今週は、月曜(9/14)には出窓の縦格子が、
火曜(9/15)にはケラバの小屋裏換気口の縦格子ができていました!
外壁の杉板の縦張りと相まって縦ラインが際立つ外観で、
しかも無塗装スッピンというところが日本らしさを象徴しています。
同じ板張りでも横ラインが際立つと、欧米の印象になりますね。
しかも欧米だと、外壁板材を無塗装で使うことはまずなさそうです。
一方日本では、伊勢神宮に象徴されるように、木は白木を最上とします。
町家などで柿渋や弁柄などの古色塗装や焼杉仕上げはありますが、
ペンキのような木の呼吸を妨げる塗装ではなく、
あくまでも白木が経年変化した味を醸し出すように表現します。
というわけで、
石場建て伝統構法だからと言って洋風にしてはいけないわけではないんですが、
やはりここは日本古来のセオリーを踏襲して、縦張り無塗装です。
ところで数年前、いわゆるハウスメーカーが、
企画ものの杉板縦張り外壁の家を発売しました。
このメーカーはその前に「木の家」という企画も発売していて、
集成材でガルバ外壁の陸屋根・・・私の言う「木組みの家」(例)とは似ても似つかない商品ですが、
> 伝統的な日本家屋の庇の仕組みが取り入れられ
> 四季を通して快適な室内環境が実現できる知恵も活かされてい・・・
軒も庇もないただの味気ないキューブながら、
>「新建材」が普及するにつれ、いつからか私たちは素材だけではなく、
>「家」そのものを「工業製品」として認識し、向き合い始めたのではないでしょうか・・・
・・・と自らアンチテーゼを掲げ、
>「変化しない」ガルバリウム鋼板とは真逆とも言える、
>「変化し続ける」無垢の杉板材を採用・・・
・・・と謳っています。
そして「杉板張り外壁のワケ」という社のコラムでは、
> 都市部の中で何十年もの間変わらずにそこに建ち続け、
> その家の歴史をしっかり語れる姿であって欲しい。
> そんな思いも込めて「劣化」ではなく「熟成」する外壁材として、無垢の杉板を採用しました。
> 新築されたときが一番美しいのではなく、経年変化により、
> 新品では出しえない「味」を楽しんでいただければ、と思っています・・・
・・・と、無垢の杉板張り外壁の考え方を世に問うているところは、特筆に値するでしょう。
ま、この「縦の家」がガルバ外壁だったら、もう「住まい」とは呼べない外観だろうし、
そういうことなら地場の工務店の方がかえって良い家を造るんじゃないかな!とも思いますが、
一口に板張りと言っても、検索してみるといろいろな張り方があります。
こういう板壁は、けっこうお馴染みでしょう。
簓子(ササラゴ)下見板張りと言うそうですが、横張りでも縦の簓子竿が効いています。
板の張り方や継ぎ方の種類いろいろについては、ぜひこちらを参照してみてください。
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ということで、「縦の家」は商品名どおり縦張りでしたが、
やはり木組みの家には縦張りが似合います。
その縦張りの板を「羽目板」と言い、
継目(目地)に打つ棒状の板を「目板」と言うそうです。
杉板の縦張りでお馴染みなのは、焼杉板張りでしょう。
張り方は、大きく分けてこの↓2種類のようです。
棟梁が採用したのは、この2種類のミックスといったところでしょうか。
「相杓り=合決り(アイジャクリ)」で接いで、目板押えをしています。
アイジャクリにすることで、シャクリの下に釘を隠せるので、
その上からさらに目板押えを打っていきます。
無垢板は年輪の外側、木表(キオモテ)の側に反ろうとする性質があるので、
羽目板は木表が外側になるように張ります。
すると継目の端同士が浮いてくる力がかかるので、目板で押さえるわけです。
すると継目の端同士が浮いてくる力がかかるので、目板で押さえるわけです。
そうすることで、手間もコストもかなりかさんでいるはずです。
棟梁も「想定はしてたけど、予想以上の手間やった!」と。
お陰でそのぶん、雨切れも耐久性も高い仕上がりになりました。
そしてこの羽目板は、まったくの無塗装です。
これは天然成分で土壌も水質も汚染しないスグレモノ、しかも比較的安価なので、
塗ってみてはどうかと言ってみたのですが、結局は無塗装でという棟梁の判断。
そこで自分なりに考察してみたのですが、やはり棟梁の判断に納得!・・・
・・・無塗装についてのアレコレは、また日を改めて(つづく)。