大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

天乾:人乾(天然乾燥:人工乾燥)・・・どっちにする?使う材木

日伸建設​では、梁にする赤松を自分たちで山に伐りに行き、
何年か寝かせて天然乾燥していることは、
「木取り・墨付け・手刻み」(2019.11.16)​で書いたところです。
どんなふうに使うかを思い描きながら木を選び、
その木の生育条件(斜面や太陽や風向き等)が
直に把握できているので、的確な木取りができます。

柱にする檜や床にする杉などは、
奈良は吉野から仕入れていますが、
これも天然乾燥材です。

その他、いつか出番が来るだろうと、
いつ何に使うか具体的に決めず仕入れて出番待ちの木が、
日伸建設の倉庫に積み上げられて眠っています。

ウチでも大黒柱にした材木は、
二十年ほど前に東寺の修復に使われた物の一部を、
いつか使おうと仕入れて寝かせてあった物だそうです。


天然乾燥(自然乾燥)無垢材は、
その木の性質を読みながら
材木に仕上げていく必要があるので、
熟練の目利きと技が必要になります。


その上、天然乾燥には1年以上かかるので、
貯蔵にも時間的・空間的にコストがかかります。

地代があまりかからない地方の工務店ならともかく、
大阪でこれをするのは大変なことです。

それでも日伸建設が天然乾燥にこだわり、
そこを私たちが見込み選んだのは、
耐久性や調湿性や香りなどが格段に勝っているからです。

木の繊維に無理を強いないので、
木が本来もつ成分や性能が残り、
何百年もかけて強度を増していきます。

その木それぞれの個性もそのまま残るため、
いろいろな面で個体差が現れやすいという一面もありますが、
逆にそれは、適材適所で
個性を生かしていけるという長所でもあるわけです。

​(天然乾燥無垢檜/赤松手刻み材による伝統構法の建築:​日伸建設​)​​​

ハウスメーカーの営業マンは、ほぼ間違いなく、​
無垢材より集成材の方が強い・・・と言うでしょう。
(集成材は全て人工乾燥材です。)

しかし逆に、
近年一般に使われるホワイトウッド集成材より
無垢檜材の方が強いというのは、実験で証明されています。
​(「​続いい家は無垢の木と漆喰で建てる​」p.16 神﨑隆洋著)


​(奥:ホワイトウッド集成材3.5寸柱 右:人乾無垢檜4寸土台 左:天乾無垢檜4寸柱)​

化学薬剤での処理が必須(住宅品質確保促進法)だし、
同じ無垢檜材でも天然乾燥材と人工乾燥材は、
風合いも香りも違います・・・人工乾燥材はスカスカで無臭。
​(実験​『天然乾燥材と人工(高温)乾燥材の匂い』による人への影響​)

なのに人工乾燥材が普及するには、​
現代ならではの理由があります。
それは端的に言って、簡単で安いからです。


JAS規格のホワイトウッド人工乾燥プレカット集成材と、防腐薬剤注入の穴)​

人工乾燥なら1~2週間、それを買いつけるだけ。
ストックヤードも要りません。

しかも集成材なら、薄切りの板を接着剤で貼り合わせて
大径にしてあるので木を読む(見極める)必要はなく、
そのプレカットなら、扱いにとりたてて技能は不要です。

人工乾燥は、温度や湿度を機械的に調整する乾燥窯で
短期間で水分をとばしてしまいます。
低温・中温・高温乾燥があり、
蒸気式・燻煙式・除湿式などの方式、
電子レンジのような原理を利用したものもあるそうです。
           
寸法の狂いの少ない性能の画一的な製品を​
短期間で安定的に得られるという利点があります。


​(​click人工乾燥の問題点~カンザキ建設)
しかし、急激に乾燥させられたものほど
強度や耐久性が低下するリスクが高く、
そのため集成材にすることが多いのです。

集成材は、接着剤からの化学物質の蒸散が避けられません。
それに木より先に劣化するであろう接着剤で
スカスカの死んだ木を薄切りにして貼り合わせても・・・
と思ってしまいます。

それでは木のもつ本来の良さ、
調湿性や色艶や香りなど性能全般が失われてしまいます。

しかも人工乾燥は、
効率を重視する経済活動としては現代的な方法ですが、
乾燥過程で高温を保ために大量の石油を燃やします。

それではせっかく数十年かかって成長し
大量に二酸化炭素を溜め込んだ材木が、
かえって二酸化炭素を大量に発生させることになり、
本末転倒ということになってしまいます。

そのうえ外国産材だと、
​運搬に大きな環境負荷がかかります。


​(​☝click​)​

一生かけた家づくりを耐久性三十年の借家普請にするのか、
百年単位の高耐久で環境負荷の低い安らぐ棲み処を建てるか。

そんな観点で見たとき、私は、
国産無垢天然乾燥材しかないと考えたのです。

それに、ウチは材木を刻んでから竣工までに1年ほど。
しかも材木現しの真壁づくりですから、
住みながらも吸放湿を繰り返して数年かけて乾燥していき、
だんだん締まって強度を増していきます。

今塗っている土壁も、荒壁・中塗りで竣工して、
数年後に上塗りをするといいそうです。
それが本来の家づくり!と、​日伸建設​の親方は言います。
そしてそれができる工務店は、全国各地にあります。

それぞれのメリットもデメリットも、
素人なりに納得いくまでいろいろ調べ、そして選ぶのは、
​建て主であり住まい手になる自分なのです。


​(​日伸建設​の無垢材プレカット在来工法の上棟・合板屋根仕舞い・・・伝統構法と同じ大工さんが個々の施主の要望にも応じます。)​

天乾人乾:天声人語・・・家づくりは、天の声を聞き、自分の言葉で。

<専門的には、こちらをどうぞ>