新築で棟上げの際に、建て方工事が無事に運んだことへの感謝と、
これから完成に向けて工事がうまく安全にいくように祈願するもので、
柱・梁などの骨組みが組み上がり、最後に一番てっぺんの
棟木が据えられた時点で行われます。
建前(たてまえ)とも言い、
祭祀なので正式には神主を呼んで祝詞を挙げてもらい、
屋根の上から餅まきをする地方も多いようです。
・・・いいえ、昨今では、特に都市部では、
やらないこと方が多いのではないでしょうか。
やるやらないは施主が判断です。
同時期に建て始めたご近所の新築現場の上棟の日にも、
お施主さんは来られなかったようです。
地域のしきたりや慣習もあるようですし、
ハウスメーカーで建てる場合は大工さんは下請け孫請けで、
施主が立ち会うのを迷惑がる場合もあるようですし、
ウチは伝統的な構法の木組み石場建ての家。
しかも棟梁と2年以上練りに練ったプロジェクト。
建築の節目の祭祀としては地鎮祭がありますが、
これは自分たちが住む土地に対して施主が主催するものなので、
ウチではそれに相当する祭祀はご縁のあるお寺さんにお願いして、
一方、上棟式は工事の無事を感謝し安全を祈願する祭祀なので、
棟梁が中心となって儀式を執り行います。
そこで、工務店側の意向を尊重し、やり方はお任せしました。
なので、ウチの例はあくまでも個別のケースとして見ていただければ。
今回の建て方では、上棟そのものは、前日2/19に済んでいました。
その時に、槌打の儀(棟木を棟に打ちつける)も、親方の掛け声でしました。
5時頃まで工事を続けてもらって屋根仕舞いの一部まで済ましてから、
日中、日伸建設の社員さんが御幣(幣束)を持って来てくださり、
施主は祭壇に供える物と、米と塩と酒を用意しておきます。
祭壇の設えは、棟梁の指示のもと、私たちが工夫しました。
まず棟梁が、大黒柱に御幣を据え付けます。
大工さんが直々に鉋で削り出してくれた俎板の上に供えます。
祭壇には左から、
田中棟梁の師匠の小西親方の郷徳島産の蕪と、季節の果物(八朔とリンゴ)と、
今年還暦の施主の干支「子」の神鈴。
そして、この家には畳敷きを多用することから、飾り畳の上に米と塩。
祭祀として、伝統や慣習からは外れているのかもしれませんが、
ここ都市近郊では地域のしきたりも何も縛られるものはありません。
いろいろ因んだ意味を自分たちで考えながらお供えするのも楽しいもの。
我ながら、なかなかいい具合にできました。
形式はともかく、感謝と祈りの心は、まさにホンマモンです。
棟梁の発声で、上棟式が始まります。
まずは二礼二拍手一礼で、棟梁・親方・施主・大工さん一同拝礼です。
次は、四方固めの儀。
棟梁の先導で、施主が家の建物の四方に東の方位から時計回りの順で、
清酒と米と塩で清めます。
石場建ての上棟式は、棟梁も初めて。
普通の在来工法の家にはない礎石を棟梁が清酒で清め、
そこに私たち夫婦が米と塩を一つまみずつ撒いていきました。
ほんとうはここで乾杯、お神酒をいただくべきところですが、
全員このあと車・・・今のご時勢、そうはいきません。これは省略。
それから、親方・棟梁・大工さんたちに施主からの感謝の挨拶です。
語っても語り尽くせないほどのお礼の気持ちと、
初めての石場建て伝統構法への挑戦と難解な限界耐力計算など
苦労に苦労をおかけしたことへの労いを、これを機に述べました。
締めくくりは、私が嗜んでいる唄三線で、
沖縄民謡「祝い節」を演奏しました。
♪お祝事続くよ(サーサー)御代の嬉しさによ(サーサー祝イヌ)
サースリーユバナウレ
♪寄ゆる年までぃんよ(サーサー)若くなゆさよ(サーサー祝イヌ)
サースリーユバナウレ
最後に棟梁の発声で手締めをしてお開き。
そのあと、この建て方に携わってくださった皆さん方お一人お一人に、
お祝儀と引出物をお渡ししました。
これらの具体的な内容は悩ましいところですが、
今は便利です・・・インターネットで体験談がいくつも上がっています。
お問い合わせくだされば、ご助言もいたします。
(さすがに餅まきはしませんでしたけどね。ご近所から浮きそうで・・・。)
(さすがに餅まきはしませんでしたけどね。ご近所から浮きそうで・・・。)
もっと日が長く温かい時季なら、このあとこの現場で
直会(なおらい)=祝宴といきたいところだったのですが、
6時も過ぎ日もとっぷり暮れて寒くなってきたので、
車ですぐの飲食店に場所を移してささやかな夕食会を催しました。
上棟式・・・。
儀式的な側面もあるものの、家づくりをしてくれている棟梁や大工さんなどと
気軽にコミュニケーションのとれる貴重な場でもあります。
数寄屋建築の名匠に師事されたような普通は知り合うこともないような
すごい応援大工さんとも親しくおしゃべりしたり、
本当に一生の思い出に残るひと時となりました。
工事関係者の方々は、この節目を経て、また竣工まで作業が続きます。
施主としてたいしたことはなかなかできませんが、
これを機にこれまでの労いとこれからも応援したいという思いを素直に伝え、
家づくりのパートナーとして絆を深めていくいい機会と、
上棟式を前向きにとらえてみてはいかがでしょうか。
家は買うものではなく、住まい手とつくり手が一緒につくるものですから。
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上棟式 ☜click(元記事)