大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

窓サッシとりつけ ~ 本当は木製サッシが良かったけど・・・

5/25(月)に​サッシが搬入​されて取付けが始まりました。
その当初はまだ​荒壁土の裏返し塗り​が乾ききっていませんでしたが、
週末5/30(土)には壁全体がすっかり乾き、
造作出窓と玄関引戸を除きサッシの取付けが全て済みました。


荒壁の表が乾ききるのにほぼ1か月かかりましたが、
裏返しは2週間足らずで乾いたことになります。
気温が上がったということもあるかもしれませんが、
左官屋さんが言うようにまず表をしっかり乾かすと
裏の水分をどんどん吸い込んで表裏が馴染みながら表からも乾いていくので、
荒壁土が自重でずり落ちることなく結果的に早く乾いたようです。

サッシが入ると、すっかり家の様相になってきます。
これまで吹き曝しだったのが、これで風雨を防げるようになりました。

1階の掃出し窓は、​ワイドスライディング​になっています。
2枚仕立ての幅1間の窓が、2枚とも袖壁の外側の戸袋に引き込まれて全開になります。

本当はここだけでも木製サッシを入れたかったんです。
この家の居間の顔となるメインのサッシなので。
なかでも目をつけていたのが、桐製断熱サッシ。
ウッドテック秋富の「​アキフフェンスター​」です。

桐は一般的な木材の2倍ほどの断熱性を有し耐火性も抜群なうえ軽く、
杉の6倍の速さで成長し芯材と辺材の差がなく強度や収縮率が同一のため、
どこを切り取っても割れにくく無駄な部分がないことにより、
一般の木製サッシより大幅にコストダウンできるとのことだったからです。
(参照:​新建ハウジング2018.5.11​)

それでも今回は(次回は無いけど)、費用の面や総合的な判断で、
他のサッシと同じアルミ樹脂複合サッシにせざるを得ませんでした。
心残りではありましたが、そのぶん玄関の引戸は建具屋さんに木製で作ってもらうことにしました。
ここは家の正面の顔なので、どうしても木製に拘りたかったんです。

費用面からアルミ樹脂複合サッシで妥協したものの、
伊礼智さん設計の家​の掃出し窓に憧れていたことや、
輪和建設のモデルハウス​にも憧れたことから、
ウッドデッキへのアプローチはナンチャッテでもワイドスライディングでお願いしたわけです。

これに2枚とも引込み全開する紙障子を入れます。
写真の左側の畳コーナーの窓にも紙障子が入ります。
南向きの窓で、谷崎潤一郎「陰翳礼讃」が多少なりとも表現できればと考えました。

南側の大きな開口に対して、
北側は目線より上の小さな横滑り出し窓で統一してあります。
隣家の南面の大きな窓に相対していることと、
南東~北西の枚方の卓越風の通風を考慮してのことです。


とはいえ、アルミ樹脂複合サッシを実際に設置してみると、
樹脂部分の木目調が周囲の檜材からかえって浮くような印象です。
天然木は次第に色に深みが出て味になるでしょうが、人工樹脂はそのまま・・・。


外見的にも、木組みの家としてできるだけ浮かないようなアルミの色を選んだつもりですが、
さて、どうなんでしょう・・・。


何百年かしてこの家が朽ちるにまかせるときがきたとき、
地球に還るというのがこの家の基本コンセプトなんですが、
窓だけはそうはいきませんね。

断熱気密の性能で言うと、アルミ樹脂複合サッシみたいな中途半端ではなく、
樹脂サッシが性能はいいそうです。
費用的に手が出るならぜひそうすればいいですが、
まだ日本では普及帯に入ってきていないのが非常に残念なところです。

いや、それよりやはり、サッシは木製!だと思います。
なかでも桐は抜群だと考えています・・・ほとんど知られていませんが。

今の仮住まい、築五十年のthe昭和の家には、当時のままの木枠の窓が一部残っています。

隙間だらけで気密性はなく、ガラスもペラペラでガタガタなんで、
性能はかなり低いと思いますが、
窓枠は真冬でも触ってもあまり冷たくありませんし、結露なんて絶対にしません。

ウチの木組みの家では実現できませんでしたが、
ぜひこれからの家づくりでは、木製サッシが普及してほしいなぁと願っています。