大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

壁土・・・熟成・発酵 ~ 土壁塗りを前に

今週火曜(4/21)からいよいよ土壁塗りが始まるのを前に、
先週土曜(4/18)には左官屋さんが熟成場で壁土の手入れ。
土に刻んだ稲藁(ワラ)を入れ、ユンボ油圧ショベル)で攪拌したそうです。


この壁土、昨年6/25から日伸建設で熟成させていたもの。
その時のことは、昨年6/29「​壁土づくり​」で記事にしました。


​(交野ヶ原のミカン畑にある壁土熟成場に沈む夕陽が神々しい)​

熟成・・・発酵土壁。土壁は、発酵させた壁土で作るのです。
藁に付いている菌により発酵が進んで溶け出たリグニンが糊の役割をし、
藁自体は発酵により分解し繊維化することで
苆(スサ)として壁の靱性(摩擦抵抗)を高め、土壁を粘り強く固くするんだとか。

発酵が進むと、黄土色だった土は青灰色に変色します。
熟成場の辺りには、ほんのり発酵臭が漂います。
なんとも懐かしいいい香りです・・・私には。なかには臭いと感じる人も!
納豆でも鮒寿司でも、発酵とはそういうものですね。
​乾くと匂いが薄れ、いわゆる土色に戻るようです。

​(↑表面が乾いた発酵壁土 / 奥を掘り返してみると↑)​

これを竹小舞に塗り付けるわけですが、
その土台となる竹小舞は、間渡し竹を軸に小舞竹が材木から浮かせてあります。
それは4/17「​伝統的工法の家の電気配線工事:竹小舞~土壁の狭間で​」でも触れましたが、
それは土の重みで下がってくるのを見越しての工夫なんだそうです。


土壁の特性や魅力については、
小川建築​さんや、​トヨダヤスシ建築設計事務所​さんなどのHPに詳しいので、
ぜひ参照してみてください。(☝click)

さて、土壁を調べていて、面白いことに気付きました。

竹小舞に、ウチのように真竹の割り竹を使っているところと、
細い丸竹(女竹)を使っているところがあること。
尺八の材料は太い真竹。程よく細いのが女竹(メダケ)で篠笛の材。
筍が美味しいのは孟宗竹、中国渡来で建築には向きません。

そして、貫(ヌキ)の反対側(縦の竹材の方)から先ず壁土を塗って、
貫のある側(横の竹材の方)は後から「裏返し塗り」をする方法と、
その逆に先に横材の面の方から塗る方法があること。
ウチは、縦材の方から塗ると左官屋さんが言うてはりました。

なんか、かなり奥が深そうです!
土壁の蘊蓄や科学については、​NPO土壁ネットワーク​(☜click)に詳しいので、ぜひご参照を。


生駒山系の北端、新緑が美しい交野(カタノ)の山々の麓の壁土熟成場。
土壁づくり、始まる前から興味と期待がどんどん膨らみます。​​