大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

木組み土壁の家の快適性 ~ 冬季 ・・・ 室温の連続性と日射取得

年末​12/26の引渡し​以降、入居はまだですが、
日中は新居にいたり、夜に風呂に入りに行ったりすることが増えました。

そんな現居宅といったり来たりするなかで感じることは、
家中気温が連続していることの心地よさです。


(元旦の朝、よく晴れました。午前中は、こんなふうに陽が当たります。)

現居宅は築五十年、当時の断熱材も入っていない単層ガラスの平均的な家。​
恐らくC値(気密)は測定不能なほどの隙間。

日中にエアコンで20~22℃ぐらいに暖房していても、
夜8時間エアコンを止めているだけで朝の室温は5~6℃ほど。

暖房は部屋ごとなので、屋内を移動するたびに
温かい⇔寒いを行ったり来たりすることになり、
これが結構こたえます。

ところが新居は、1階の床置きエアコン1台と2階の小屋裏エアコン1台の2台。
1階の1台だけで22℃設定で稼働していても、家中どこに行っても寒くない。
2階が16℃ほどにしかなっていなくても寒くない!

さすがに16℃では温かくはないけれど、寒さは感じない。
これには驚きです。気温が家中連続している効果でしょうか。
対して現居宅はエアコンで20℃になっていても寒さを感じる!

大阪でも連休明けには大寒波、1/11~12(火)にかけて初雪が積もりました。
11日には新居にいたので室温は20℃にしてありましたが、夜に暖房を切り、
翌12日の晩に行ってみるとまだ10℃ほどまでにしか下がっていませんでした。

そしてそのまま暖房せずさらに翌13日の晩、
7度ほどに下がっていましたが、肌寒くても寒くない・・・
心地いい寒さというのか、何とも言葉にしようがありません。

屋根と床には断熱材(フォレストボード)が入っていますが、
壁は外壁は杉無垢板30mmと通気層と、内壁は壁土・砂漆喰だけです。
外皮の蓄熱性能とC値実測4.68が功を奏しているのかもしれません。

UA値もQ値も計算していませんが、C値は5ギリギリで、
決して超高気密高断熱の家ではありませんが、
心地よさは数値が全てを現わしているわけではない!と実感させられます。


さて、冬に室内が冷え切らない要因の一つに、
「日射取得」が挙げられるのかな?と思います。

大都市近郊の住宅地なので隣家との間隔はあまり取れませんが、
この家は南側をできるだけ大きく空けてあります。
敷地は南北に狭く東西に長いので、間取り的には難しかったのですが・・・。

夏の陽の高いときには日射を遮蔽できるよう、南側の軒は半間出してあります。
けれど、冬至頃の陽の低い時季には、南側隣家の北側斜線のお陰で陽射しが入ります。

年末年始、10時ごろの1階東の書斎☝。直射日光が入ります。
上げ下げ障子で日射の調節ができます。
2階東の部屋☝も同様です。

同時刻の1階真ん中の居間☟にも同様に陽が射しています。

これが南中する時刻になると☟、部屋の窓からは陽が入らなくなりますが、
2階の窓から吹抜けを通して陽が部屋の奥に射しています。



午後になると、1階は完全に隣家の影に入ってしまいますが、
2階の西側の部屋☟には隣家の屋根とこちらの軒の間から陽が射しています。


このあと南西の別の隣家の影に入りますが、
西側に窓を大きくとってあるので、日暮れまで暗くなりません。
(夏季の西陽は簾や障子で遮ります。)


これらの窓配置は、私が現地を観察して間取りに反映させてもらったのですが、
竣工して実際に見てみると、想定どおりの結果になっていてホッとしています。

このような冬の日射取得(夏の日射遮蔽)は、
​専門的には​パッシブデザインと言うそうですが、​
​私のような素人でも現地をよ~く観察して考えれば大体は分かるものです。

参照:​ワークショップ「き」組 Q&A「パッシブデザイン」とはどんな意味ですか?


そして​日伸建設​の我が棟梁は、その意図を十二分に汲んで設計してくれました。
お陰で、こうして日光をうまく制御できる家にしておくことが、
省エネにもつながることですし、快適性に大きく影響することを実感しています。

家を建てようと思ったら、ぜひそういう視点で設計してもらえるよう、
工務店建築士に相談してみましょう。
きっと見識のある優良な専門家なら、いい提案をしてくれるはずです。

そういう視点を持てないようでは専門家とは言えないし、
外皮性能の数値だけに目を奪われて、​軒ゼロ​や陸屋根で、
断熱材や気密だけで何とかしようなんていうのは、論外ではないでしょうか。