大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

伝統構法の家の温熱環境 … 前半期 ~ 無垢材の家の心地よさと省エネ性能

​​​​​​​​​​​​​​​​無垢の木と竹と土と紙のこの家。
暮らし始めて半年が経ちました。

1年で最も寒い時季から最も蒸す時季まで、
これまでブログでこの家の温熱環境にちょくちょく触れてきました。
この稿では、それらを記録の意味で抜粋し、まとめてみました。

もちろん家の心地よさは、温熱環境だけの問題ではありません。
五感全てで感じるもの。視覚・触覚・嗅覚・聴覚、素敵なキッチンで味覚も?
さらには第六感に響くものさえ感じる心地よさのこの家ではあるのですが・・・。

 
さて、再度この家の仕様・・・。

断熱材・・・。

フォレストボードを、燻防災瓦屋根裏に60mm、40mm厚無垢杉床下に90mm。

壁は断熱材なしで、外壁は杉無垢板30mm/通気層と、内壁は壁土・土漆喰だけ。

窓・・・。
Low-E複層ガラス樹脂アルミサッシに、
障子の組み合わせ(滑り出し採風窓以外すべて)。

空調・・・。
エアコン、1階の床置型と2階の小屋裏壁掛型それぞれ14畳用2台を、
時季によって1台ずつ稼働して全館空調。
予備にガスストーブと扇風機と寝室に6畳用エアコンを、限定的に使用。

断熱性能の数値・・・。
UA値もQ値も計算していませんが、C値は実測4.68cm²/m²。
数値上はH28年省エネ基準目標の5ギリギリで、
決して超高気密高断熱の家ではありません。

それで実際に暮らしていて、
外皮の蓄熱性能と、そこそこのC値が功を奏しているのかもしれませんが、
心地よさは数値が全てを表しているわけではない!と実感させられてきました。
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​(冬の日射取得)​

 1階の1台だけで22℃設定、家じゅう寒くない。
 2階が16℃ほどにしかなっていなくても(温かくはないけれど)寒くはない。
 (前の家では、エアコンで20℃になっていても寒さを感じる。)

 大寒波襲来、初雪の積もった1/11~12。
 日中エアコンで20℃にして夜に暖房を切り、
 丸1日後の夜はまだ10℃ほどまでにしか下がっていなかった。

 そしてそのまま暖房せずさらに翌13日の晩、
 7度ほどに下がっていましたが、肌寒くても寒くない・・・
 心地いい寒さというのか、何とも言葉にしようがない。
​​
​(玄関からの風通し)​

 暖房はずっと1階の床置きエアコン1台だけで22℃設定のまま、
 老犬のために24時間点けっぱなし。

 2/18、朝8時の外気温0.3℃。この冬一番の冷え込みといっていい日。
 ガスストーブを寝起きの半時間ほど点ける。
 1階床上の室温は19℃。寒いかというと、そうでもない。

 これだけエアコンを点けっぱなしにしていても、
 湿度が40%を下回ることはない。

 トイレは暖房をしていないのに、いつも17~18℃。
 湿度が50%以上あるので、寒さを感じない。

 南面する掃き出しの窓際は、障子の実力発揮。
 障子の際の室内側は14℃、障子とLow-eペアガラスとの間が9℃。

 この冬ずっと24時間家中ほぼ18℃~20℃、湿度40~50%。
 不快指数は、18℃/40%で62.3(何も感じない)。
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​(機械に頼らない窓からの換気)​

 3/29夜9時 室温は21.1℃
 3/30朝8時 室温は20.5℃ 外気温は14.5℃。
 3/30夜9時 室温は21.1℃ 外気温は17.1℃。
 3/31朝8時 室温は20.5℃ 外気温は12.6℃。
 3/31昼2時 室温は19.9℃ 外気温は23.0℃。

 湿度は、室内は連日ずっと50%超え・・・外気が25%ほどと乾燥しても。
 外気の変動にほとんど影響されず、一定の室内環境を保っている。

 気候風土適応住宅に該当する仕様の家なので、
 24時間換気義務適用外でそんな換気システムは設置なし。
 卓越風を考慮した窓配置により、十分な換気ができている。

以降、4月~6月の3か月間は、
エアコンをほぼ全く使用していません。
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​(障子による日射と通風と視線の調整)​

 4/25、13時、外気温23℃突破、湿度22%まで乾燥。
 室内は窓を全開放していても22℃台、朝から1℃ほどしか上がらず。
 湿度36%で、閉め切ったいつもの夜の41%ほどから大きくは下がっていない。
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​(雨の石場建て)​

 早くも5/16には、近畿地方は梅雨入り。
 一日中よく降っていた5/17、外気温19℃台~25℃台、湿度は80%ほど。

 室内は、このところずっと24~26℃台。
 窓を一日中すかしておいて湿度65%台。
 (雨でも、閉め切って気密を保つなんてことはしていない。)

​ 不快指数75弱(ギリギリ「暑くない」範疇)。実体感的には「心地いい」。
 4月以降ずっと、晴れても降っても全くエアコン要らず。
​​
​(梅雨…雨が降っても)​

 6/4、雨天。18時ごろ、外気温22℃ほど、湿度80%ほど。
 日中はずっと窓を少し空かしておいた状態で、
 1階室温24.5℃ほど、湿度65%ほど。
 2階室温25.5℃ほど、湿度55%ほど。

 それから家中の窓を全開し外気を入れて20時ごろ、
 屋外は温度湿度とも変化なし。
 1階室温22.5℃ほど、湿度75%ほど。
 2階室温25.5℃ほど、湿度60%ほど。

 外の空気が一気に入ったので1階はかなり涼しくなり。
 そして湿度は少し上がって、それきり安定。

 不快指数70~73ほどで「暑くない」の下限近く。
 「快い(65~70)」の範囲ではないが、
 実体感として不快感は全くない。
​​
​(自然素材は老犬の寿命を延ばしている?)​

 最高気温は連日30℃超え。
 でも、日中は対面する窓を開けて通風を確保しておくことで、
 最高室温は27℃ほどで収まっているので、まだエアコンは不要。

 夜は気温がまだちゃんと20℃ほどまで下がるので、
 格子窓を空かしていれば屋外と屋内の温度差で外気が入ってきて、
 暖かくなった室内を冷ますことができる。
​​
​(西の窓から風を採り入れ西陽を防ぐ)​

 今日6/21は夏至
 14時過ぎ最高気温32℃。空調なし窓全開、室温は26℃ほど。
 18時ごろは外気温28℃ほど、2階室内も窓全開で28℃ほど。
 外から爽やかな風がそよぎ、エアコンも扇風機も無しで快適。


7月からは、3か月ぶりにエアコン空調を再開しました。

≪7/3稿≫
​​
​(夏用の2Fエアコン:冬用は1F床置き)​

​ 7/2、最高気温28℃、湿度90%超え。
 外気を入れても涼しくないので、ほぼ3か月ぶりにエアコン稼働。
 夏場は2階の天井エアコン1台、当面「除湿/弱」設定で全館空調。

 外は最高気温31℃湿度70%。
 室内は一日中、家じゅう26℃ほど、湿度57%ほど。
 不快指数は73.9(暑くない)だが、体感的には~70(快い)って感じで過不足なし。

 エアコンの及ばない玄関土間もWCも、26℃/65%程だったので、
 エアコンなしでも不快指数は74.7「暑くない」で、
 これなら扇風機だけでも大丈夫だったが・・・。


昨日7/9の雨上がりの朝、今年になって初めて蝉の声を聞きました。
まだ梅雨は終わっていませんが、夏本番の到来を感じさせられます。

今日は、久しぶりに一日中雨が降らず、時おり陽射しも。
最高気温31℃、湿度79%。
不快指数84.4(暑くて汗が出る)、85~(暑くてたまらない)寸前!

こんな日は、窓を開けて風を入れるとかえって不快。
空調なしの玄関やトイレは日中ずっとほぼ27.5℃/65%前後で、不快指数77(やや暑い)ほど。
窓を閉め切って扇風機を点ければまだ何とか過ごせないこともありません。

けれど、27.0℃/50%で不快指数74.4(75が暑くない上限)なので、
これを一応エアコン稼働の目安にしています。
いや、29℃/70%で79.9(80がやや暑い上限)なので、それを目安にしてもいいかも。

このところずっとこんな感じなので、夜中以外は「除湿/弱」で、
家中ずっと27℃/55%、不快指数75(暑くない/やや暑い境界)前後でほぼ一定。
ちょうどいい心地よさです。

外気との差が大き過ぎるのは体に良くないので、これ以上冷やさない方がいい。
というか、ほんとはもうしばらく空調せず扇風機程度で過ごして、
夏本番に向けて体を暑さに慣らした方が健康的なんですけどね!

でも、ZEHだのHEAT20だの機械に頼った高気密高断熱住宅でなくても、
無垢材・土壁の伝統構法の家でも、
現代に求められる省エネ性能は事実上十分満たせるというのが、暮らしていての実感です。

これからの時代、最先端の住宅建築として高く評価されていいんじゃないでしょうか。
伝統構法の温熱環境が科学されることが期待されます。​​​​​​​​