(?)、ご近所で新築のベタ基礎が敷設されました。
地元工務店の在来軸組工法の家。
すぐに追い抜かれちゃうんやろうなぁ・・・。
そう思いながら、基礎コンクリートの硬化養生期間や
プレカット材の製作期間を経た1月中旬、
ふと見たら、もう棟が上っていました!


そして、あれよあれよと思う間に、もう壁も張(貼)ってあります。
ウチと規模的には大差ない家ですが、
建て方(建築開始)から建て前(上棟⁼棟木を据付て屋根をかける)まで、
おそらく朝から工事を始めて夕方には終わったんでしょう。


これが雨の多い日本の在来工法のいいところです。
まず最初に屋根をかけるので、雨が降っても中が濡れない。
ツーバイフォー工法は最後に屋根をかけるので、そうはいきません。
ツーバイフォー工法は最初に壁を組み立てるので、
屋根ができたときには壁ができ上っていますが、
今の在来工法でも柱はプレカット材をはめてボルト留めするだけ、
壁は合板を貼っていくだけですから、
家の形が見えるまでの期間も手間もツーバイフォー工法と同等。

先に屋根をかける在来工法の方が、
日本の気候風土に合っているように思います。
しかも地域の工務店による在来工法は、
ハウスメーカー固有のクローズド構法と違って、基本的にオープン工法。
将来の増改築に柔軟に対応しやすい構法だと言えるでしょう。

その家の材木などの部材を、一部見てみました。


土台(基礎の上に横に寝かせて敷設する材木)は、4寸角の檜無垢材。
木材は寝かせると腐食しやすいのと、
基礎直近は白蟻の食害を受けやすいので、これは当然です。

柱は、通し柱4寸・管柱3.5寸角のホワイトウッド集成材。
ホワイトウッドは最も腐食と蟻害に弱い木材ですが、
防蟻薬剤の使用が前提になっているのと、
化学物質で固められた合板類で挟み込んで大壁にしてしまうので、
30年ほどは大丈夫なのかな。

その壁材は、合板やMDF(ファイバーボード⁼木質繊維板)でした。
その板に柱は隠れてしまうので、柱材の表面化粧仕上げは不要です。


なので、同じ木造軸組み工法と言っても、
機械乾燥の集成材や合板が基本なので、
木材に本来特有の粘りや調湿性は期待できないでしょう。
そしてプレカットなので、大工技能も手間も最小限です。

この工務店は、この地域ではかなり優秀な中堅企業だと注目していました。
以前に見せていただいたモデルハウスは、
健康志向で内壁は全て漆喰塗り仕上げで、
ビニルクロス貼りの新築と違って空気が清浄な印象だったので、
好感をもって期待していました。

どんな注文にもリーズナブルに応じられるというのが
この会社のウリですから、
この家もこの会社の標準的な仕様の建材かどうかは分かりません。
でも実際、スケルトン状態で見ると、こんなもん=ごく普通です。

内壁に珪藻土やシラスを塗れば、合板の上にたかが1~2mm厚塗りでも、
限定的にせよ効果はあるでしょう。
で、完成してしまうと、その構造が、材木がどうかなんて、見えないのです。

だからこそ、注文住宅を建てたいと思ったら、
候補に挙げた工務店の建築中の家の構造材の段階を見に行って、
実際に自分の目で確かめてから契約すべきだと思います。
一生のローンを組んで棲み処を建てるのに、
それぐらいの手間は惜しんではいけません。

そんな下調べに半年以上かかっても、
建築にかかる期間は長くて3か月がせいぜい。
建てようと思ってから1年もあれば建つんじゃないかな?

ウチのような伝統構法だと、真壁だし天井は原則張らない仕様なんで、
建った後も構造材は丸見えだし、
木組み全体と土壁に漆喰などの塗り壁で正味呼吸する構造で安心です。

その分、建築確認がおりると同時に材木の仕込みを始めてから半年、
実際に建て始めてからでき上りまで1年近くかかる見込みです。
その上ウチの場合は設計と構造計算と建築確認に1年以上かかっているので、
もうろくろ首も真っ青になるほど!

ということで、地元の工務店が建てるこの家の竣工・引渡しは、
きっと4月の新年度初めって想定なんでしょうねぇ。

ウチはその頃、どこまでいってるか見当もつきません。
建て方から上棟までも、4日間ぐらい見込んでいるそうです・・・どんだけぇ!
昔は家づくりは数年がかりが普通だったとか。
せわしない世の中の今こんなやり方をしてるのはどうよ?!
ってとこなんでしょうけど・・・。

あんなこんな言いましたが、
あの家を建てている工務店は、良心的でいい会社だと思います。

一般論として、こういう地域で頑張ってる工務店は応援したいし、
家を建てたいと思ったら、住宅展示場に見に行くのはいいけれど、
いわゆるハウスメーカーよりは、地元の工務店を見極めて選択肢に入れられる、
そんな目を養ってほしいなと思います。

ローコスト住宅メーカーは論外として、
有名ハウスメーカーと同等の家なら、
地元の優良工務店の方が確実にコストパフォーマンスがいいわけで。

そんないい工務店が、調べたら枚方や近隣市にいっぱいありました。
あの地元の工務店もクレーム事例は無く、施主の満足度も相当高いようです。
で、そんな数々の中から、こうして​素晴らしいご縁​ができました。

そして私たちは、ハウスメーカーと同等の家を安く建てることより、
ハウスメーカーにはできない質と金銭で計れない価値の高い家を、
作り手と住まい手が膝を突き合わせながら一緒に建てられることに、
地元の優良工務店の価値を見出すようになりました。

ようやく建て方(建築開始)を2週間後に控えた今、
ご近所の新築物件の工事の進捗を見ながら、
伝統構法にこだわってる一方で何とか次の年末年始は新居で迎えたい・・・なんて、
あらためて思うのでした。地域密着!