大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

伝統構法の家の住み心地:真冬の温熱環境 ~ 無垢材と土壁の心地よさ

1か月半以上ぶりの更新になってしまいました。

前回​1/30の投稿​は
> 休日は引越しの続き、片づけが当分続きます。
・・・と締めましたが、実際休日どころか毎日帰宅後に片付けに追われ、
とてもブログに手が回りません。

というのと、この家の寛ぎ感は半端じゃなく、
夜にデスクに向かう気になれない!

照明を電球色で暗めに設置したこともありますが、

無垢の木の香り(普段は鼻が慣れてしまって意識しないけど来客は必ず驚く)と
土壁の空気清浄の力(消臭剤や芳香剤は一切不要)とで、
帰宅後はただただゆったり気分。


・・・と、バタバタダラダラしているうちに寒さも和らぎ、
春の兆しを実感できる時候になってきました。
今日(3/19)は大阪でも桜の開花が発表され、枚方の最高気温は21℃。

今のうちにこの家の冬の住み心地を書き留めておかないと、
冬でも心地よかったなぁ・・・って印象だけで、具体的なことは忘れてしまいそうです。

実際、寒い日も温かい日も、屋内は快適そのもの。
木組み土壁の家の底力を思い知らされた冬でした。


2月14日。この日は外気温は21℃と、この時季にあるまじき春のような陽気。
さすがに昼間はこの冬24時間つけっぱなしのエアコンを切って、
玄関を開け放して、心地いい風と陰翳(インエイ)を楽しみます。


道に直に面した玄関ですが、建具のお陰で外からは中を見通せず、
室内からは外を直に感じます。
道で遊ぶ子どもたちの声がかわいい。

南面する掃き出し窓は2枚1間幅全引込開放し、
上げ下げ障子の上を開けて空とつながりながら、
前の道から屋内への視線は遮ります。



2月18日、4日前の陽気とはうって変わって、
朝8時の外気温はなんと0.3℃!
大阪・枚方では日の出後に氷点下ということはほとんどないので、
この冬一番の冷え込みといっていい日。


さすがに朝イチは直火に手をかざしたくなります。
そんなときに役に立つのが、THE昭和!のガスストーブ。
ガスファンヒーターも持っているのですが、
部屋全体の暖房というより直火の遠赤外線が体が芯から温まります。


それも寝起きの半時間ほど点けるだけ。
前述のようにエアコンは24時間点けっぱなし。
この冬ずっと1階の床置きエアコン1台だけで22℃設定のまま。

で、この日8時の1階床上の室温は19℃。

2階床上も同様。


それで寒いかというと、そうでもないのです。
これだけエアコンを点けっぱなしにしていても、
湿度が40%を下回ることはないというのが大きいと思われます。

もちろんセーターなど(私は作務衣)を着こんでいてということですが、
そもそもガンガン暖房してTシャツ1枚で過ごそうなんていう
エネルギーを浪費し不健康に暮らす発想がないので、これでいいのです。

1階と2階は吹抜けや階段室で直につながっているので、
室温にほとんど差がない(これが心地良さの大きな一因)のは当然として、
特筆すべきは完全に遮断されたトイレの中・・・冷え込んだこの日で16℃。


トイレは暖房をしていないのに、いつもなら17~18℃。
湿度が50%以上あるので、寒さを感じません。

これはどういうことでしょうか?
恐らく壁芯から全て壁土という本物の土壁の、
保温力・保湿力が大きくものを言っているのだろうと思われます。

土壁の蓄熱性能・調湿性能を肌で実感しているところです。

そしてもうひとつ。
前述の南面する掃き出しの窓際。
障子の内側は14℃、障子とLow-eペアガラスとの間が9℃。

その差5℃も、障子の内側が温かい!

これは分厚いカーテンを掛けているより、断熱性能が高いのではないでしょうか。
障子に触っても、カーテンを触ったような冷たさは感じられません。
さすがに窓際は室温より低いのですが、ヒヤッとはしないのです。

障子はもっともっと見直されていいと思います!


すごく寒い日、けっこう温かい日、
この冬ずっと24時間家中ほぼ18℃~20℃、湿度40~50%。

そんな居住性能が、特別な建材や工法や何とかシステムを使わなくても、
日本に古来からある普通の建築構法で実現できるのです!

実は24時間エアコンを稼働しておく必要はないのかもしれません。
でもウチではこの子がひとりで留守番していることもあるもんで・・・。

けっこう勇ましいのですが、冬毛のないヨーキーで15歳の老犬です。

で、これに薪ストーブでも焚こうもんなら、暑いぐらいでは?
寒い時季は寒いなりに、暑い時季は暑いなりに自然に暮らしたい私たちとしては、
エアコン1台(+ガスストーブ)で十分満足ですが・・・。
(そもそも薪ストーブの導入には否定的なので、その件は別稿で。)

ただ、本当は火鉢は欲しいなぁと思っているんです。
暖房という意味ではなく、火と暮らすという意味で。
けれど思いのほか気密性能が高かった※ので、躊躇しているところです。


ところで、
この家は軒もケラバも長い(ほぼ半間)ので、
晴れた日の日向と日陰のコントラストがとても美しい。


そしてその日陰は、雨当たりも防いでくれています。
横殴りでない限り、雨で外壁が濡れることはあまりありません。


この長い軒とケラバが家を傷める紫外線と雨から外壁を守ってくれていることを、
ハッキリと見て取ることができます。

そして、夏の高い暑い日射を遮り、
冬の低い温かい日射は南面の大きなから導き入れます。


そんなところからも、
自然の条件に素直に建てる日本古来の普通の建築構法に、
この地における住宅の「基本性能」を見ることができる・・・。

大手ビルダーの何とか工法とか、にわか仕込みのものなんて必要ないんですよね。
千年かけてこの地で培ってきた家づくりの手法が既にあるのですから。


パシッ!
あ、また無垢の木が鳴っている・・・。