大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

土壁の魅力、土壁の技・・・いよいよ週明けから荒壁づけ裏返し塗り

荒壁付け表塗りから1か月を経て、
いよいよ週明け5/18から裏返し塗りが始まります。
当初は3週間ほど開けてと言っていたんですが、
ゴールデンウィークを挟んだり、
左官さんの日程が揃わなかったりということで・・・。

日伸建設​の親方(社長)もGW明けすぐにでも「手伝うやん」と言ってくれてたんですが、
左官屋さん曰く、ベテラン左官さんたちで一気にやってしまわないと
仕上がりにムラができるということで、
表塗り同様2日間を目途に工程を組むことになったそうです。

土壁づくりには、地域によって、左官屋さんによって、様々なやり方があるらしく、
竹小舞からして縦が外側か横が外側かとか、
荒壁土はまず外側からか内側からかとか、
片面を塗ったら十分乾かして裏返し塗りをするか
半乾きで裏返しか表裏一気に塗る(田楽)かとか。

調べてみるとそれぞれに合理的な理由があって、
施工の諸条件に鑑みた左官屋さんの判断もあって、
ちょうど今同時期に荒壁付けをしている伝統構法石場建ての家も
それぞれやり方が違っていて、すごく面白いです。

私が知り得たウチと同級生の伝統構法石場建ての家は、この4軒。
(☟click)
◇​木ごころ工房
いま全国で何万かの家が新築されていると思いますが、
その中で5軒あるかないか!・・・これってある意味すごくないですか?!

山田屋さんのは石場建てだけど土壁ではないようですが、
あとの3軒とウチはほぼ同時期に土壁の工程に入っていて、
三者三様のやり方をしています。
そんな伝統的な様子が遠く離れていても見られるのは、
インターネット、現代のテクノロジーのお陰! ありがたいことです。

先日来(5/13・15)、現代の家に科学的知見をということで
私が勉強させていただいている
伝統構法ではない​建築家の先生​を​お二方ご紹介​しましたが、
伝統構法にも科学的知見から設計を手掛けていらっしゃる
建築家の先生が数名いらっしゃいます。

特にこの稿では土壁からのアプローチということで、
トヨダヤスシ建築設計事務所​を挙げておきたいと思います。
四百年に渡る左官屋さんに系譜を持つ設計士さんで、
土壁の魅力を知る上で、ぜひHPをご紹介しておきたいと思います。

*​はじめに
​(敢えて見えにくく落とした画像引用なので、ぜひ直接どうぞ。☟click)​​


さて、高断熱高気密住宅専門の建築家集団ということで
松尾設計室​​を​5/13の投稿​で取り上げ、
伝統構法は土俵は違うが・・・との話題を投げかけました。

その伝統構法でも、
気候風土適応住宅​という土俵で科学的知見が明らかにされてきており、
(国立研究開発法人)建築研究所のサイトには
土壁の伝統構法の家といえば「寒い」というのが一般的な捉えようではないかと思いますが、
実は設計によって現代的な快適性能が担保できるし、
むしろメリットも大きいということを広く知っていただきたいと思います。

ここであらためて、土壁の魅力について少し挙げておきましょう。
土壁の家は、長期優良住宅などでさかんに言われる
「省エネ等級」などとは違った温熱環境の評価の観点が必要です。

土壁の空間を心地よいと感じるポイントは、
「調湿性能」と「蓄熱性能」にあります。
梅雨時にエアコンなしで家の中で洗濯物が乾くという人もいるそうです。
冬場は寒くないどころか前の晩の暖房で寝起きに温かいとさえ感じる人もいるんだとか。

それだけでなく、音をやわらげたり、
発酵環境により空気を清浄に保ったりする機能も併せもち、
また、防火性能にもすぐれています。

さらに、耐力壁としての強度や架構体の中における粘りの役割から、
耐震性や耐久性の高さも明らかにされてきています。

それに、身の回りにある自然そのままの素材だけでできているので、
​役目を終えたときには元の地球そのものに還る究極のエコロジーです。

​(枚方の農村地域(氷室)にある小屋の土壁。現代ならトタン張りかプレハブにするところ。築百年ほどか? メンテナンスされないと、さすがに朽ちている。いや、腐っているわけでも錆びているわけでもない! 丸太柱・貫や、竹小舞・荒壁・中塗り仕上げの構造がよく見える。すぐそばまでもう新興住宅地が迫ってきている。)​

「土壁はこれ一つで、蓄熱性能、調湿性能、遮音性能、匂いの吸着性能、そして構造強度。こんな沢山の性能を家に備えてくれます。本当に、安くておいしい建築要素だと思っています」
・・・と、木の家ネット「​土壁の魅力​」では結論づけていました。

土壁の魅力を語るHPは他にもたくさんありますが、
土壁の家について発酵環境という観点から実験されている
小川建築の「​土のある暮らし​」も、ここにご紹介しておきましょう。


​(これも枚方氷室地区の農家の土塀。剥がれてきたことで土壁の構造がよく分かる。高価な漆喰ではなく安価な糊土で上塗りしたのだろうか。古びて漆喰仕上げよりかえって味が深まる。近年、新興住宅地が周囲に次々と開発され、地縁の無い住民が新たに流入してきたからであろうか、表通りに面した土塀には落書きなどの傷が目立っているのが悲しい・・・。)​

もうひとつ、動画もご紹介しておきましょう。
木造建築 東風 Cochi「​左官工事/土壁、竹小舞など​」


週明けから始まる荒壁付け裏返し。
その工程や技能を分かりやすく紹介した動画も見つけたので、
自分の復習・予習がてら挙げておきます。
やってまおう会​の講習会の動画です。
*​土壁 こてのポイント「おへそを使え」

なんか自分の備忘のリンク集のような投稿になってしまいましたが、
ぜひ辿ってみて土壁の魅力を知っていただければと思います。

実際の住み心地や温熱環境は、
実際に暮らし始めてから実測データなども交えながら、
ここでレポートしていきたいと思っています。

土壁(荒壁)新築の見学は、​日伸建設​(☜click)までご予約ください。