大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

京名栗 杉の玄関式台 ~ 京都京北 原田銘木店の名人技

今日8/10は「山の日」。
本来8/11なのに、今年は東京オリンピックの都合で前倒しだとか。

「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」という趣旨の日。
とはいえ、他の祝日と異なり山に関する明確な由来があるわけではないんだそうです。

世界トップクラスの日本の森は、輸入木材のあおりを受け荒廃している・・・。
環境負荷の大きい外材を接着剤で貼り合わせて家を建ててないで、
あり余る良質な国産材の利用、林業の振興に寄与する日であればと思います。

さて、8/9「​板金屋さんの手仕事・・・​」の稿の最後に
京名栗を施した杉の玄関式台に触れていましたが・・・。

これ、8/1(土) に、京都京北の名栗の名手 原田隆晴さんのところに、
玄関式台の材選びと名栗の依頼をしに、
日伸建設​の親方と我が棟梁と若手の大工さんと、
息子(京北で刳物挽物漆芸の修行中)とで行ってきたのでした。
名栗(なぐり)とは、木を釿(ちょんな/ちょうな)で斫(はつ)った化粧材。
木の癖や木目を一瞬で読み、力加減と刃の角度を変えながら斫っていく名人技です。
(2019/12/24「​京名栗@原田銘木店訪問​」の稿を参照。)

本来は文字どおり硬い広葉樹の栗の木を斫るのですが、
ウチの玄関式台は、敢えて「杉」でお願いしました。
というのは、数寄屋大工の巨匠 中村外二氏のご自宅の玄関には
杉の名栗を設えてあると聞いたからです。

杉は肌ざわりが柔らかく温かいのが身上。
お寺なら、あの欅や栗など広葉樹の板間の硬く冷たい感じが厳格さを醸し出しますが、
家人・客人を温かく迎え入れる家庭の玄関には、名栗の柔らかい表情と相まって
杉が相応しいと私たちも考えました。

原田銘木店​で用意してくれていた杉の厚板、
棟梁と親方とで品定め。「やっぱりこれやろ!」迷いはありません。

私には見分けはつきませんが、木目といい、筋がいいんだそうです。

8/6(木)、できたよ!と動画付きで連絡が入りました。
硬い栗より柔らかい杉の方が斫るのは難しいそうです。
木目に逆らうと逆目になって割れてしまうので台無しに!
それをあのスピードで一瞬で見抜いて釿の刃を入れる向きを変えます。
やり直しのきかない一発技が冴えます。

8/8(土)、午前中はウチの現場で造作作業をしていた棟梁、
昼から原田銘木店に受け取りに行きます。
京北には高速道路のアクセスがないので、片道1時間半ちょっと。
夕方に戻って来られました。


ウチのLDKに運び入れて、除幕式!
なんじゃ、こりゃ! 素人目には倉庫の奥で薄汚れていた材が、
釿だけで、こんなに美しく艶光り。出来栄えに、棟梁もビックリ!
でも棟梁も、材を見極める目は、さすがです。


今日8/10(月)、式台の加工に入ります。
式台の実寸に合わせて、どの範囲で取ろうか考えています。


その切れ端。こんなふうに名栗の表面に年輪模様が出るんですね。

台鉋かけとは全く表情が違って、曲線が際立ちます。

杉の断面をよく見ると、細胞が荒いのかこんなにザクザク。

だから空気層が多く、断熱性も高くて肌触りも柔らかで温かいんですね。

実際に式台をはめ込むところに棒きれを当てがって、
コンベックス(金属巻尺)の数字に頼らず実寸で採寸し型取りします。

その場で刻んで木口に鉋をかけます。

はめてみて、微調整します。


若手くんと二人がかりで・・・あっちからウレタンハンマーで叩きながら、
こっちで固定していきます・・・床下に潜り込んで・・・石場建ての床下は涼しい?


できました!
名栗ならではの曲線的な柔らかさと木目の美しさ。
機械名栗では表現できない、1/fに通じる揺らぎ。
足触りも柔らかで、意外と名栗の凸凹は気になりません。

杉なので、その特徴としての赤身と白太のコントラストも美しい。

据え付けられて気付いたのですが、天井の源平(杉の赤身と白太)との対比もいい。
ちょっと私たちには分不相応かしら・・・。またお気に入りがひとつ!
ご縁に感謝です。

朝から始めて、まだ日は高いけどもう夕方。
今日も最高気温実測36℃(室内34℃)のなか、お疲れさまです。ありがとうございました。