木と土の家 ~ 大工と左官の協同 ・・・ 玄関ポーチの格子づくり
台風14号が近畿にも迫り、明日最接近か・・・。
大雨暴風になりませんように!
さて、今週の木と土の家。
先週は左官さん大活躍でしたが、大工さんによる手仕事もどんどん進んでいます。
(面格子の仮設置☝)
大昔、建築の職人が細分化されてなかった頃、
家づくりを担う職種は大きく2つ、左官と右官だったそうです。
そこから、木工事を行う職人を右官と呼びならわし、
左官・右官を統括する棟梁と呼称するようになったとのこと。
日本では千数百年に渡り伝統的に木と土で家をつくってきたのです。
右の方が下ということで、大工を右官とは呼ばなくなったという説があるようです。
そんなこんなも、今はインターネットでいくつもの解説が見つかるので、
真偽はともかく気軽に調べてみるのも一興です。
今では、木造住宅でも20種もの職種による共同作業。
注文住宅を建てるにあたっては建て主としても、
それぞれの職人さんたちに労いの言葉をかけるなど、敬意をもって接したいものです。
それらの中でも、全ての職種を束ねる棟梁と、
その直属の直属の大工さんの役割は、最も大きなものだというのに異論はないでしょう。
・・・そうではない(大工の腕に左右されない)家づくりという現代の方向性は、
平均以下を量産する仕組みということで、やっぱり私は与(クミ)できないなぁ・・・。
現代社会の仕組みの中ではメジャーにはならないとしても、
再び正当に評価され脚光を浴びることを期待しています。
さて、右官・・・いや大工さんのお仕事、今週も進んでいます。
さて、右官・・・いや大工さんのお仕事、今週も進んでいます。
(ようやく話しが戻りました!)
10/4稿「屋内造作は大工の才覚・・・」の最後の部分と、
10/6稿「土壁上塗り②・・・」の最後の部分の続き。
詳しいことは分かりませんが、この石には「皮」があって、
その表面の鉄分が酸化して赤茶けた独特の色合いを生むそうです。
勝手な想像ですが、この石は層があって、その境目に沿って割ると、
層の表面が皮になるのかな?・・・と思いました。
切ったようには見えません。平らに割られたって感じの表面です。
なので、石の上面はまっ平らではないので、
その上に角材を立てようにも鋸で真っ直ぐ切った木口(断面)ではピタっと立ちません。
そこで、木口に石の表面の凸凹を写し取って、凹凸に削ります・・・ひかりつけ。
礎石と柱の中心を合わせながら持ち上げて、
柱のてっぺんのホゾを大庇の梁のホゾ穴にはめ込んで垂直を合わせ、
夕方、2本とも立ちました。
この礎石より下の部分は、玄関ポーチの下に埋まってしまうので、
この構造が見られるのは今だけです。
さあもう5時半が迫り、早くも日が暮れ始めているので、外作業は終わり。
赤杉の柾目。ものすごくいい材です。美しいだけでなく、屋外での耐久性も高い。
日が暮れても、キリのいいところまで続けます。
格子を一本一本その都度仕上げ鉋掛けをして、
横桟にスライドしてはめていきます。
横桟と縦格子に蟻を刻んでパズルのように組む、いわゆる蟻組み。
玄関正面、家の顔です。釘や木ネジは使わないよう、特に親方の強い指示があったそうです。
「蟻」? 何でアリって言うんでしょうね?!
この段階では、格子の上下は切り揃えてありません。
「今なら乱尺(長さをランダムに変える)にすることもできますよ。」と棟梁に言われ、
「それオモシロイかも!」と思ってしまう変な施主・・・。
家でイメージ画を描いてみたり、家族や棟梁と相談してみたり・・・。
玄関ポーチの格子30本と玄関の丸窓の面格子14本とで、これまたかなりの手間!
家でイメージ画を描いてみたり、家族や棟梁と相談してみたり・・・。
玄関ポーチの格子30本と玄関の丸窓の面格子14本とで、これまたかなりの手間!
週明け10/5(月)にようやく出来上がり、
翌6日(火)に乱尺のまま仮設置してみます。
定尺(一定の長さに切り揃える)にしても、
目隠し効果とデザインとのバランスを実際に見定めないといけません。
工場生産の規格品を使わない大工さん手作りの真骨頂です。
再度、家族や棟梁と相談します・・・。
再度、家族や棟梁と相談します・・・。
結局はオーソドックスに直線に切り揃えるのがいちばん見栄えがいいとの結論に。
翌10/7(水)、ようやく据え付けることができました。
これで玄関引戸を開けても、前の道からも一段高い向いの家からも、
視線をうまく遮ることができるようになりました。
逆に、これまで正面からダイレクトに出入りしていたのができなくなって、
しばらくはちょっと戸惑いそうです。
ただしこのポーチの格子は防犯用ではないので、
大型家具や家電を搬入するときには外すこともできるようになっています。
あとは正面外壁の腰板が付けば、この家の顔は9割がた見えてきます。
玄関ポーチそのものは左官さんの仕事なんで、
顔が整うのはまたその後で・・・。