大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

これが青森ヒバのヤニ! … 天然樹脂を溶かすには? ~ 天然乾燥無垢材の家ならではのハプニング!

昨日3/12今日と、日中は外気温20℃越えの4月下旬並みの春の陽気。
24時間つけっぱなしだったエアコンを久しぶりに完全に止めて、
夜中になっても室温20℃台。

1階南面の掃出し窓を、1間幅まるまる引込全開に。

網戸なしでこんなふうにできるのは、この時季だからこその開放感!

冬場の南面窓からの日射取得が大事なのは分かっていても、
窓からの眺めが隣家の壁ってことのないような窓配置が大事なのは分かっていても、
それが事実上難しいのが都会の住宅密集地。

植栽で、実際はドーンと見えている隣家の壁に意識が向かないような工夫。
真夏は深い軒で日射を遮りつつ、冬場はなんとか少しでも日光を採り込む工夫。

東側間口の並びご近所。新築はハナから南側の採光を諦めていますが・・・。


ところで、さきおととい3/10のこと。
前日3/9までしばらく最高気温が15℃に届かず乾燥した日が続いていました。
で、その夜にふと前述の掃出し窓の障子の戸当たりを見ると、あらら・・・隙間が!

   ​​(before↗)​​
さっそく我が家を建ててくれた​日伸建設​の棟梁に連絡。
「急がないので手の空いたときに見に来てほしい」って伝えたら、
さっそく「今から行っていいですか?!」ってお返事。

で、棟梁が仕事帰りの8時前に来てくれて、
「ここなんですよぉ」・・・「あれっ???」
なんと、隙間がなくなってるではありませんか!

こんなこと、実はよくあることだそうで、
子どもでも病気だ!って医者に連れて行ったら、医者の前では元気になるってやつ。
木の家も、棟梁の前ではエエカッコするんですよね!

それでもやっぱり、多少はガタついています。
障子は断熱の役目も果たしてくれているので、
障子の外側と内側では温度も湿度も差があるんで、多少のひずみが起きるのは想定内。

大事なことは、家に不具合が起きたときに、
この家を建て、この家を知り尽くした大工さんが、直にすぐ来てくれるか。
さすが!地域密着工務店。大きな住宅メーカーでは、こうはいかないでしょうね。


障子枠を鉋でサッサッサァと削って、戸車をちょっと調整して、
ものの数分でピシッと閉まるようになりました!

   ​​(after↗)​​


「あ、ついでに、脱衣室の錠がちょっと固くなってるんですけど・・・。
 シリコン潤滑剤を注入してもほとんど効果がないんです・・・。」
施錠できる脱衣室なのに、施錠しにくくなっていたんです。

さっそく棟梁、錠を分解。


「あれれ? これ(シミのようなところ)、もしかしてヤニかも?!」

なんと、ちょうど錠のところにヤニ壺が通っていたみたい。

この引戸、天然乾燥の青森ヒバ。このシミの匂い、まさしく木の甘い香り。
錠のボックスを取り出してみると、ヤニでギトギト!ネチャネチャ!!

   ​​(写真ではよく分かりませんが↑)​​
そりゃぁ、どうりでシリコン潤滑剤が効かないはずです。
棟梁「ヤニを溶かすといえば、アルコールかぁ・・・」
私「ちょうどあります! コロナ消毒用が・・・」

ということで、アルコールを潤滑油のように吹き付けて念入りに拭き取ると、
見事スムーズに動くようになりました。

脱衣室は風呂の湯気の影響をモロに受けるところ。
脱衣室は毎日入浴時には湿度が90%を超えます。
たまたまそこにヤニ壺が通っていただけでなく、そんな過酷な環境も影響したのかも。

棟梁、しきりに「勉強になりましたぁ!」と修理しながら感心しきり。
いやぁ、こちらこそ勉強になりました。これで今度からは自分で修理できます。

それにしても、木のヤニって何か、知ってました?
天然樹脂って、知ってました?
何に溶けるって、知ってました?

(参照link☞click:「​樹液は何の役に立つの?​」「​木の家具の特性について​」)

錠の動きが固くなったのは、木のヤニが原因だなんて、
棟梁が指摘するまでは、まったく思いもよりませんでした!
ヤニって何かさえ、漠然としか知りませんでした。

このアルコールに溶けた青森ヒバのヤニ、芳香剤のようです。
人工乾燥材ならヤニが染み出すようなことはないでしょうけど、逆に言えば、
そんな有益な油脂分が蒸散しきった干からびたカス材なのかもしれません。


​(ヤニの塊をちょっと採ってみました。もっともっとあったんですが、拭き終えてから写真に撮っておけばよかった…と後悔。)​

こんどのことは、天然乾燥無垢材の家ならではのできごと。
合板の工業製品ならこんな面倒は起きないと思いますが、
かえってこんなハプニングを楽しめるのも、この家の楽しい魅力って話し。

そして家づくりは、引渡し後からが、工務店との本当の長~いお付き合い。
我が棟梁、さすがに頼りになるって話しでした!