大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

築古フルリノベーション住宅 ~ 無垢材・自然素材で地域密着の工務店が手掛けると・・・

今日(6/2)の枚方はとってもよく晴れて、最高気温30.7℃!

石場建て伝統構法の我が家は、窓を日中ずっと開け放して、
機械換気なし、扇風機なし、エアコンなし。

それで、部屋によって差はありますが、
概ね1階は25.5℃、2階は27.5℃、湿度は40%前後。
不快指数は70程ですから、暑くもなし風がそよいで心地いい。

エアコンが必要なのは、1年の半分ぐらい。
だいたい7月8月前後3か月ほどと、12月1月前後の3か月ほど。

なかでも梅雨前の日の長い今頃が(秋雨の時季が過ぎた秋晴れ頃もですが)、
エアコンに頼らず家の中で過ごす快適性を堪能できて、
外気に開放的な日本の伝統的な家の建て方の良さを最も感じます。

これは、気密断熱を極端に追求して窓を小さく閉鎖的につくったような
​今どきの家では、決して味わえない贅沢な季節の過ごし方です。

​​(今夕6時過ぎ、我が家の南西側)​​


さて、
先週土曜日(5/28)は、石場建て伝統構法の我が家を建ててくれた棟梁の手による
分譲(建売)住宅の竣工披露会を妻と見に行ってきたことを、5/28稿で紹介しました。

そこで、このウッドショック、諸物価高騰の折、
無垢材・自然素材にこだわった注文住宅はなかなか手が届きにくいなか、
こだわりの分譲(建売)住宅という選択肢の可能性を考えました。

そしてその日のうちに返す刀で(?!)日伸建設​ではなく他のエリアの、
築古家屋のリノベーション物件の完成披露現場に行ってみました。

築古家屋のリノベーションといえば、
日伸建設​が築50年に迫るの伝統的家屋を再生した事例を、2021/4/13稿で紹介しました。


​(参照2021/4/13稿☟click) 

けれど今回見に行ったのは、築55年に迫ろうという家ではありますが、
いわゆる古民家的な価値のある家ではなく、
普通なら「古家付土地」として解体前提の土地物件になるthe昭和!の家。

物件情報を調べると、ここも手掛けたのは地域密着の工務店
健康な暮らしをテーマに自然素材や無垢材を大切にした
家づくりをしているとのことで、興味を持ったわけです。

昭和40年代築ですから、まだ集成材は使われない時代で柱は無垢材とはいえ、
ダイニングキッチンや洋室は床も壁も化粧合板だったはず。
和室も今は懐かしい綿壁(繊維壁)だったでしょうし、
断熱材もなく、ペラペラアルミサッシかペラペラガラス木製窓枠だったでしょう。

それがどうなったか?!



ほとんど骨だけまで解体して、傷んだ柱などは交換。
屋根はガルバリウム鋼板に葺き替え。
耐震補強、雨漏り箇所も完全補修。



断熱対策はグラスウールを入れ、
ペアガラスアルミサッシに総入れ替え。


 
フローリングは無垢杉材。
壁は居室は全て漆喰塗(一部ビニルクロス)に。
古家の臭いも新建材の嫌な臭いも全然しません。

気になる水回りは、もちろん食洗器付の最新システムキッチン。
増床して1616(1坪)ユニットバス、洗面所も1坪に。
居間とダイニングキッチンだったところは、LDKに。
 


敢えて一部、the昭和レトロを残してあるところがご愛敬。
それで広々40坪ほどの南向き庭、駐車2台というゆとり!



このエリアで土地60坪弱、建延30坪弱のこの物件。
新築ならゆうに6000万円は超えるだろうところ、
フルリノベで4000万円ほど!

確かに、現代の高気密高断熱性能は、数値の上では期待できません。
けれど、このエリアで4000万円で新築といえば、土地20坪クラス、
ビルトインガレージ3階建ての新建材ローコスト住宅。

「豊かさ」って何なんでしょう?
う~ん・・・、唸らされてしまいました。
日本の家は余っていて、2040年には空き家率が4割にもなるとのこと。

この古家、ストリートビューで見ると、かつての状態が写ったまま。
経年劣化でパっと見はかなりのボロ家のように見受けられます。

けれど当時は、建築技術こそ今のように発達はしていなかったけれど、
民家形式ではなくても日本の気候風土に合った南に開放的な風の通る造り。
エアコンも断熱材もない時代に、快適に過ごせることが念頭にあったわけですから。

それに、今の家には無い窓の上の庇が当たり前のごとく!
それも今となっては贅沢でさえあります。

そして注文住宅であれば、多くは一定水準以上の普請でもあります。
それがこんなふうに現代の住まいとして自然素材や無垢材で蘇るなら、
築古フルリノベーションは大いにアリではないでしょうか。



こんなに空家が余り増え続けているのに、
このリノベ物件がもし古家付土地として解体更地物件となっていたら、
小さい新築3階建て2軒になっていたことでしょう。

冒頭に挙げた日伸建設が再生した伝統的家屋も、
古家付土地として小さい新築3階建て3軒になる寸前だったところです。

そうなっていたら、瀟洒な住宅地という環境は徐々に台無しになっていき、
景観も損なわれてその地域の価値も下がっていくことになります。

ZEHやHEAT20やと数値競争という土俵ではないところで、
古くても価値ある家を現代の技術で生かし続ける・・・。

健康的な自然素材や無垢材を使ったゆとりのある家を、
手ごろな価格で手に入れる・・・。

新築偏重ではなく、良い家を末永く引き継いでいく価値観への転換。
太陽光発電パネルの新築住宅への設置義務化なんかより、
よほど本来の​SDGs(持続可能な開発目標)​だと思います。

今、一戸建てを考えるなら、ホームインスペクション(住宅診断)ができて、​
木造を知り尽くした地域密着の工務店に、
築古フルリノベーションを相談してみるという選択肢はいかがでしょうか。

(※ 参照click☞ 日本ホームインスペクターズ協会)