大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

屋内造作がとりあえず一段落、外壁材にとりかかり始めました ・・・ 大工さん大奮闘!

石場建て伝統構法の新築工事現場、今日も猛暑のなか作業です。
午前中に、このブログを見たという方が、見学にいらしたそうです。
ありがとうございます。

で、その方が棟梁におっしゃるには、火打ちをボルトで留めたくない・・・。
かなり意識の高い方とお見受けします!

火打ちとは、水平構面の変形を防ぐための斜め材のことで、
普通はボルトで固めてしまいます。

実は私も設計に入る前に、火打ちを入れるとしたら・・・と考えたことを思い出しました。
木組みの粘りを生かすために金物で留めない工法はないものか?
で、どうもそもそもは蟻組みで、ボルトなんか使っていなかったようなんです。


今日お見えになった方は、木組みではできないと他所の工務店で言われたんだそうです。
そりゃぁ、プレカット材しか扱えない、手刻みのできないビルダーが今では大半でしょうからね。
でも、できる工務店にはできるんですよね!
ウチは伝統構法にしたので、もちろん火打ちや筋交いのような斜め材は必要ありません。

今週はこの夏いちばんの暑さのピークだったようで、今日も昨日よりマシとは言え茹だる暑さ。
建築中の家の中は、外から入った瞬間だけは心持ち涼しいけど、扇風機は必須!
・・・と思ったら、夕方5時過ぎからは、滝のような夕立☔ 雨は何日ぶりでしょう。

お陰で涼しくなって・・・と言ってる場合じゃない!
今日は8/20(木)から始めていた外壁の作業をしていたのです。
既に荒壁土の上から防水シートは張ってあったんですが、
その外側に杉板を張るための下地になる胴縁を打ち付ける作業をしていたのでした。


南側は余地が比較的大きく作業しやすいけど直射日光がガンガン射すし、
北側は都市型住宅のため隣家が迫っていて超狭く、大変な姿勢での作業です。

そこに降ってきた大雨!作業中断。本当に大変なお仕事、お疲れさまです。

さて、外壁材の杉板は雨仕舞の比較的いい縦張りにするので、胴縁は横張りにします。
そうすると、土壁と外壁材との隙間の通気層の空気が上下に抜けなくなるので、
胴縁の裏側は一定の間隔で杓(シャク)って(切り欠いて)あります。
この胴縁、一般的には杉なんだそうですが、聞けばここでは檜だとか。


屋内の方はというと、今週も少しずつ着々と進んでいます。
まず8/17(月)には、窓回りなど荒壁土を塗ってなかったところや
引戸が収まる半壁など仕切壁に、木摺(キズリ)を打っていきます。


木摺とは、中塗り土壁や漆喰などの下地になる薄い小幅板のこと。
日伸建設​でも自家製材してあったんですが、
京都京北の​原田銘木店​に依頼していた​名栗の玄関式台​を8/10に棟梁が受け取りに行ったとき、
北山杉製の木摺もついでに仕入れてきて使ってくれたものです。


外壁に面しているところには、ここには荒壁土は入っていないので、
断熱材(フォレストボード)を詰め込んであります。

そして、先週からかかっていた1階トイレの椹(サワラ)の腰板が、8/19(水)には完成。
手洗器のカウンターは美しい桜の無垢板、そしてそれと向かい合わせの
小便器の前に当たる小さなカウンターには、何これ?・・・赤い杢目板!
これは杉の脂身とでもいう部分だそうで、虫食いの穴みたいなのがあったり、
まさに山で拾ってきたみたいな男性用にピッタリの野趣あふれるカウンター。
この棟梁の感性、さすがです! またお気に入りがひとつ増えました。 

8/20(木)には、そのトイレの手洗い器の背中合わせの洗面台に、
洗面シンクがはめられました。

これ、いわゆる理科室にある実験用シンク、TOTOの病院用流しSK106です。
 
ここは8/15「​・・・屋内造作がかなり進んできました​」の稿にもあるように、
かなりギリギリの余地しかない難しい構造になっているところで、
私も参考まで自分でシミュレーション寸法図を描いてみて、棟梁にお願いしたところです。
こんなにうまく組み込めたなんて感動的です!

この造作洗面化粧台についてはいろいろあるんで、
ミラーキャビネットがついてから稿を改めようと思います。

あと、システムキッチンが入るところのタイル張りをお願いした壁面に、
土壁の上から下地板が張られました。

普通なら合板のボードを張ってタイルを接着剤で貼るんでしょうけど、
ここではそれも杉の無垢板。さて、どうやってタイルを貼るんでしょう?

そんなこんなで屋内の大工造作もだいたい一区切りのところまできていたので、
今日は外壁の胴縁を主にやっていたのですが、夕方の大雨が1時間ほど続いて最後までできず、
胴縁は週明けに持ち越すことになってしまいました。
火曜日には外壁材を張り始めることになりそうです。

あ、今日玄関を見たら、壁面ニッチのところに間接照明の配線が・・・。
塗り壁の下地板が張られて、ニッチの概容が見えてきました!


ところで、夕方、民生委員の方に依頼されて町内ボランティアで、
ご近所のご高齢の方のお宅にベッドを組み立てに行きました。
で、しゃべってたら、町内でウチの建築のことがかなり話題になっているという話しでした!

建て方が始まった2/17から半年たって、ご近所の新築工事には何軒も先を越されてるのに、
ウチはまだ外壁材も張ってないのですから・・・。
今どき土壁の家ってことで、「そりゃぁテマもヒマもかかるわな!」って。

棟梁は若いので、自分で土壁の家を手掛けていながら、生い立ちの中での実体験はないそうです。
だからかえって石場建てや土壁って新しい工法。
でもご近所の年配の方には、この手間が実感として分かってもらえます。

日伸建設​の​親方​​​が若い棟梁を育てようと、
石場建て伝統構法に取り組み始めた甲斐があるってもんです。

来週後半には左官仕上げが入って、9月中には足場が外されるようです。
長期間に渡りご近所にはご迷惑をおかけしますが、どうかご容赦を。