エツリを掻く・・・こんな言葉をご存じでしょうか。
エツリとは、竹小舞のこと。土壁の下地になります。
それを編んでいくことを、掻くと言うそうです。
自分の家でこれをすることになるまで、
そんな言葉は知りませんでした。
こんな古い壁は見たことがありますが、
それを作っていく工程なんて、
見たことのない方がほとんどでしょう。
これ、ウチの作業に竹小舞だけで数日かかるとのこと。
これに壁土を塗り付けて、乾燥に1~2か月。
工期・納期に追われる今どきの家では、まずできません。
つい40~50年前の家では、
建売りでもけっこう普通にあったんですが・・・。
今は壁といえば、表も裏も柱の上からボードを打ちつけて終わりです。
へたすりゃぁウチの壁作りの期間で、普通の家は竣工してしまいます。
ウチと同時期に基礎コンを打った近所の在来工法の家は(記事2019年12月02日)、
早くも昨日、足場を撤去してしまいました。外観は完成しています。
さて、その竹小舞。
雨後の筍という言葉があるぐらい日本にはいくらでもあり、
究極のSDGs素材といえるでしょう。
前に住んでいた家の裏は竹藪だったので、
日当たり確保のために毎年刈り取るのが大変でした。
真竹を使うそうですが、毎年秋~冬に一年分を伐り出し準備します。
竹は外に放置すると、虫害にも弱いしすぐにボロボロになりますが、
乾燥した土の中で外気と遮断されていると、
百年単位で持つそうです。
それは現存している築何百年という古民家が証明しています。
この竹小舞が壁土としっかり咬み合うことで、粘りのある、
そして調湿性の高い壁になっていきます。
まさに日本の気候風土が生み出した工法です。
さて去る3/18(水)朝イチ、棟梁が手配した竹屋さんがやって来ました。
杉田竹材さん・・・聞けば大津から。遠くから、ありがとうございます。
というか、竹小舞のできる職人さんなんて、そう近所にはいないんですよね。
たくさんの割竹の束が運び込まれます。
これを見ると、なんかアジアの家って感じ!
東南アジア、熱帯モンスーン気候から温帯モンスーン気候に至る
文化の流れを感じます。
(タイの竹の家)
「家の作りやうは、夏をむねとすべし。」
冷房も十分な暖房も無かった時代、上方の気候ならばこれで何とかなり、
日本ではずっとこうしてきました。
そして現代の伝統構法は、現代生活に合わせて格段に進化しています。
そして現代の伝統構法は、現代生活に合わせて格段に進化しています。
今、三匹の子豚ブーフーウーに象徴される
欧米の寒冷地で育まれた住文化が全国一律に当てはめられています。
地球温暖化が進み、
大阪では夏は40℃に迫り、冬に雪が降らなくなった現代。
機械に空調を頼る前提で
閑話休題、いよいよ作業が始まります。
工場生産の部材を組込んでいくのと違い、現場合わせです。
竹屋さん、ご家族4人で和気あいあいと手際よく手作業が進んでいきます。
上下の横架材に開けられた小穴に、
両端を鋏で切って尖らせた割竹を挿し込んでいきます。
次に、左右の柱に開けられた小穴に、同様に割竹を挿し込んでいきます。
半間の柱間に縦3本横7本挿したのを土台にして、
まずは縦に10本足して縄で編みこんで下地を作ります。
今日は1階のこの下地づくりがメインです。
これを基に、
更にたくさんの横材を縄で編みこんで碁盤目状にしていきます。
この網の目に壁土が食らい付くわけですが、
簡単そうに見えてかなりの手間です。
夕方には碁盤目状に仕上がっているところがごく一部ありました。
上下左右は、壁土が咬み込むのに竹がズレるのを見越して、
少し隙間を開けてあります。
今日で構造部分の大工作業は一応の終わり、
明日から数日間は竹屋さんだけの作業になります。
いつもの棟梁や大工さんたちと会えず寂しくなりますが、
来週からは瓦屋さんが入って瓦葺き作業も始まり、
それはそれで賑やかになります!
家づくりは、たくさんの職種の職人さんたちの協働作業なんですね。
それぞれの工程と技が楽しみです。
それぞれの工程と技が楽しみです。
※なお、竹小舞が終わった時点で現場構造見学会を予定していましたが、
新型コロナウィルス感染の拡大の影響で、見合わせることになりました。
見学ご希望の方は、個別には受け付けていますので、
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