大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

ガルバリウム鋼板 : 外壁材としてどうよ? ・・・ ガルバキューブに見るデザイナーズ住宅のチープ!

香港警察に8/10に香港国家安全維持法に違反した疑いなどで逮捕された
民主活動家の周庭さんらが、今日8/12未明に保釈されたとのこと。

ひとまずホッとはしたが、戦前の日本にも治安維持法があったし、
近年もそれに通じるのではと懸念される法律が成立しているし、他所事ではない。
戦前ならさしずめ2×4住宅なんぞは、敵性建築として特高警察に摘発されたかも!

さて、
ウチの下屋の一部や庇をガルバリウム鋼板で葺いたことについて書きました。

​(銅板葺の代替としての緑青色ガルバリウム鋼板葺)​

そのなかで、
> 昔なら亜鉛めっきのトタン葺になるところですが、アルミ合金で大幅に錆び難いそうです。
> とはいえトタンの亜種ですから、安っぽく見えるのも確か。
> 余談ですが、外壁材としては、トタン張りのバラックっぽくなってしまう気がします。
・・・と、そのチープさについて触れました。

屋根の金属葺については、伝統的な建物でも昔からあります。
もちろんガルバリウムなんて近年普及したものなんで、もともと日本では銅板葺でしょう。

日本最古の銅板葺は驚くほど古く、
780(宝亀11)年の『西大寺資財流記帳』の記録に記載があるそうです。
西大寺といえば、奈良時代には大仏で有名な東大寺と並び大伽藍だった名刹
金属屋根はチープどころか、贅を尽くした耐火素材だったと思われます。

​参照:「​我が国最古の銅板屋根の記録​」(一社)日本金属屋根協会

​(銅板葺の西大寺手水舎☝ 銅瓦で屋根を葺いたとされる薬師金堂は現存しない。)​

(社)日本銅センター​によると、銅板葺は0.35mm厚以上であれば、
60~100年以上の耐用年数があるそうです。
ウチも銅板葺の本物の緑青(銅の錆色)にあこがれてはいたんですが、さすがにそうもいかず、
代替建材としてガルバの緑青色塗装で妥協せざるを得ず・・・ま、分相応というものかと。

ということで、私としてはガルバリウム鋼板は、
代替建材という位置付け以上の何物でもないって感覚なんです。

それでも屋根材としては、銅板の代替として優れた特性があるし、
葺き方によってはそれなりに見栄えのする、板金職人さんの匠の技。
現代住宅の屋根材としては、選択肢としてアリでしょう。

このガルバリウム鋼板を、近年は外壁材として採用することが流行っているようです。
ウチの地域でも、モルタルですがシックだった塗り壁の家が、
リフォームで黒いガルバになってしまった例があります。

でも、これってどうなんでしょう?
私にはチープにしか見えないんです。トタンのバラックって印象を免れない。


ガルバリウム鋼板を代替建材として捉えるなら
(それに誤解があるとしても新建材には違いなく、新建材はそもそも代替建材)、
何の代替かと思いめぐらせてみると、
昔、土壁もできず木の薄板だけで建てた小屋、
その木の薄板の代替として建てられ始めたのがトタン板の小屋。

土壁の防雨のためのサイディングとして張られた杉皮や焼杉薄板の代替に、
今では多くの古民家でトタンが張られています。
茅葺屋根をトタンで覆うのは意匠が凝らされて立派なのが多いですが、
壁のトタンは安っぽく興醒めです。

そう見てみると、やはり
ガルバリウム鋼板の外壁はチープだと感じざるを得ません。

モルタル外壁の代替建材としては窯業系サイディングがありますが、
これはモノによっては大変よくできた美観的にも好感度の高い家があります。

確かにガルバリウム鋼板の外壁には良い点もあります。
軽いので耐震性に優れている、寿命がトタンに比べ20~30年と比較的長いなど。
エコロジーの観点からも、鉄ですから自然素材ですし、
リサイクルも戦時中なら鍋釜金属供出の対象です。(・・・ひどい時代でした。)

でもこれとて裏返せば、厚みが1mmもないことから、
傷がつきやすいし、塩害に弱いし、メンテを怠ると錆びるし、断熱性能は無いし、雨音は響くし、
​寿命が長いったってたかが短命と言われる日本の住宅の平均程度しかないし(*)、​
費用的にも決して安くつくものではなく総合的には結構かさむものだし・・・。
窯業系サイディングだって当然リサイクルは行われています。
 
​(* 次世代ガルバリウムSGLは耐用年数30~50年だそうです。)​
 
何といっても見た目の印象や質感が軽薄で、
お世辞にも家の風格は醸し出すことは難しいと言わざるを得ません。
街並みの景観まで貧相になってしまいます。

(戦前からの瀟洒な街だったところに忽然!・・・いわゆるデザイナーズ住宅か?)​​

でも、今の若い人には、この軽薄さがクールでいいんでしょうね。
無印良品とかニトリなどに通じるような・・・。
しかも黒がカッコいいと思われるようで、
ガルバの家は黒が圧倒的に多いように見受けられます。

けれど、金属外壁で黒は、家の基本性能から言って論外でしょう!

日本人は黒・白といった色味がないのが好きです。
車でも白が圧倒的に多いし、
以前は黒は特殊な人の車でしたが、今では軽や大衆車でも黒が増えています。

確かに白い漆喰に黒い焼杉板は、日本的でカッコいいです。
でも黒のガルバリウム鋼板の家はどうでしょう?
ただでさえ波板トタン張りみたいなのに、資材小屋と大差ない印象・・・。


見た目だけでなく、黒い鉄板は暑い!のは、夏の黒い車で皆さんよくご存じかと思います。
これだけ高断熱が家の基本性能として叫ばれ、
Q値がどうだ、UA値(外皮平均熱貫流率)が
ZEH基準で0.6以下だ、HEAT20のG3の0.26を目指せ!とか・・・。
そんなときに、黒のガルバリウム鋼板の家を建てる建築家やビルダーが信じられません。

もちろん断熱材を入れるので、トタンの小屋とは比較にならないでしょう。
でも、同じ断熱材なら、黒のほうが暑いに決まってます。

日本ペイントなどの資料をちょっと見ても明らか。
ザっと一例を挙げると、明るい色なら日射を7割ほど反射しますが、
黒っぽいと3割ほどしか反射しません。

(それもあって、ウチのガルバ葺は、陽の当たるところは緑青色にしました。)



そのくせ窓は、熱還流率を押し上げる元凶だからとやたら小さくしたりして、
さらに費用を抑えるためかデザイン偏重か
軒も庇も無くしかも陸屋根のただのキューブ型にしたりして・・・。

 

合理的な四季に応じた温熱環境も雨仕舞も日本の気候風土をまったく無視した、
本末転倒な新築が増えているように見受けられます。

 

​​​(​ ​黒いキューブが無機的で邪悪なものの象徴として描かれている、映画Star Trekの敵宇宙艦Borg cube。)​​
 
こういうの、いわゆる建築家が設計することが多いんじゃないんですか?
建築家って自称だそうですけど、建築士って国家資格でしょう?
医師と言ってもヤブ医者が人の健康を損ねるように、
建築士と言ってもヤブ建築家も人の健康を損ねる。


​(「デザイナーズ住宅 ガルバリウム」で検索・・・こんなのばっかり…)​

こうした家は、かかった費用に見合わないチープさから、
住処としての普遍的な価値観が宿らないので、
結局はいっときの流行として遠からずスクラップ&ビルドの対象となっていくでしょう。

 

同じ黒一色でも、無垢材の外壁は質感がガルバと桁違いです。

​​​​(石場建て伝統構法の新築例:平成の京町家)​​​​

なんか話しがどんどん暑く・・・いや熱くヒートアップ、HEAT50!ぐらいになってしまいました。
・・・頭を冷やして・・・
 
そんなヤブ建築家に​ボーグ(※)​のように同化されないためにも、
家を建てたいと思うなら、いっときの見た目だけの流行りに乗ることなく、​
私たち素人もリテラシーを高めるしかありません。​​​​
 
一方的な私見なんで、気を悪くなさる方がいらっしゃるかもしれません。すみません。
こんな気ままな発信も当たり前な「自由」と「民主」を、
看板倒れにしないよう自分たちで守っていかないと!
でないと、日本だっていつ香港化するかボーグ化するか、分かったもんじゃありません。

※ボーグ(Borg)は、スタートレック(Star Trek)に登場する、架空の機械生命体の集合体。
 「同化」と呼ばれる強制的なサイボーグ化により、集合体へと他のヒューマノイドを取り込んでいく。