大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

瓦葺き~淡路いぶし瓦

新型コロナウィルスの世界的な大流行で、
日本も非常事態宣言が出されようかという状況が続いています。

建築業界でも、中国に依存している
建材や住設は入荷が滞っているそうですが、なにはともあれ
現場で作業にあたっている職人さんたちの健康が気がかりです。

そんななか、先週初め3/23(月)から瓦葺きが始まり、
雨天の昨日を除き週末3/28(土)までの5日間で
大屋根の瓦葺きが終わりました。


瓦が日本に伝わったのは588年、なんと1400年以上も前から使用されており、
奈良は元興寺の瓦は、その飛鳥時代の物がそのまんまなんだそうです。
いかに耐久性が高いか! 三百年(?)住宅を目指す家には、陶器瓦は一択です。

関西では瓦といえば淡路島特産、淡路瓦が主流です。
なかでも燻し瓦は、淡路瓦の代名詞とも言えるもの。

瓦といえば、阪神淡路大震災で瓦葺きの家が多数倒壊し、
新建材に関係する業界の思惑もあってか、
あたかも瓦葺きそのものが悪のようなネガティブキャンペーン
大々的に展開されました。

しかしそれは、
高度経済成長期に耐震性を考慮せずに建てられた家に、
昔ながらの土を載せる工法で瓦が葺かれていたというのが、
大きな要因だったようです。

伝統構法では一般的な在来工法より太い材木をたくさん使って重心が低いので、
瓦の重さは単純に言えばデメリットにはなりません。
しかも石場建ては躯体を地面(基礎コン)に緊結させていないため、
ある程度の重量は必要となります。
ウチの総重量は瓦を入れて、計算上55t~57tぐらいだろうと想定されるそうです。
これで超巨大地震や暴風に耐え、その衝撃力を受け流そうというものです。
とはいえ現在では、防災瓦が開発され、
瓦そのものも軽量で、屋根に土を載せない工法に変わっているので、
かえって種々ある屋根材の中でも、在来工法でも最も優れたものとなっています。






詳細は、ぜひ​淡路瓦工業組合​のHPを参照してみてください。
動画「​ガイドライン工法​」☜click
 
というわけで、ウチでは昔の土葺き工法(湿式工法)ではなく、
引っ掛け桟工法(乾式工法)です。

さて、月曜日朝、​棟梁​の手配した隣りの京田辺の瓦屋さんが瓦を運び込んできました。


そして、瓦葺き作業に欠かせないのが、屋根の上まで瓦を運び上げるリフトです。
ハシゴにウインチと荷台を設置して、そこに最初は瓦を固定する桟木を載せ、
瓦屋さんが地上と屋上を行ったり来たり。
これはぜひ乗ってみたい!・・・さすがによう頼みませんが。


桟を野地板に打ち付けると、こんどは瓦をどんどん運び上げ、
数枚ずつ重ねて屋根中にまんべんなく置いていきます。


瓦は、軒先から葺いていきます。
考えてみれば重なり順から当たり前のことなんですが、
目の当たりにして改めて再認識。


軒先の野地板に​シルガード​という瓦葺き専用の漆喰を載せ、
置く高さを調整しながら瓦の上端の穴を木ネジで桟木に留めていきます。
そうして棟木のところまで葺き重ねていくと、
てっぺんの最後の瓦は現場合わせでグラインダーで切断し大きさを合わせます。
それが屋根のこっちの面とあっちの面と、瓦いくつでしょうか。
それを全て漆喰を敷いて葺いていきます。かなりの手間です。


瓦屋さん、もちろんウチのような陶器瓦だけでなく、
ガルバリウムでもスレートでも何でもします。
で、言うてはりました・・・
手間はかかるけど、陶器瓦は見栄えだけじゃなく耐久性も群を抜いていて、
それだけの値打ちはありますよ!と。



最後に屋根の断熱材と野地板の間の通気層から棟に空気を抜くための
棟換気システム青空​(ステンレス製の棟金具)を仕込んでから、
棟瓦を葺いていきます。

棟瓦とは、屋根のてっぺん、屋根面が突き合わさる部分被せて、
雨漏りを防止する役割を持つ瓦です。
この棟瓦は、日本独特の瓦屋根の美観も演出しています。
中国に行ったとき、民家の瓦屋根には棟瓦がないのもあって驚きました。

まず短冊形ののし瓦を漆喰を塗り込みながらウチの場合5段積み上げます。
そしててっぺんを塞ぐように冠瓦を被せます。
棟の両端には巴瓦、そして鬼瓦です。
ウチの場合は、屋根を軽く見せる簡素な形状の海津(カイズ)型です。


昔はのし瓦の高さや鬼瓦で屋根の豪華さを競ったそうです。
民家でも鯱を上げているところもあってスゲー!と思ったりしますが、
ウチの場合は何かにつけシンプルにいきたいと棟梁も私たちも考えてのこと。

瓦葺き作業は、あと下屋の部分が残っていますが、
それは土壁塗りの作業のあと・・・しばらく中断です。
瓦職人さん、作業の途中にいろいろ尋ねる私に、丁寧に教えてくださいました。
ありがとうございます。お疲れさまですした。

この段階で予定していた現場見学会は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、
 見合わせることになったそうです。

 個別には受け付けていますので、​日伸建設​(☜click)までご連絡ください。