今日も雨が降ったり止んだりでしたが、朝は結構涼しかったので、
試しに家中の窓を空かしてエアコンなしのまま夕方に帰宅したら、
室内はだいたい28℃/70%ぐらい(不快指数78ぐらい…やや暑い)。
枚方は最高だいたい31℃/90%だったので、この数値は御の字じゃないかな。
梅雨の間、日中は原則エアコン除湿弱設定にしていたのですが、
もし原則エアコンなしで過ごしても案外イケてたのかもしれません。
昨日まであった梅雨前線が今日はなくなっているので、来週には梅雨明けを期待。
さあ、本格的な夏到来!
これから無垢の木と竹と土と紙のこの家は、どうなるのでしょう?!
ところで、昨日7/14付のデイリー新潮に、こんな記事がありました。
まったく私もその通りだと思います。
> 著書『森林で日本は蘇る―林業の瓦解を食い止めよ―』で、
> この伝統木造の価値を説明する白井裕子・慶應義塾大学准教授はこう語る・・・
>
>「(中略)ドイツ、オーストリア、フランスなどでも日本の大工棟梁への賞賛を聞くのはいつものことです。
> むしろ日本よりも海外のほうが真っ当な評価をしているとすら思います」
>
> なぜ「日本よりも」というのか。実は当の日本では、
> 伝統木造が継承の危機に瀕しているからだ。白井氏はこう続ける・・・
>
>「(中略)伝統木造は、木の性質を生かして建てる建築です。
> 木が持つ性質をできるだけ生かす使い方を増やすことで、
> 木の価値が正当に評価され、山林にもお金が還っていくのです。
> 現在、増えている木材需要は安い木ばかりを求め、
> そこだけ増えても持続性は得られません。
>
> 伝統木造が継承されていくことで、我が国全体の木造の技能、
> そして住文化が発展していくと思います。過去のものではなく、
> 今でも伝統木造を知り、伝統木造を建てたい人、建てられる人もまだいます。
> 我が国の強さとして世界に打ち出せるものの一つだと思います。
> しかし、現在の法制度などは、日本の強みを生かすことに積極的とは
> とても言い難く、残念に思います」
まったく私もその通りだと思います。
石場建て伝統構法の家に実際に暮らしてみて、快適性も満足度もこの上ない。
けれど、繰り返し述べているように、建てるハードルが高過ぎる。
そんな伝統構法の家が再び市民権を得て、一般的な選択肢の一つになる・・・、
そうなればいいなぁと、こうして住まい手の立場で情報発信しているのですが・・・。
6/17稿「…みんなで考える本来の家づくり~」で触れたように、
こんどのウッドショックを機に、
そして、伝統的な技法を駆使した木組みの家の普及と啓発に真摯に取り組む
前回7/7にライブ配信された「ホントのエコ、ホントの気持ちいいってなんだろう」を
ライブではなくアーカイブとして見てみました。
伝統構法の自宅をご自身で設計し実際にそこに暮らしてらっしゃる
住まい手ご自身としての実感が語られるということで、
建てる側の大工さん発信ではない(しかも男目線ではない)興味深いものでした。
まずおっしゃったのは、暮らしやすさは当然のこととして、
長時間そこにあり続ける建築、街並みを担うという意味、そして、
次の知らない人に引き継がれても大切に使われるような建築であってほしいと。
まさにこれ、7/3稿「黒い家ってどうよ・・・」で述べたことに通じるもの。
そして、伝統構法の家、いわゆる民家に住まう良さを、
かいつまんで言うと次のように話してらっしゃいました。
気候風土に合った家、
メンテナンスしやすい家、
雨漏りや地震の傷みなどにすぐに気付ける家、
経年変化を楽しめる家、
そして、美しい家・・・など。
居住環境としては、
日射しや、無垢材と土壁による蓄熱や調湿や、障子で快適。
家中の空間がつながっていて通風も確保され、夏も冬もエアコン1台で済む。
窓からの採光で明るいうちは照明は点けないでもよく、採風が効率よくできる。
石場建てならではの縁の下で澱まない通風が心地いい・・・など。
住まいのあり方としては、
特に和の建築にしたかったというわけでなく、
木や土の素の材だけでつくられている室内には何でも合うとのこと。
足るを知る暮らしに移行していった・・・無ければ無いで不自由はないと。
またキッチンや洗濯干し場など、女性としての視点でも述べられていて、
調理の匂いも、トイレにも匂いが残らないこともにも触れてらっしゃいました。
さらに、住んでみて良かったこととして、
子どもが素材に直に触れる機会になったことや、
ゴミの事や環境のことなどを自分の事として考えるようになったことを挙げてらっしゃいました。
最後に、デザインに凝るという以前に、
構造が見えている仕上がりが家として当たり前の姿だと。
簡易に過ぎるまとめ方なんで齟齬があればご容赦いただきたいところですが、
ぜひYouTubeをご覧になり、また補遺としても、
nonaのブログもお読みいただければと思います。
まさに私たち夫婦が石場建て伝統構法の家で暮らし始めた実感が、
ぜんぜん別の家なのに、まるでそのままに語られているようで、
本当に嬉しくなりました。
きらくなたてものや(鎌倉)代表の日高保さん。
木組み土壁の家に自分で二十数年間くらしていて、それを踏まえた施工のお話し。
とっても凝った障子や網戸の紹介をしてらして、私たちの家も同様に
工務店を通して腕のいい建具職人との出会いがないとできないことですが、
これって今の家に欠けているとっても大切なことだと思います。
そして、実際の測定値を元にした温熱環境のお話し。
木と土の家の特性は・・・
夏:外気26~32℃ / 室内27~30℃
冬:外気 2~ 8℃ / 室内12~20℃
・・・だとのこと。
神奈川と大阪はどちらも省エネ基準地域区分6で大差ないのですが、
我が家もだいたいこんな感じです。
実感として、温度変化がゆるやかだということ。
機械頼りの断熱性ではなく、土壁の特性が如実に表れているようです。
光熱費もデータを挙げて、一般的な平均値の約6割とのことでした。
自分が住んでいる地域の気候風土の実体感を踏まえて、
それを活かせる地域で設計・建築してらっしゃる・・・。
これはまさに、私たちが地元の工務店にこだわったわけでもあります。
その上で、身体という視点で
「快適」と「健康」についての問題提起。
これについても、全く同感!
以前いつかの稿に書いたと思うのですが、ある新築建て主のブログで読んだ一文
「高気密高断熱でエアコンが快適で、欠点を強いて言えば子どもが寒がりになったことかな(笑)」
・・・これって、いちばんアカンやん!!
その観点で言うと、冒頭の我が家のエアコンなしでの室内環境、
28℃/70%ぐらい(不快指数78ぐらい…やや暑い)は、
暑熱順化してない体には暑いだろうけど、暑熱順化してれば風があれば普通に快適なのです。
そこから高齢者の入浴中のヒートショックのことに話しが及び、
実際は違うのではないか・・・とも。
これについては既に否定的な研究結果が出ている※のに、
意図的に喧伝されているようで、私もどうかと思っています。
ゆるやかに環境が変化する木と土の家で、空気加工に頼らず、
ほどほどに暑さを楽しみ、ほどほどに寒さを楽しむ。
省エネ化に向けて、この選択肢があってもいいのではないか。
石場建てや伝統構法や木組み土壁の家でないとダメだということではなく、
そんな選択肢が普通にある家づくりであってほしいと思うからです。
その意味で、
隅っこに追いやられている伝統構法が、もっと復権するといい・・・
日高さんの主張に私の思いを重ね合わせるのでした。
明日2021/07/16(金)21:00~21:50の木の家ネットのライブ配信