手刻みベランダ第二弾 ~ 棟梁の技が光る心の豊かさの象徴
先週は、2階の内壁の漆喰仕上げと並行して、大工造作が大きく進みました。
ひとつは玄関の下の気流止め、もうひとつはトイレの格子天井。
そしてもうひとつ、赤杉のインナーバルコニー。
これについては、また稿を改めて・・・としていた、その続きです。
さて、インナーバルコニーと書きましたが、表題はベランダ。
バルコニーとベランダって、何が違うの?
調べてみると、
屋根が有ればベランダ、無ければバルコニーなんだそうです。
これは庇(奥行約90cm)より小さい(奥行約60cm)ので、屋根があると言っていい・・・
ということは、ベランダ?!
当然屋根の下、といっても30cm程は壁から出っ張っている・・・けど庇の下。
これってインナーバルコニーの一種ですよね?
でも屋根があるのにどうしてバルコニーって言うの?
というわけで、この分類はどうも釈然としないし、
この家のはベランダなのかバルコニーなのか、どうも判然としません。
なので、便宜上こっち☟をベランダとし・・・
といっても2階のエアコンの室外機置きと、せいぜい布団を干せる程度の物ですが・・・。
で、こっち☟をインナーバルコニーと呼ぶことに・・・
こっちは1坪ちょっとの広さがあるので、洗濯も干せるし、お茶も読書もできます。
インナーバルコニーというと、普通ならその床が1階の天井(陸屋根)になっているので、
防水シート・防水ペイントと排水が大変重要になってきます。
けれど防水ペイントの耐用年数は約10年。
しかも排水口は砂や落ち葉などで詰まりやすく、
こまめなメンテナンスや再塗装を怠ると、1階への雨漏りのリスクが大きくなります。
そこでここでは、1階に一旦下屋をかけて、
その上に無垢材で組んだベランダを載せるという方式にしました。
戦前の家の物干し台のイメージです。
いわゆるベランダとインナーバルコニーの欄干が南面の左右に並ぶように配置したので、
そういった意味でも意匠的な整合性がとれるよう考えてあります。
ところで、近ごろはベランダ・バルコニー不要論が盛んです。理由としては、
◇洗濯物はベランダに干さず室内干し
◇狭くて使い道がないベランダよりは部屋を広げる
◇汚れるし掃除が面倒
◇防水メンテナンスの手間・費用がかかる
◇ベランダを作る費用がかかる
・・・どうもこんなところのようです。
でも私たちの世代観なんでしょうか? どれ一つとして腑に落ちるものは無いんです。
それより、室内+半室内(屋外)という空間が、
部屋を無駄に広くするより広がりを感じさせてくれます。
それに南側に隣家が迫り眺望が隣家の裏面という立地では、視覚的緩衝ともなります。
また都会ではどうしても総2階にせざるを得ず、1階と2階がツライチになるので、
のっぺりとしたただの箱のような外観になりがちですが、
ベランダ・バルコニーが外観的な表情を感じさせてくれます。
もちろんこの家の2つのそれらは実用的な用途を持っていますが、
無駄というよりは住まいの豊かさを演出するものでもあると考えています。
古今東西、美しさというものは、「用」と「無駄」から醸し出されるもの。
その意味からも、ウチは設置して良かったと思います。
そして、見てのとおり、工業製品のアルミバルコニーを据え付けただけのものではなく、現場の複雑な形状に合わせて棟梁が設計し、
ものすごい手作業の手間をかけて設置してくれたものです。
その意気込みを大切に感謝の心をもってすれば、
ものすごい手作業の手間をかけて設置してくれたものです。
その意気込みを大切に感謝の心をもってすれば、
掃除もメンテナンスも面倒ではなく楽しみの一つとなることでしょう。