大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

新民家 ・・・ 町家の風情 ~ 縦格子 : 面目躍如! 木の家の妙

今日は土曜日ですが、石場建て伝統構法の新築現場はお休み。
といっても、​日伸建設​の棟梁や大工さんたちは他社の建て方の応援に行っています。
 
ここも普段は2~3人の大工さんですが、最初の建て方のときは
応援の大工さんがたくさん来てくださり、総勢10人ほどでした。
2/17「​建て方初日​」の稿を見返してみると、つい昨日のことのように思われます。

この石場建て伝統構法の建て方は​上棟まで4日間(2/20まで)​かかりましたが、
今日の建て方の応援に行っている新築現場はプレカットの家だそうですから、
きっと今日中に上棟してしまえるでしょう。
 

(今回の現場ではありませんが、ここも1日で建て方が済みました。)​​

大工さん手刻みの仕口・継手はキチキチに刻まれていて、
はめ込むのに大きなウレタンハンマーを両手で振りかぶって何度も何度もコーンコーン・・・。
叩き込むとそれだけでガッチリ組み込まれビクともしません。

が、プレカットだと材木の自重だけで半分ほどはまって、あとは小さいハンマーでコンコンコン。
組まれたあとグラグラで乗ってるのが怖いほど。ボルトで接合してようやく収まるそうです。

あれからもう7か月! その間ちょうど新型コロナウィルス禍に見舞われて
2/27からは全国一斉の小中高校の臨時休校、5/25には緊急事態宣言が解除されたものの、
感染拡大は一向に収まらず増加傾向が続いています。

その間バタバタとアッと言う間のような気もしますが、
普通の家の工期3~4か月のことを思えば2倍以上の長い工期。
それで竣工までに新型コロナウィルスは終息するのでしょうか。


さて今週は、その完成形がハッキリ見えてきました。
というのは、先週の「外壁ほぼ完成!・・・」9/13稿の杉無垢羽目板縦張りに続き、
窓などの縦格子が取り付けられたのです。

まず9/14(月)には、残っていた外壁の目板押さえを、ほぼ打ち付け終えました。
住宅密集地の狭い余地で、釘打ち機を使わず金槌で延々打っていく地道な作業。
若手大工さん、「手打ち」のいい味だしてます!


そして並行して、西側の出窓に面格子が取り付けられました。


こちらの面は、南面の掃出し窓が軒が深くて冬場の日光を取り込めない代わりに
午後の採光を確保するのと、閉塞感を避けるため、
空が少し見えるようにとお願いしたので、上側を少し空かした形にしてくれました。


西面は夏場の西陽を避けるため大きな窓はつけないのが
日本の昔からのセオリーでありパッシブデザインの基本です。

でも私は、西向きの傾斜地に建つこの地の淀川に向けた眺望と
淀川の向こうの山々に沈む夕日が大好きなので、
敢えてここに大きな出窓を設定しました。

この神々しい夕日が見たかったのです!

真夏の西陽で往生するのは、1年で8月頃のたった1か月ほど。
それだけのために眺望と採光を犠牲にしたくなかったし、夕日は極楽往生の象徴です。
強烈な西陽は、この面格子と、簾と、遮熱型Low-E複層ガラスと、紙障子で遮ります。

そして、その上のケラバのところに、小屋裏換気扇の排気口を隠す格子も付けられました。


排気フードの出っ張り分があるので外壁からかなり浮かせてあります。
排気フードはそんなに大きなものではないので、妻面の意匠上の特徴にもなっています。

この小屋裏換気扇の排気口は、東面にもあります。
やはり小屋裏現しの屋根なり天井は、真夏にはある程度どうしても熱気が溜まります。
そこで、両側の妻面の最上部から排気できる仕組みを工夫してくれました。


9/16(木)、この格子が据え付けられます。
と同時に、東面の窓の格子の下地も作っています。


なかなかの圧巻! ケラバの表情が一気に引き締まりました。


この日、換気扇やエアコンの配管孔のなど工事に、電気屋さんも来ていました。

いろいろな職人さんのコラボで、家ができ上っていきます。

翌日9/17(金)、夕方には東面の2階の窓の格子ができ上っていました。


こちらは道路に面した表側の意匠として、ズラッと並ぶ縦格子が欲しかったところなんです。
​​​(設計前の初期にペイントで描いてみたイメージ画・・・実際とは異なっていますが。)​​​

東面も、真夏の強烈な朝陽を避けるため、大きな窓はつけないのが
日本の昔からのセオリーでありパッシブデザインの基本なのですが、
この地は西向きの傾斜地で東側は山なので、特に冬場は日の出がかなり遅いのです。

それと、朝はしっかり明るくなった方が目覚めがいいので、
ここもセオリーに反してしっかり窓をとってもらいました。

お向かいの家の1階と対面しているので、この面格子は目隠しの意味合いも大きいのです。

実際に見てみると、この時季の朝9時台、東からの陽射しをうまく格子が和らげています。
その上、ここに紙障子が入りますし、必要に応じて簾も吊ることができます。

そして、ちょっとした工夫が・・・!


今週最後の作業日9/18(金)。
1階南側の窓にも、無垢材の面格子が取り付けられました。

よくあるアルミの面格子とは桁違いに良くなります。

これらは洋風の上げ下げサッシ窓なんですが、こうすると十分この家に馴染みました。
しかもここにも上げ下げ紙障子が入るので、しっかり和風になります。

その横がアルミ(樹脂複合)サッシなのは、ご愛敬・・・。
こここそ木製サッシにしたかったところなんですが、予…予算がぁ!

これらの格子も、全て赤身の無垢杉。無塗装でも腐朽や虫害に最も強い国産材の一つです。
あと残りの南西側インナーバルコニーの格子も含め、総数はなんと優に200本は下らないとのこと。
それが全部手刻み! アルミ既製品と大違いの手間。

その手間分、100%思い通りの家ではなくとも、満足度は120%!

   波動砲、エネルギー充填120%!)
 
棟梁をはじめとして大工さんや職人さんたち、本当の意味で思いをかなえてくださいます。
外壁の縦張り無垢杉板と無垢杉縦格子で、縦ラインの際立つ外観の完成形が見えてきました。

でもこの家は、竣工が完成ではありません。
今は杉の美しく若々しい赤身が、これから十年以上かけて
落ち着いたシルバーグレーに変化していくのです。
その、新品から劣化し始めるのではなく、生まれてから熟成していくのが楽しみな家です。

いよいよ来週4連休明けには、左官さんの壁塗り最終段階。
そして足場の撤去が、10/1(木)に決定しました!!