大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

晴れの日の朝陽と夕陽 ・・・ 光を採り入れ光を遮る ~ 陰翳礼讃

今日4/4は朝から久しぶりの雨・・・というか、また日曜の雨。

雨はこの無垢木組み土壁の家には恵みでもあることは、

とはいえ、やっぱり雨は鬱陶しいので、
この時季のよく晴れた朝陽と夕陽について想いを廻らせてみようと思います。


というのも、今日で定年退職という3/31の朝、
障子越しの柔らかで爽やかな朝陽に目覚めたのが印象的だったんです。


この窓は、紙障子と組み合わせて遮光襖が閉められるようになっています。
普通ならレースのカーテンに遮光カーテンといったところでしょうか。


ここは東側が高いという地勢で直接の日の出は多少遅いのですが、
この時季の朝は7時半にもなると、2階東面の窓には直射日光が射すんです。


その強く眩しい陽射しを、紙障子が軟らかく拡散してくれます。

そしてその縦繁(タテシゲ)格子に更に外の面格子が影を落として、
千本格子さながらの陰影を描き、爽やかな目覚めを誘います。


真っ昼間は軒が深い(約90cm)ので直射日光は程よく遮ってくれていますが、

2階の南面の窓からの光を簀子(スノコ)吹抜けが柔らかく1階へと導きます。



西側は、西陽を敢えて取り入れるように窓を配置してあります。
冬はそれで短い日照時間を最大限生かすことができますが、
さすがに夏の強烈な西陽の暑さは遮らないといけません。


2階西の出窓からの紙障子越し光は、日の入りまで部屋の奥を柔らかく照らします。
東面の窓と同様、縦繁格子のスクリーンに外の面格子の影が千本格子を映ります。
遮熱型の複層Low-eガラスですが、さすがに盛夏には簾を掛けないといけなくなるかもしれません。



1階の西側の部屋はキッチン。
西面の窓は食器棚を挟んで上下に分けてあります。

下側は​滑り出し窓​で、通気とシンク手元の採光を確保。
上側は​FIX(はめ殺し)窓​で、ハイサイドライト(高窓)として部屋の奥に夕陽を届けます。


今の時季の黄昏前、夕方5時半ごろ、
居間の東側の千本格子建具に射す夕陽は、この家の私のお気に入りのひとつです。


今どきの家は高気密高断熱24時間機械換気の性能を競うがあまり、
窓は熱損失が大きいと、窓を小さめ少なめに採光も通風も考慮しない傾向があるようです。
或いは明るさを求めるがあまり、夏の強烈な日差しを考慮せず、
軒も無いのに南面に大開口の窓を設ける例もあるようです。

けれど、通風と日射取得や日射遮蔽を両立させる窓の計画は、
家づくりの最も大切な要素のひとつだと思います。

そしてそれを追求した結果、「​陰翳礼讃​」が導き出されました。
まさに日本の住宅の美と言えるでしょう。

​(家づくりを考えるにあたっての必読書です。)​



今日は昼にはいったん上がった雨も、午後からはけっこう降りました。
ウッドデッキはビチョビチョ!(それでも壁も窓も雨はかかっていませんが。)

国産材としては最も水に強い木のひとつ、無垢杉の赤身を張ってはありますが、
やっぱりウッドデッキの使い勝手から言っても覆い屋根は欲しいところ。

ということで、明日からいよいよ(というか、ようやく)その設置工事が始まります!
家の設計段階からその計画はあったんですが、
竣工・引渡し後もなかなかその具体的な構想が固まらず、
ちょうど竣工前から並行して建て始めた​奈良・富雄の新築工事​が佳境に入ったこともあり、
早3か月以上・・・。

普通なら市販のアルミのテラスルーフを組み立てるだけの工期1日なんでしょうけど、
さすがに石場建て伝統構法の家には似つかわしくない!ってことで、
棟梁もずっと悩んでいて宿題になっていたのでした。

工期は2~3日みといてください・・・とのこと。
さてどんな屋根がウッドデッキに架けられるのでしょうか?
楽しみです!