7/4「出窓の木組み造作・・・」の稿で、
この3週間ほどは棟梁は工房での作業が多かったけれど、
現場が目に見えて変化したことが2つあると言った・・・
1つは出窓、もう一つは・・・?
これは私たちが初めに棟梁に提示した外観のイメージ画。
(実際の設計施工とは違っています。)
もう既に大屋根の瓦葺きは3月下旬に済んだことは
(実際の設計施工とは違っています。)
もう既に大屋根の瓦葺きは3月下旬に済んだことは
3/30「屋根:瓦葺き~淡路いぶし瓦」の稿で述べていましたが、
この絵で言うと左側の下屋にはまだ瓦が葺かれていなかったのと、
右側の正面玄関ポーチの庇がまだ無かったというところの工事。
まずは玄関ポーチの庇の木組みから。
とりあえず桁というのか(?)が突き出したままでで止まっていた工事。
そこに梁を載せるところから・・・の前に、
その梁を棟梁が手刻みするところから始めないといけません。
普通なら大径集成材をプレカット工場に依頼するだけですから、
普通なら大径集成材をプレカット工場に依頼するだけですから、
大工さんは現場で組み立てるだけです。
京都の材木屋さんに祇園祭の山鉾の部材として2本対で保管してあった檜材を
ご縁があって親方(社長)が仕入れきて、
いつか相応しい出番がくるだろう寝かしてあったという逸材の内の1本。
石持(台車のフレーム)の部材かな?
もうかれこれ少なくとも二十数年は天然乾燥されていることになります。
石持(台車のフレーム)の部材かな?
もうかれこれ少なくとも二十数年は天然乾燥されていることになります。
8mもあろうかという一本木の無垢材が、節も反りもありません。
この内6m半ほど使うのですが、切って寸詰めするのがもったいないぐらい!
棟梁が仕口を手刻みして、手鉋がけで鏡面仕上げしています。
棟梁が仕口を手刻みして、手鉋がけで鏡面仕上げしています。
それでも、ようやく出番がめぐってきたと、親方は嬉しそうです。
土壁塗りのために組んであった足場の組み換えも大変、この日の作業はこれだけ。
1日空けて2日目の作業、垂木を組んで野地板を張り詰めていきます。
1日空けて2日目の作業、垂木を組んで野地板を張り詰めていきます。
屋根なので適材適所、水に檜より強い杉の赤身無垢板を使います。
現場で実寸を測りながら手鋸で切ったり鉋で微修正したり・・・、
相ジャクリで1枚1枚接いでいきます。
相ジャクリで1枚1枚接いでいきます。
合板を張っていくのとは桁違いの手間です。
そしてまた次の日、柱を2本立てて瓦葺きの重さを支えます。
そしてまた次の日、柱を2本立てて瓦葺きの重さを支えます。
この2本の柱の間には、玄関引戸の正面の格子が入ります。
イメージしてた絵☟の感じが、実際に目に見えてきました☟。
次に6/26からは、瓦葺きが未だだった家の裏側の下屋と
玄関ポーチの庇に瓦屋さんが瓦を葺いていきます。
最初は、家の裏側の下屋の瓦。
2階外壁工事用の足場をいったん外したので後どうするのかと思ってたら、
瓦の上にでも足場は立てられるんですね!
瓦の上でも歩いて作業できるように、木製の足場板も置いてあります。
後半は玄関ポーチの庇の瓦。
裏の下屋も表の庇も、瓦の大きさの倍数ピッタリではないので、
その面積に合わせて現場で切って合わせるという細かい作業が必要です。
スレートやガルバリウムと違って陶器ですから、その作業はけっこう大変です。
でも仕上がりの美しさも耐久性も、それらとは比べ物になりません。
2階の大屋根の瓦はなかなか見えませんが、下屋や庇の瓦は近くに見えます。
で、その軒先の瓦の形をよく見てみると、裏の下屋と表の玄関側とでは違っていました!
ウチでは、裏☝は「万十(まんじゅう)」、表は「一文字」☝になっています。
万十軒は丸いのがついているので、重なりの部分が見えません。
片や一文字葺は全てが見るので、少し大きめに作ってある一文字軒瓦を
1枚1枚切って削って隙間なく合わせていく繊細な職人技が必要になります。
一文字軒瓦は下のラインが真っ直ぐ軽快で美しく、知る人ぞ知るコダワリポイントですが、
手間がかさむ分コストもかさみます。
ウチは棟梁が何とか予算内でやりくりして表の顔になる部分だけでもと、
奮発してくださったようです。・・・感激!
そんな軒先の瓦の形、注意して見たことがありましたか?
他にもいろんな形のがあるようで、また地方に行ってみると産地別の特色もあるなど、
ちょっとしたポイントを知るとまた街歩きが楽しくなります。
玄関前に大庇がつき、瓦葺きがかっこよく仕上がって、
家全体の完成形がますますハッキリ見えてきました。