昨日に引き続き、土壁の裏返し2日目。

昨日は6人がかりで一気に塗っていき8割がた終えていたので、

昨夜の土砂降りが朝にはほぼ上がり、
8時頃ほんのりと霧雨のなか荒壁土が搬入されてきました。
作業を始める頃にはすっかり上がり、
どんより曇ってはいるものの暑くなくてかえっていいかも。

昨日は6人がかりで一気に塗っていき8割がた終えていたので、
今日は3人だけで残りの玄関回りが中心です。
2階は既にほとんど床板が張ってあり、
1階も足場板を置いて仮床を設えてあるので作業しやすいのですが、
玄関回りは土間なので高いところから低いところまで結構大変。

さて、この石場建て伝統構法の新築・・・。
そもそも私たちは建売り仕様の家でもオシャレに安くとっとと建てばいいや!
価値観が180°変わってしまい、石場建て伝統構法にと、
行き着くところまで行ってしまいました。
これも何か大きな力に動かされた出会いがあったような気がします。
それでもそれは、ノスタルジーから伝統回帰したわけではなかったんです。
石場建てという話しが出てから食いついたのは、
私たちが生きているうちに必ず遭遇する(であろう)
この現代的・近未来的要求が前提条件でした。
そして、前に住んでいた何十年ものローンで買った建売り仕様の家が、
木組みの家を知れば知るほどいろんなところで薄っぺらく安っぽく、
ビニルクロスや合板のフローリングをはじめとしてみすぼらしく古び、
新築時に反して次第に価格に見合った価値が薄れていったこと。
今暮らしている築五十年の仮住まいは、住宅建築が化学物質にまみれる直前の仕様で、
耐震補強をしたときに見た壁の中は竹小舞の土壁。
意外にも悩まされていた花粉症にならなかったりなど心地よかったことも、
価値観の変わる要因にもなりました。
そして今、この新築は、思ってもみなかった!原理主義的な
石場建て伝統構法になっていってしまいました。
けれど私たちは、伝統構法に原理主義を求めているのではありません。
そもそもは、そんな伝統構法を現代の視点で捉え直したいと思っています。
そして、普通に家を建てようと思ったとき、
伝統構法も普通に選択肢の一つに挙がるようになれば!と思っているのです。
なので、内壁にはラスボードを使ってもいいし、
土壁パネルや格子耐力壁を導入してもいいと思っていました。
そんなこんなで石場建て伝統構法の設計・構造計算を担ってくれた
日伸建設の棟梁と家づくり談義を重ねるうちに、
「左官に仕事を回したい!」という言葉が若い棟梁の口から出てきたんです。
いや、前からそう思っていた棟梁が、これを機に!と思ったんでしょう。
私たちも、そういう動機には大賛成!
そんなわけで、今こうして本物の土壁づくりをしているというわけです。
そして今は、土壁も耐力が科学的に解析され解明しているのです。
直射日光に当てて急激に乾かすのはよくないそうですが、
養生幕で覆われているのでそれは大丈夫。
この湿度で気温が上がると結構いいんじゃないかなぁ?!
1か月前に塗った表側に、裏返し塗りの水分がかなり染み出してきました。
染み出した分が蒸発すればするほど更に水分を吸っていくってわけ。
こうして表裏が馴染みながら表裏同時に乾燥が進んでいくんですね。

☝裏返し数時間後の表面 / 裏返し丸1日後の同じ表面☝

☝裏返し数時間後の表面 / 裏返し丸1日後の同じ表面☝
これを見て、土壁の調湿性の高さを実感!
調湿性のあまりない漆喰仕上げにしてしまわない方が良さそうに思えます。
裏返しは午前中でほとんど終わり。
午後からは仕上げ作業と、養生シートを外したり掃除したり後始末。
左官さん、私が体験させてもらったときのように壁土をこぼしたりはしないんですが、
それでもあたりはかなりの泥汚れ!
なんと片付けに3時間ぐらいかかっていました! お疲れさまです。
今日で美しい竹小舞と言っていたのも見納め。
こんどは美しい土壁! すっかり部屋らしくなってきました。
来週あたりからは、いよいよ窓サッシが入ったりユニットバスが入ったり、
大工造作も本格的に入っていきます。
それがひと段落したら、
土壁はこんどはチュウゴメ(中込?=おお直し・むら直し)、中塗りの工程。
「次はこんなに(荒壁ほど)エラい(大変な)ことはないわ!」とのこと。
荒壁っていうぐらいだから、中塗りより簡単なのかと思っていました。

(☝NPO土壁ネットより引用)
ひとつ、土壁の工程を詳細に見せてくれるサイトをご紹介しておきましょう。
トヨダヤスシ建築設計事務所
京都の豊田左官仕様で、ウチの工程とは異なっています。