大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

太陽光パネルを全ての新築に? … 何かモヤモヤ ~ 持続可能な社会に向けて

私は脱原発の立場から、また災害時への備えの観点から、
できるだけ電気の消費量を抑える、
できるだけ電気なしでも暮らせる家づくりを考えてきました。

そこで、冷暖房はエアコンに頼りながらも、
エアコンなしでもなんとかなる家という意味で、
伝統構法・・・無垢材と土壁の家を選択しました。



また、暖房や調理は電気だけではなくガスでもまかなえるようにしたり、
便器も電気なしで流せるスタンダードな機種を選んだりしました。

SDGs(持続可能な社会づくり)を言うなら、
そもそも電気にできるだけ頼らない暮らしの創出が第一、
そして発電は再生可能エネルギーにシフトをと考えています。

原子力発電なんて、まずもって暮らしの安全性の観点から、
また外交上の安全保障の観点からも、論外と言わざるを得ません。
それは福島原発の被災や、チェルノブイリ原発への攻撃からも、明白です。

​​​​​
​​(link☝共同通信:原発攻撃「自衛隊対応を」2022/3/30)

その意味で、再生可能エネルギーへの転換は緊急の課題だし、
太陽光発電の進歩と普及には期待しています。
でも述べたように、太陽光発電の個人宅への義務化には疑問を感じています。

国のエネルギー政策として、原子力発電を根幹にしたまま、
抜本的に再生可能エネルギーへの転換を図る方針を持たないまま、
太陽光発電を個人の責任に負わせるのは、つじつまが合いません。

そんな意味もあって、(それだけではありませんが、)
我が家には屋根の上に太陽光パネルを載せるつもりはないのです。


​​(ちょうど2年ほど前の2020/3/24、瓦葺き工事をしていました。)​

昨日(3/29)の朝、NHKニュース「おはよう日本」を見ていると、
「住宅の太陽光パネル廃棄の現状は?」と題しての特集。​​(引用:NHK番組表おはよう日本7時☟link) ​​
画面の​QRコード​をたどると、先々月と先月の特集サイトが上がってきました。

【NHKニュースサイト>ビジネス特集】​​​​
 


<以下、引用>

> 屋外で風雨にさらされる太陽光パネルには寿命があります。
> 耐用年数は20年から30年ほど。
> このため2030年代半ば以降、寿命を迎えるパネルが
> 大量に出ると予想されているのです。
> 環境省は、2040年ごろには現在のおよそ200倍にあたる
> 年間80万トンもの使用済み太陽光パネルが排出されると試算しています。

> 太陽光パネルは厳しい自然環境にも耐えられるよう頑丈に作られているため、
> リサイクルのための分解には手間や費用がかかります。
> このため、廃棄する際には多くが埋め立て処分されているとみられています。
> ただ、埋め立て処分にも費用がかかるため、
> 発電事業が終わってもそのままパネルを放置したり、
> 不法投棄されたりするおそれがあると指摘されているのです。

> 撤去にかかる費用はどの程度なのでしょうか?
> 私たちはパネルの販売店やメーカーなど20社余りに取材しました。

> パネル販売店「これまでの撤去費用は20万円ほどで、
> 取り外したパネルを中古品として販売していました。・・・(中略)・・・
> リサイクルには費用がかかるため、
> 今の撤去費用は50万円近くに値上がりしています」

> 別のパネル販売店「費用が安くて済む場合は20万円くらいですが、
> 家が大きかったり、屋根の傾きが急だったりして大規模な
> 足場を組む必要がある場合は、100万円を超える可能性もあります」

> 大手住宅メーカー「パネルを撤去したことが一度もないので分からない」
> 大手パネルメーカー「パネルの撤去には対応していない」
> 大手パネルメーカー代理店「とりあえずパネルを購入した店に相談すべきでは」

> パネルを購入した販売店や施工業者がすでになくなっていたり、
> 問い合わせ先が分からなかったりするケースも少なくありません。

> 太陽光発電などの再生可能エネルギーで発電された電気の買い取り費用は、
> 私たちが毎月支払う電気料金に上乗せされていて、
> その負担額は、標準的な家庭で年間1万円を超えています。

> 自然に優しいエネルギーといわれる太陽光発電
> 真にクリーンなエネルギーとして受け入れられるため、
> 寿命を迎えた太陽光パネルの処理などについて、
> 地に足をつけて議論する時期が来ています。

> 役目を終えてリタイアしたあとの“終活”をどうするのか。
> 決してあいまいにせず、私たち自身の問題として
> 考えなくてはならないと強く感じました。

私たちが最初に売建てのマイホームを手に入れたのが1996年。
1994年には国の補助制度も始まっており、
我が家にも導入しようと検討し、それでも高額で諦めたのを思い出します。

このNHKの特集番組では、太陽光パネルを設置したものの、
“設備の老朽化”と“売電価格の急落”というダブルパンチで、
太陽光発電をやめたいと考えるようになったが、
費用や処分のことで撤去に悩んでいる方の話しもありました。
​​(引用:NHK☟link)

太陽光発電を諦めた我が家は、真空管式の太陽光温水器を屋根の上に設置。
とっても快適に使っていましたが、20年近く経ち調子が悪くなって、
撤去する段になって往生したことが思い出されます。

一方で、2020/5/13稿​「理想の家づくりは会社選びで9割決まる・・・」​でも紹介した、
​という動画をYouTubeで発信していて、なかなかうならされます。

​​(click☝YouTube)

<動画より引用>

> 2大デマ
> ①製造時に大量のエネルギーを使うから、環境に良くない
> ②廃棄時に大量のゴミになるので、環境に良くない

> 太陽光発電のエネルギーペイバックタイム 1~2年
> 製造時のエネルギー>生み出すエネルギー

> 車・・・家電製品にしても・・・ものすごい台数生産されているのに
> それが完璧にリサイクルされているかと・・・絶対されていない
> エネルギーを一切生み出さないものなのに・・・誰も問題点を指摘しない
> なのになぜかエネルギーを生み出す太陽光に関してだけは
> ここ(廃棄問題)を指摘する人がものすごい多い
> ・・・何か悪意を感じますね。

<概要欄より引用>

> 温暖化懐疑論太陽光発電に関するデマも結局
>「全然その道の専門家じゃないけれど声が大きくて話すのが上手い人」が
> 拡散しているということに一人でも多くの方に気付いて頂ければと思います。

とっても論理的に説いているので傾聴に値すると思いますし、
太陽光発電設備を自宅に設置することは原則的には望ましいことだと、
再生可能エネルギー普及の観点から私も思っています。

けれどやはり、先述のNHKニュースにもあったように、
太陽光発電の負の部分にも対応をという観点を踏まえたうえで、
廃棄問題や損得勘定などに矮小化することなく、自ら選択することが大切だと思うのです。

天然ガスをロシアから大量に輸入する政策に、
今般のロシアのウクライナ侵略が影を落とし、
「エネルギー安保」の問題も顕在化しました。 

太陽光エネルギーはといえば、太陽光パネル8割は中国製。​
外交によっては安全保障上の問題もあります。
またその安価には新疆ウイグルの人権問題が絡んでるのはよく知られた話です。

​​(link☝​日経ESG「中国製パネルに強制労働の疑い」2021/7/5​)

政府は2020年の「2050年カーボンニュートラル宣言」を旗印に、
再生可能エネルギーの割合を36%から38%としておきながら、
一方で原子力発電を更に推進しようとしています。

日本が原発を廃絶し、国を挙げて再生可能エネルギーにシフトして、
そのために太陽光パネル国産化を推進しようというのなら分かります。

けれど、メガソーラーによる環境破壊への無策を見ても、
太陽光発電への国として本気度が疑われます。


change.org「豊かな自然や地域の生活を破壊する再生エネルギー開発に規制をかけてください」

そんななか、個人の住宅への太陽光パネルの搭載の推奨はどうなんでしょう?
しかも近い将来、新築住宅には義務化?!

SDGsへの取り組みとして今、
省エネ・脱炭素が最重要課題なのは論を待ちません。
けれど道筋は一つではないはずです。

太陽光パネルで自家発電してまで電気を使うという暮らし、
そもそも余計な電気は使わないという暮らし、
どちらでないといけないというものではないはずです。

電気仕掛け空調を前提とした高気密高断熱住宅、
自然の室内環境を前提とした気候風土適応住宅、
どちらを選択するかは、住まい手の暮らしの哲学に関わる問題です。

SDGs的観点では、それらは車の両輪。
どちらか一方の押し付けは、決して「持続可能」ではない。

太陽光発電の普及には賛成だけど、
太陽光パネルの個人宅への設置義務化は納得できない・・・。
どうもモヤモヤが吹っ切れないのです。



多様な選択肢がある、それを選択するのは住まい手。
太陽光パネルの設置だけではない省エネ・脱炭素の選択肢として、
ぜひ気候風土適応型伝統構法の家が見直され広く認知されることを望みます。