大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

手作業による屋内造作 ~ 自ら刃を研ぎ鉋をかけ鑿を振るう ・・・ 本物の大工の証

陽射し柔らかく爽やかな風がそよそよ吹く絶好の秋日和だった今日。
こんな日は、一日中窓を全開にして過ごすに限ります。


高気密高断熱24時間機械換気の家だと、
こんなときも窓を閉め切ってエアコンをつけっぱなしにするんでしょうか?
そんな閉塞感、私にはちょっと思いもよりません。

高気密高断熱は、現代の一般的な家には必須だと思いますが、
(気候風土適応住宅なら必須ではないと思いますが、)
機械に頼った24時間換気は必須ではないでしょう。

そもそも24時間機械換気は、新建材からの化学物質の充満を回避するためのもの。
24時間換気し続けなければ健康を維持できないようでは、住まいとは言えません。

東西南北うまく窓の通風計画が立てられていれば、
特に風が無くても自然の力で十分に換気できます。
​新型コロナ対策でも、対角線に通風窓を開けることが推奨されています。

  ​ 首相官邸HPより)

要は2方向、空気の入口と出口になるよう窓を配置し、窓を開ければいいだけ!
機械も電気も要りません。
それが家の基本性能というもんですし、それが本当の省エネというもんだと思います。


そしてこの家は、そういった根本思想で設計しています。
土壁と漆喰と現し無垢材とが相まって、
この家は清浄な空気で満たされ、窓から窓へ柔らかく風が抜けていきます。


さて、先週の工事を振り返ってみると・・・、
外壁の板張りについては9/22「​杉板を外壁に無塗装で使う・・・​」の稿で、
内壁の砂漆喰上塗りについては9/25「​土壁上塗り①~漆喰・・・​」の稿で、
詳しく述べましたが・・・。

あと、屋内造作も大きく進みました。

ひとつは玄関の式台下の幕板…というのでしょうか?
石場建てなので床下は丸見え透け透け。

それでは夏はいいけど冬は寒いので、気流止めのために、
9/26(土)に塞がれました。

当初は夏冬で開閉できるよう無双にしようかとも思っていたんですが、
閉めても効果的な気流止めにならず冬は底冷えのもとになりそうなので、やめました。

それにしても、板の柾目の美しさ! 見事な赤杉です。
そもそもは建具用の材だそうです・・・戸板でしょうか?

土台の赤杉も見事ですが、これは三和土の下に隠れてしまいます。


狭いところでの据え付け作業、大変です。

もうひとつは、1階トイレの天井。
この家には、天井板を張っていません。
けれど、このトイレの上には2階のトイレや洗面台用の配管が丸見えで、
このままではいくらなんでもみっともない!


ということで、私は簾でも天井代わりに吊り張っとけば・・・と思っていたんですが、
棟梁、そんな安直なことは許しません。

まず9/21(月)、何やら棒に手鉋をかけています。

これを、土壁中塗りの上端を少し削って、廻り縁にしました。

そして、これまた見事な赤杉で格子を​工房​で作って、
9/25(金)に運び込まれてきました。
このグラデーションの美しさが、無垢材の証です。

現場で鑿を振るう棟梁。


実際に天井に当てがってみます。
これでは、まだ目隠しとしては納得できない・・・。

翌9/26(土)。
朝から若手大工くん、せっせと鉋の刃を研いでいます。

これこそ本物の大工の証です!

ポータブル自動カンナ盤をかけています。何にする材かな?


で、昼前に棟梁が再び持ち込んできたトイレの天井格子、
なんと和紙が張られているではないですか!

このこだわり、さすが棟梁。

で、据え付けられたのがこれ。


和紙は数年後には張替えが必要でしょうから、
この格子は取り外しできるようになっているそうです。

作りながら考える棟梁。
下請け大工ではこんな勝手なことはできないでしょう。
言われるがまま、できるだけ手間を省き効率的に施工するというのではなく、
自ら考えることも楽しい本物の大工という仕事。

そしてそんな本物の大工ならではの仕事がもうひとつ。
無垢赤杉インナーバルコニーの造作が9/23(水)に始まり、
9/25(金)に完成しました!

このインナーバルコニーについては、また稿を改めて・・・。
明日からは、1階の内壁仕上げ塗りが始まります。