大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

浴室に窓は必要か?・・・そんなの、疑問の余地ないでしょ! ~ 窓を開けなくなった日本人

今日も棟梁は工房にこもりっきりで、造作作業に没頭。


現場は封鎖されたまま。
これまで毎日朝晩中に入っていたのに、もう4日間も入っていない!
でも、風呂場などの横滑り出し窓は複数個所開けてあるので、
留守でも風通しは確保してあります。

ところで、
> いろいろな都合で結局すごく小さい窓になってしまったのが想定外・・・ちょっと残念。
と書きました。

そしたらたまたま目にしたブログに、
> 我が家のバスルームには 縦滑り出し窓が1つ。
> これ、本当はいらなかったんだけど家の外観的にあった方がよくて渋々つけた窓。
> 入居して2年1度も開けてない。たぶんこの先も一生開けないと思う笑
> 24時間換気つけてるし入ったあとは換気[強]をタイマーでつければそれで問題ないんだよね。
> バスルームの失敗はこの窓。

これには、目が点になりました!!


もう一回読み返そうと検索してたら、別の方のブログが・・・
> 最初に(ハウスメーカーから)もらった図面では、お風呂に小さな引違い窓が付いていました。
> 最終的にはお風呂の窓はつけませんでした。
> 窓をつけたとしても、夜にお風呂に入るときは照明を使うので、
> 単純に窓をつけた分だけコストアップになります。
> 断熱性が下がることがいちばんのネック。

さらに、
> 注文住宅、高気密高断熱受託の建設を得意としている地場の工務店ですが
> 様々なアプローチから「年中を通して快適に暮らせるために」を
> テーマに日々家づくりをさせていただいております・・・
という業者のHPには、こう載っています。

> お風呂場に窓は「必要ありません」というよりも「ない方がいい」のです

・・・他にも同様の趣旨の主張は多々あるでしょうし、
このような論調に共感される方も多いと思います。
それはそれで否定するものではありませんし、
別に間違ったことを言っておられるとは思っていません。

でも・・・、
私とは相容れない感覚です。
 
そもそも、機械に100%頼りきった換気なんて、
電気が無ければどうするの?
ゼロエネルギーの高性能住宅って言うけれど、
機械に頼ってる時点で、そもそもエネルギーゼロではないでしょ!

そんなふうに思ってたら、こんなブログの記事が目にとまりました。
「​窓を開けない日本人​」(☜click 「ニコル家」blog)

> 外国人の夫と生活していると、普段気にもしない様なことに気づかされたり、
> そういえばなんで?って思うことが多々あります。
> 主人に言われて初めて気がついたのですが、
> 日本人は窓を開けない、換気をしない人が多い!との事。
> 我が家では常には夫が空気フレッシュにしよう〜と窓を開けるので、
> どんなに寒い日でも雨がザーザーでない限り開けており、習慣化しています。
> さすがに真夏には窓を開けろとは言いません。だって熱風と湿気が。。。
> それよりも、冬こそ開けるべきだと思うのです。
> まず、スッキリする。絶対。どんなに寒くても数分でも開けたら、
> 暖房で温まった部屋に新鮮な空気が流れ込みます。
> 自然を感じる
> この変な窓を開けない習慣?で問題なのは、健康面だけではなく、
> 夕涼みをするとかほのぼのとした時間や文化が消えてしまう事だと思うんです。
> 秋の夜には虫の声(だいぶ聞かなくなりましたが)が聞こえてきたり、
> 雨の匂いがわかったり…窓を開けて気持ちいい!と思ったり、
> そういう感覚を持っていたいなあと思うのです。

引用が長くなりましたが、まさに我が意を得たり!
断熱・気密やコストの問題ではない。
外気とつながって暮らしていたい。

夏は外が40℃近くあっても、窓の開いた家の中は扇風機で木陰の環境。
冬は外が2℃でも、窓を閉めれば家の中は厚着と火鉢で遠赤外線の暖かさ。
太平洋ベルトの比較的温暖な地方の話し・・・)

さすがにこれは極論ですが、
外気と遮断した機械空調による環境は、心地よさではない。
エアコン冷房で膝にブランケットをかけ、エアコン暖房でTシャツ1枚で過ごす・・・
何か違う。生物としては、退化の始まり・・・。

高気密高断熱で名を上げている大手ハウスメーカーで建てた家をテーマにしたあるブログに、
「唯一の難点は、子どもが寒がりになったことか?」のような趣旨の記載・・・。
けど、これこそ最もマズいこと、最大の欠点でしょう!
人間として、生物として、そんなに弱い将来の大人を育ててどうするの?!


春には夏向きの体をつくり、秋には冬向きの体をつくっていく・・・。
何千年もこの地で営々と続けられてきた日本人の営みです。

それでもエアコン空調は省エネルギーの観点からも、必要です。
そのために、高気密高断熱の性能は、これからの住宅には必須。
それは認めます。

でも、省エネルギーというなら、少しでもエアコンを使わざるを得ない機会を減らす!
そんな設計上・構造上の工夫の方が、機械空調の高性能化より大事だと思うのです。

こんなことを書いているのは、今ちょうどこんな本を読んでいるからでもあります。
「​窓を開けなくなった日本人​」渡辺光雄 著 農文協(百の知恵双書018)2008年


p.102
> ◎四季の変化と 取り戻したい五感の快感
> 五感を通して肌に感じられる季節の豊かさで多様な快感から遊離して、
> 人工環境の単調な快適さのなかに埋没してきてしまったのである。
p.103
> ◎面倒な日本の気候
> もう少し「春秋中心の生活」を取り戻したらどうだろうかと思う。
> 日本の気候には素晴らしい春、秋の天候があり、
> 夏のなかにも爽やかな夜が、冬の日にも穏やかな陽だまりがあるのである。
> こんな日には「窓を開ける生活」を増やしてゆこうと提案したい。
> それがこれからの新しい暮らし方や価値観に繋がってゆくはずである。

「動かない生活」から「動く生活」へ。
自然を享受する新しい住まいと住生活の蚊たちを提案する・・・という好著!

窓を開けなくなった日本人 住まい方の変化六〇年 (百の知恵双書) [ 渡辺光雄 ]

私は石場建て伝統構法の新築にあたり、
できる限りの高気密高断熱を棟梁にお願いしています。
それは、酷暑/極寒の日のエアコンの効率を、できるだけ上げるためです。

でも、できればエアコンの稼働率は低く抑えたい。
そのために採用した構造が、伝統構法です。

そして、普段は窓を開放して屋内も外気と一体でいたい。
今のような梅雨の時期も、窓を開けたまま暮らしたい。
昔の窓ガラスの無かった頃の茅葺・土壁の家が、
雨の日に縁側を開放したまま、或いは障子1枚で、屋内が深い軒に守られていたように。

今日の枚方は、梅雨の最中とはいえ、合間の晴時々曇、風速3~4m/s。
外気の最高気温は30℃、湿度39%、不快指数76.6(やや暑い)、
夕方6時で26℃、60%、74.2(暑くない)。
窓を開けていれば、そよ風でエアコンなしで屋内でも十分過ごせる、かなり心地よい環境。

仮住まいの浴室は、昨夜の入浴後は一晩中換気扇を点けていましたが、
窓があるので日中は換気扇なしで窓を開けっぱなしですっかり乾いています。
24時間電気を食いっぱなしの機械換気なんて、まったく不要。
昼間は窓からの明かりで、電灯を点けなくても掃除ができる明るさ。

こんどの新築の窓は小さいから、どうかなぁ・・・。
それでも、窓のない風呂場より、断然いいと思っています!