9/21稿「光と影・空と雲…秋分の日の頃~外に向かって開かれた日本の家」で
この時季の昼間の光と影について綴りました。
今日秋分の日は、この時季の朝夕について・・・。
真夏の間はお向かいの家と家の間から太陽が昇ってきていたんですが、
だんだん太陽が昇るのが南に移動してきたので、軌道がお向かいの家の陰に入りはじめ、
我が家に朝陽が当たり始めるのが遅くなってきました。
7時半前・・・。ん?!

陽が射さない北側の階段2階の手摺が輝いてる・・・。
北面の窓に目をやると、窓枠の反射光。

北隣の家の外壁が明るい色なんで、反射光で階段室が明るい。

朝陽の射さない西側の窓。

北隣の家の外壁が明るい色なんで、反射光で階段室が明るい。

朝陽の射さない西側の窓。
西隣りの家も外壁が明るい色なんで、反射光で明るく照らされます。

我が家は街中のわりあい密集した住宅地で、日光の直射はあまり期待できませんが、

我が家は街中のわりあい密集した住宅地で、日光の直射はあまり期待できませんが、
四方の家が明るい色のお陰で室内がかなり明るく感じられるし、街並みも明るい。
今はやりの黒い家に囲まれると、こうはいきません。
隣りの家の色に口出しはできないだけに、
家を建てるにあたってはそんな配慮も大切だと思います。
街中の暮らしは、何事もお互い様!
東側に高い地形、お向かいの家の1階が我が家の2階の高さなので、
やっと7時半ごろに直に陽が射し始めます。

2階に早朝から射していた真夏の朝陽を和らげてくれていた、
夏前に吊った簾。格子の影を映してとっても美しいので、
しばらく外さずにこのままにしておこうかな。

2階に遅れて玄関ホールが明るくなり始めると、

1階にも朝陽が玄関前の格子の影を浮かび上がらせます。

1階にも朝陽が玄関前の格子の影を浮かび上がらせます。

玄関を開け放つと、西側の窓まで爽やかなそよ風が吹き抜けていきます。
日中は30℃程まで上がるのに、早朝はもう肌寒ささえ覚えます。

玄関に陽が射し始めるのはようやく9時前になってから。
日中は30℃を少し超えましたが、湿度は50%台、風速はずっと3~4m/sあったので、
家中の窓を全部開け放していると清々しい風が入ってきて、良いお彼岸を過ごせました。
お墓参りにも行くべきなんでしょうけど、かなり込んでいそうで控えました。
昼下がり、2階のインナーバルコニーに洗濯物を採り入れに上がると、

こんなところから西風がそよいでいます。
ここは当初は壁の予定だったんですが、風圧を逃がすために工事途中で開けてもらった風穴。
さて、夕方。
4時半頃、なんと東側の!玄関に、夕陽が射し始めました?

これ、お向かいの家の、掃き出し窓ガラスの反射光なんですね!

これ、お向かいの家の、掃き出し窓ガラスの反射光なんですね!

雨戸を閉めっぱなしの西向きの掃き出し窓の家をよく見かけますが、
ここにはちゃんと障子が入っているので、いつでも雨戸は開けてらっしゃいます。
お陰で我が家にも夕陽を東からお裾分け。
で、肝心の夕焼けはというと・・・。
昨日は夕方に雨が降ったし、このところ昼間は晴れていても、
夕方はほとんど曇っていて、なかなか夕焼けを見ることはできません。
日本では夏場の強い西陽を避けるために、
西側の窓は一般にタブー視されていますが、

この家は秋から冬の夕陽を重視して、敢えて西側に窓を設けました。
東側が高い地形で日の出は遅いのですが、
西側が淀川に向けて低くなっている上に隣家と隣家の間がうまく空いていて、
ちょうど日の入が見通せる立地条件だからです。
まだ夕焼けの前の西の空。
夕陽は朱く格子の影を障子に映します。

(参照「夕日が照らす極楽浄土 四天王寺」日経新聞2014/10/3)
仏教修行のひとつに、西の空に沈む太陽に極楽浄土を観想する「日想観」があります。
静かな心で夕陽を見つめることが、自身の内面と向き合う方法だとされています。
この窓は、そんな意味を込めて位置決めをしたのです。
意外となかなか見られないこの窓からの夕焼けの眺望は、
5/4稿「続・西陽を楽しむ窓配置…窓からの眺望と陽の光による空間デザイン」参照。
今日の枚方の日の入りは、方位270.76度、17時54分。
やっぱり西に雲が厚くなり夕焼けは見られませんでしたが、和な一日が暮れていきました。
明日からは、名実ともに秋の夜長が始まります。