大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

雨の駐車スペース … 屋根は掛けるべき? ~ アルミカーポートでは無粋だし!

昨日8/15は、終戦の日台風7号近畿地方を直撃。
正午の枚方市防災無線による平和の鐘の放送は中止になりましたが、
1分間の黙祷を呼び掛ける知らせがLINEで届きました。

2018年の台風21号直撃のときは枚方でも被害が出たので心配されましたが、
お昼ごろ風速9m/s、雨量5mm/hになった程度で、
とりたててどうってこともなく夕方には警報も高齢者等避難も解除。



その程度だったので、我が家では窓も玄関の戸も開けて過ごしました。


外は気温27.7℃、湿度85%、室内は28.6℃、72%。不快指数79.6「やや暑い」。
けれど、土壁・無垢材の家だからか。さすがに不快感はまったくありません。

こんなときに窓を開けていても雨が吹き込まないのは、軒が深いから。



外からの風がそよいで、エアコンどころか扇風機さえいりませんでした。


何事もなかったんで今こうして書けるんですが、今日の話題は雨天時の駐車スペース。
実は、梅雨どきに書こうと用意しかけて保留になっていたネタ。
梅雨の後半は思ったほど降らず、真夏の晴天続きに突入してしまって、それっきりになってたんです。

この家を建てるときの外構整備のなかで最後まで悩んだのが、
家の横の駐車スペースに屋根を掛けるかどうか。

木製の屋根を掛けて車庫にできたら…とも思ったんですが、
何せ敷地が狭いもんで、家の横の余地は超ギリギリ5ナンバー1台分。
木製だと細い柱で片持ちってわけにいかず、四本脚では車が入るかどうか。

それに、車庫は建築面積の対象になるので、建ぺい率に含まれます。
アルミカーポートなら一定の条件を満たせば緩和措置を受けられます​​が。

・・・なら、アルミカーポート? 石場建て伝統構法の家に?!
建ててくれた​日伸建設​の棟梁、ものすごい難色!!
確かに誰が見てもこの家には釣り合わない。

以前の家は地下ガレージだったんで、車の雨ざらしに抵抗あったんですが、
どうしてもアルミカーポートの無粋さを受け入れがたく、見た目を優先!
これがサイディングの家なら、アルミでも妥協したかもしれませんが。

そう思ったのは、住宅系YouTubeで有名な
オーガニックスタジオ新潟の論説を見たことがあったのも影響しています。

そうは言っても、車の雨ざらしは仕方ないにしても、
雨の日に傘をささずに車の乗り降りができる!ということには、
設計段階からこだわりました。

そこで役立つのが、冒頭に述べた深い軒です。

雨が降っていても傘いらず…傘をさす余地もないけど…、
乗り降りに濡れることはほとんどありません。


大雨のときは、車を奥まで入れずに、玄関ポーチの下屋の下で。

これなら、そこそこ荷物があってもドアを大きく開けられます。


後席に乗っている人がいる場合は、玄関ポーチの下屋の前に横付け。

これで、バックドアからの荷物の出し入れも、濡れずにできます。



アルミカーポート屋根単体で考えると、一般的なサイズは幅2.7m×奥行5.0m。

ということは5ナンバー車を入れると、乗降する余地は90cmもないわけです。
背の高いミニバン用なら高さは2.8mほど、それでは雨は多少入り込みます。

つまり、確かに車が雨ざらしになるのは防げますが、黄砂は防げないし、
結局は雨の日に傘いらずというには不十分ですし、
しかも玄関から離れていると傘は必須になります。

それなら、別にカーポートの屋根はなくてもええやん!
軒や庇や玄関ポーチの下屋などと駐車スペースの配置を工夫すれば・・・ってことに。


家の外観を損ねるアルミカーポートなんてのは、選択肢から外す!
それで、結果的には良かったわけです。

深い軒って、室内への雨除け日除けだけでなく、
車の乗降の際の雨除けとしても活用できる!という話しでした。




台風一過、今日はまた厳しい暑さ!
でも、これは残暑。晩方には、秋の虫が聞かれます。
お盆を過ぎると、確かに真夏の峠は越えたなって実感させられます。

あと半月~ひと月もすれば、秋雨の時季。

雨もまた、いとをかし。

ユニットバスの壁面に無垢板を張ってみた … DIY ~ 木の家のユニットバス

2023年の今もウクライナでは戦禍が続くなか、1945年の今日8/14は、
大阪・京橋駅が爆撃された忘るべからざる日。明日は終戦という日でした。

すぐ近くの今のOBP(大阪ビジネスパーク)は、大阪陸軍造兵廠(砲兵工廠)…東洋一の軍需工場でした。
B29爆撃機145機の650発に及ぶ爆撃が京橋駅も直撃、五百人以上の民間人が犠牲になったのです。
あれから78年、先の大戦を人類最後の戦争とするべきだったのに・・・。


さて、昨日8/13、京都・南丹市園部の息子一家の家に、孫に会いに行ってきました。
息子は駆け出しの木工(刳物・漆芸)作家で、自宅に工房があって、
地元の廃業した大工さんから廃材をいただいたというので、見せてもらいました。

その内のフローリング材を利用して、我が家のユニットバスの壁の一部を板張りにしようと思い付いて、
少し分けてもらって、息子に切ってもらいました。

昨日は枚方は酷い暑さ39.2℃! 園部は37.8℃・・・暑いけど木陰は風がそよいで涼しい。

天然乾燥、もう十年は寝かせてあったものでしょうか。
日焼けして赤く色づいてしまっていて、一見なんの樹種か分かりにくい。
けど、どの面を見ても節のない柾目! すごく良い材のようです。

これまた別の廃業した大工さんから譲っていただいたという年代物の鉋(カンナ)盤をかけてみます。

すると、ものすごくいいヒノキの芳香が立ちます!
いや、檜にしては香りが強すぎるというか・・・もしかして檜葉/明日檜(ヒバ/アスナロ)?!



それならヒノキチオールの効果により耐久性・耐水性が非常に高く、
まな板や桶などにも使われるほどですから、風呂にはうってつけかも!
またα-ピネンによりストレスを和らげ、気持ちをリラックスさせる効果もあるようです。
 
給湯追い炊きコントローラーのところを、鑿(ノミ)でくり抜いてもらいました。

工房には糸のこ盤もあるのですが、手引き鋸(ノコ)と鑿の方が早いそうです。


そして今日、さっそくユニットバスの壁に張ってみました。
​といっても、ユニットバスですから、釘では打てません。
そこで、こんな両面テープを使ってみました。

耐久性は分かりませんが、貼り付けてみると、ちょっとやそっとでは剥がれそうにありません。
貼りそこなうと、やり直しが大変です!・・・ま、とりあえず3年もてばいいか。
屋外可・防水と表示してあるし、はがしても跡が残らないらしいので、また貼り直せます。


これがビフォー。このユニットバスについては、2022/2/19稿
なんか湯につかって正面が殺風景な気がしてたんです。

で、木張りにしてみた、これがアフター。

天井まで張ることもできたんですが、裏に通気層をとったので、
粘着力が弱ってきてもし倒れてきたら危険なので、下半分、正方形にしてみました。

もうちょっと色の薄い樹種でも良かったし、節があった方が味があったのかもしれませんが、
なんせたまたま手に入れた板なので、贅沢は言えません。

天然乾燥、しかも素人細工なんで、反りも隙間もあるのはご愛嬌!

上辺に見切り材を当てた方が腰壁としてはカッコがつくんですが、
敢えて無しにして、空気が抜けやすく水はけをよく・・・を見た目より優先しました。

ちょっと取って付けた感が強すぎたかな?

でも、湯に浸かったときの視界として、
浴槽の右横の石目模様だけでなく、温かみがでたように思います。

で、ほのかに木の香りも漂います。

今晩、今から風呂にしましょう。濡れたらどうなるかな?
妻には内緒で施工したので、どう言われるか・・・!


明日は台風7号が大阪を直撃するとの予報。

思い起こされるのは、2018年の台風21号の直撃による大きな被害。
今(21時)のところは、まだ風も雨も穏やかですが・・・。

立秋の頃 … 猛暑まっ盛り! ~ 真夏の陽射しに軒の大切さを思う

今年は8/8が立秋だったそうです。
といっても、日にちとしては8/8、期間であれば~8/22なんだとか。
いずれにせよ、一年で暑さのピークがこの時季。

太陽の高度そのものは夏至(今年は6/21)がいちばん高いので、
だんだん高度は下がってきていることになります。
今は夏至から50日ほどあと、ということは・・・。

夏至から反対に50日ほど前は、ゴールデンウィークのころ。
そのころの陽射しと実は同じということになります。
・・・と、そのころの記事を振り返ろうと思ったら、今年のは無い!

けど、5月半ばからの夏至前の我が家に射す陽の光の表情を、
には掲載していました。

残暑見舞いの時季にはなりましたが、まだまだ猛暑は続きます。
地球温暖化どころか、地球沸騰化!と国連事務総長が言ったとか。
けど、これから秋分に向けてどんどん太陽の高度は下がっていきます。

ということは、暑いのに窓には日光が直射しやすくなるということ!
そこで、まだ暑くない夏至ごろよりも大事になってくるのが、
「軒の深さ」というわけです。


今日(8/10)の正午ごろ、太陽が正中すると、
我が家の1階の南面する掃き出し窓には、このように陽が射します。

軒の陰だけでなく、障子も明るさを確保しながら遮光し、断熱にも寄与しています。

同じ時刻、外から見ると、南面(画面左半分)はこんな感じ。

軒の深さが半間(約90cm)あるので、
2階の窓には全く日光が直射していないのがわかります。

今ここ大阪・枚方の正午の外気温は36.7℃、
我が家の2階は窓全開でエアコンなしで33.7℃・・・今日は風がそよぎます。
動き回らなければ!、扇風機で過ごせないこともない。

8/3には最高気温37.8℃にまで上がり、
この日はクーラーなしで換気窓だけ開放した状態で室温を測ると、
1階が32℃、2階が34℃・・・これが我が家の最高室温と言えるでしょう。

夏場、1階も庇やベランダで、日光の直射を防ぎます。
冬場、太陽高度が下がるので、2階の窓には陽が射します。
・・・というのが、日本の家の当たり前の建て方というわけです。


さて、ほぼ同時刻の同じ方角を向いた家を、以下に見比べてみましょう。
 
築五十年ほどと思われる、いわゆる普通の木造の家。

軒は半間もありませんが、十分2階の窓への直射日光は遮られています。

こちらも築五十年ほどと思われる、いわゆる普通の木造の家。

軒は浅めですが、そのぶん窓の直上に庇を廻らせてあり、
2階の窓への夏の日光の直射を遮ってあります。

上の2軒とも、1階の窓への直射日光も遮る工夫が見られます。
今のように「日射遮蔽・日射取得」とかことさら言われなかった時代、
こういうことは当たり前のことだったんですよね!

一方、現代(ここ数年)の高気密高断熱が標榜されている家。

軽量鉄骨大手メーカー、オプションで切妻屋根を掛けた家。

最低限、これくらい(45cm?)の軒は、常識としてほしいものです。
2階の窓は、ちゃんと軒の陰に入っています。

今どきの、普通の在来工法の家。短い軒(30cm?)でも、
あれば2階の窓の上半分だけでも陰に入れることができそうです。

でも南面して出窓にしてあるので、せっかくの軒なのに・・・。

いわゆるローコスト住宅メーカーの軒ゼロの家。

外壁からは、樋の分しか出っ張っていないません。

南側は全面、直射日光の直撃を受けています。


軒ゼロの家は、高価なトリプルLow-Eガラス樹脂サッシでないと、
クーラーをガンガンかけてないと室内環境を保てないんじゃないか?
窓を開けるとよけい陽が射し込むし・・・。余計な心配をしてしまいます。

高気密高断熱でも、結局は高コストな家になるんじゃないかな?
なので今どき、窓は極力小さく少なくって言われるんでしょうね。

こうして見ると、軒は夏の窓からの直射日光を遮るだけでなく、
外壁への紫外線・赤外線や、雨も防いでいることが分かります。

で、軒が無いと外壁も紫外線・赤外線や雨に直に曝されるわけで、
家の傷み、耐久性にも影響しそうに思えます。


日本の家の軒の大切さを、真夏の陽射しの観点から、
素人の目で思ったまま述べてみました。

<参照>
2020/5/2稿​「それでもやる? 軒ゼロ住宅 ①~③」

 
夕方、西側が切妻屋根の妻面なので、西陽が射します。

1階の窓は、ちょうど陽が射すところに簾を掛けてあります。

2階の窓は簾もですが、障子もあって、日射を軽減します。

夕陽が室内を赤く照らす、お気に入りの陽射しです。

猛暑酷暑 ~ 最高気温日本一の枚方 … 伝統構法の家の真夏の作法

7/20には近畿は梅雨明け・・・いよいよ夏本番到来!
 
例年になく早く5/29梅雨入りだったわりには、
豪雨に苦しめられた地方をよそに、大阪は思ったほど降りませんでした。
雨明け以降は晴天が続き、大阪・枚方は連日真夏日(35℃)前後。

7/04稿​で述べたように、
本格的な夏に入り、さすがに夕食時~就寝~朝までだけエアコンを入れ始めました。

けれど日中、室温が30℃を超えても扇風機を点けていれば、エアコンなしでも大丈夫。
ただし​6/8稿​「​・・・陽射し・・・を楽しむ~窓を開け放して!​」で述べたように、
​東と西の窓には簾(スダレ)を掛けて、朝陽と夕陽の直射は遮るようにしました。


(☝朝の2階東側の窓)

(☝朝の1階東側の玄関三和土)


( ☝夕方の2階西側の窓)

( 夕方の1階西側の窓)

ウッドデッキには琉球朝顔が茂り、文字どおり朝から真夏を演出。(☟朝8時頃)

昨夏までは寒冷紗を掛けて日光を遮っていたんですが、​
​​今年はその必要のないぐらい茂っていい具合です。(☟昼2時頃)


そんな暑い日々が続くこの数日。
夕方は夕立になりそうな雲行きになっても、近隣の市は降っても、
枚方だけ全く降りません。

そもそも枚方は全国的に雨の少ないということで、
戦前には​東洋一の陸軍火薬庫​が設けられた土地柄です。
その火薬庫は、1909(明治42)年8月には、猛暑で大爆発事故を起こしています。

そして昨日7/27(木)、ついに枚方は久しぶりに日本一の座に!
13:50に​39.8℃に達し、今シーズン全国で最も高く​なったのです。

・・・って、全国一暑いのは初めてじゃないけど、ちっとも嬉しくない。

枚方観測点としても1977年以来観測史上最高、
1994/8/8の39.6℃を上回り、1位の記録を29年ぶりに更新したんだとか。
枚方市駅前の気温計は午後2時過ぎの時点で何と40.5℃!

ということで、朝の天気予報で39℃の予報は出ていたので、
窓を開けて外気を採風すると余計に室温が上がる懸念から、
今シーズン初めて朝から窓を閉め切って全館冷房を入れました。



我が家の全館冷房は、2階の14畳用壁掛けエアコンひとつです。
これを27℃設定にしておくと、こんな日の日中でも
2階は27℃、1階は28℃に保っておけます。


南側の窓は、軒が深いので直射日光はほぼ当たらないのですが、
ルーバー雨戸を閉めて、障子も閉めておきます。


そして夜中は、寝室の6畳用エアコン1台だけにして就寝。
全館用の14畳用エアコンは切っていても、寝室以外も朝までそれで十分。
翌朝7時、1階も2階も29℃台。最高38℃の予報で、また全館用エアコンを点けました。

我が家は素材的には、木と土と石と紙の家。
構造的には、手刻み無垢材木組み、土壁に無垢杉板張り、陶器和瓦葺屋根。
石場建てなので、床下は直に風が通ります。


断熱材は、屋根と床下に​フォレストボード​が張ってあるだけで、
土壁に無垢杉板張りの外壁には断熱材なし。
C値も実測5弱​と、決して高気密高断熱の家ではありません。

でも最高気温30℃程度までなら冷房はいらないし、
30℃を超える夏日でも、冷房は時間を区切って一部使うだけ、
35℃を超える真夏日で、やっと全館冷房。

いま喧伝され主流になりつつある、合成素材新建材をテープで目張りした、
24時間エアコン稼働を前提とする高気密高断熱住宅。
それはそれで一般論としては構わないでしょう。

けれど、それとは対極の伝統的な構造の住宅でも十分エコ、SDGs
1つの価値観だけに誘導しようとする住宅政策や建築業界への、
ささやかなアンチテーゼというべき家がここに実在します。

エアコンなしで4・5・6月を乗り切る … 無垢材と土壁の快適さ ~ 石場建て伝統構法の我が家の場合

先だっての6/23は「慰霊の日」・・・沖縄戦終結の日。
ちょうどそのころ沖縄地方は梅雨明け(今年は6/25)だから、
日本で唯一の地上戦は、文字どおり泥沼の、梅雨の最中の激戦。

この日は沖縄県では追悼の公休日だが、県民4人に1人というその犠牲と、
今も沖縄に国内の米軍基地の70%以上が集中している上に今の日本の
平穏が成り立っていることを思えば、国民こぞって祈念すべき日でしょう。


さて、今年の近畿地方の梅雨入りは5月29日と、
平年比8日早く去年より16日も早かったものの、
本格的に梅雨らしくなってきたのは沖縄の梅雨明け以降。

とはいえ、この3日は梅雨の中休み。九州では大雨が続くなか・・・

大阪では朝から夏至前後の高い陽射しがガンガン照りつけ・・・

気温はグングン上がって今日(7/4)の枚方の最高気温は34℃!

高断熱・高気密でも何でもない石場建て伝統構法・無垢材と土壁の我が家は、
こんな日でも一日中窓をほぼ全開にしたままで、日中はまだエアコンを点けておらず、
寝入りばなに湿度を下げるために28℃設定で冷房する程度です。

そこで、今日は日中は出かけていたものの、
​朝晩の室温と湿度を測ってみました。

​​(測定箇所によって若干の差があるので、概数0.5℃:5%単位)

これを見ると、窓を開けっぱなしなので外気温の影響は受けるものの、​​
かなり一日中変化が少ないことが分かります。

 

そして冷房時の適性温度28℃は超えているものの、湿度が45%程度なので、
室温が30℃でも扇風機さえ回っていれば、特段エアコンなしで過ごせます。



ちなみに、30℃:45%で、不快指数は77.5(やや暑い)。
不快指数は70~75で暑くない範疇なので、28℃:40%ぐらいになるように、
就寝時には少しだけエアコンで下げるだけで眠りやすいというわけです。

と、エアコンなしで過ごせないわけではないことを数字で見てきましたが、
もちろんTシャツ1枚で扇風機アリでのことですし、体質や体形などにもよるだろうし、
​決して暑くないわけではないんです。


(2階は31℃を超えましたが、エアコンは点けず、とりあえずシーリングファンだけ。)

ただ、数値ほどはベチャつき不快感を感じないというか、​
以前に合板とビニルクロスの家に住んでいたときと明らかに違う空気感というか・・・。
実際、ご近所の家々でも職場でも、エアコンが1日中うなっています。

あくまでも主観的な感覚で、さすがに無垢材と土壁だな!ってところを、
実測してみたら数値で裏付けられるかな?って話しでした。

とはいえ、27℃でも天気がぐずついて湿度が95%だと、
不快指数80で暑くて汗が出る範疇。
先月下旬にそんな日が続いた夜2晩はだけは、さすがにエアコンつけっぱなしにしました。

そんなわけで、梅雨の後半、本格的にぐずつく時季に突入。
また明日からしばらく雨模様の予報。
今23時、気温は30℃を下回ったけど湿度は60%に迫ってきました。


​(窓全開で棟の換気扇を回し小屋裏の暖気を排気すると、夜の外気が無風の日でも入ってくる。)​

4・5・6月とエアコンなしで過ごしてきましたが、
日本の最高気温を出したこともある暑い枚方
街中では無垢材と土壁の家もそろそろ3か月足らずの冷房シーズンです。


追記:

今日の関西テレビローカル放送、「ちゃちゃ入れマンデー」で、
外国人に人気の関西の観光スポットが紹介され、
当の日本人は安価と簡便を旨としたプレカット集成材に合板やビニールの家。
SDGsって、いったい・・・。

 

アメリカはともかく伝統的な建築を重んじるヨーロッパを尻目に、
国をあげて形ばかりは欧米並みの高性能住宅に!とは、これいかに???

今あらためて、我が家を手掛けた​日伸建設​をはじめ​、探せば全国にまだまだある
手刻み伝統的工法のできる工務店の、これからの活躍がますます期待されるところです。

立夏から夏至へ … 爽やかな陽射しと雨降りを楽しむ ~ 窓を開け放して!

立夏を過ぎ初夏を迎えた5月。
1年で最も清々しい時季・・・なのに!
5/29(月)、近畿では早くも梅雨入り。

とはいえ、6/3(土)~5(月)と、
梅雨前線はどこへやら、梅雨の中休み。
雨のあとの澄んだ空気に、高い陽射しが美しい。

というわけで、5月半ばからの夏至前の、
我が家に射す陽の光の表情をまとめてみました。


すぐ東側が丘になっている立地上、冬にはなかなか朝陽が射し始めないんですが、
この時季には7時頃から直接射し込みます。

こんな日は、朝から家中の窓を全開!

玄関引戸も開け放ちますが、外から中はほぼ見えません。


朝は玄関がいちばん明るく、名栗杉板の式台に腰掛けると心地いい。



南側の掃出し窓には、朝はまだ陽が射しませんが、
夏至が近づいてくると真東より北寄りから陽が射すので、
南側隣家の北面の白い壁に朝陽が反射して、とっても明るい。


隣りが近年はやりの真っ黒い家だとこうはいきません。
隣家との距離が十分な地域なら黒い壁でも影響は少ないんでしょうけど、
家が密集する住宅街だと、真っ黒い家は街を陰鬱にしてしまいます。

先述のように、この時季は日中は家中の窓を全開に。
まだ朝晩はかなり涼しいんで、朝の外気を入れておくと、
エアコンなしで一日中快適に過ごせます。

換気装置に頼って窓を閉め切って、
エアコン空調で過ごすのと対極の設計思想。
窓を開けた方が、換気装置の何倍も換気量が大きい。

我が家ではこうして、ほぼ4~6月と9~11月の6カ月はエアコンなし。
比較的温暖な大阪なら、これでいい・・・究極のゼロエネルギー。
電気を使わないなら、太陽光発電装置もいらない。

晴れた日には、ベランダで布団を干します。
洗濯も干すそのベランダは、前面道路から離れた奥に配置。

住宅密集地ながら、街並み景観にも多少は配慮してるつもり。

昼間の南側の掃出し窓、1間幅全開に引き込んであります。

陽射しは、冬場には部屋の中まで陽が射すんですが、
この時季は正午ごろにも部屋の中は深い軒の陰になっています。

これからの梅雨、雨が降っていても窓は開けておくことができます。
今どきの普通の家なら、窓を全部閉めて湿気を遮断しておくべきでしょう。
でも伝統構法、木と土と草と紙でできた家は、家自身が全体で調湿するので平気です。


さて、夕方。冬場ならとっくに暮れている6時前。
2階の西側の窓には陽が射しています。

西側に迫った隣家南側の庭に向けて狙った位置に、敢えて窓を設けました。

これを西陽と言って忌み嫌う向きもありますが、
この時季はその陽射しも影も美しい。積極的に楽しみたい光景。


遮熱型Low-E複層ガラスですが、断熱には障子を。

さらに真夏には、追って簾も掛けます。


同じ時刻ごろの1階。

西側に同様に設けたキッチンのはめころし障子窓全面に陽が射しています。
これも冬場の夕方なら、南西に迫った隣家に遮られて左半分は陰になるところ。

ダイニングテーブルの食器が長い影を落として、何とも言えない寛ぎムード。


部屋全体がパっと明るいわけでは決してありませんが、
梁や柱や土壁などへの反射と陰が、実際の明るさ以上の光を感じさせてくれます。



近ごろ、断熱!断熱!と東西には窓を開けるべきではない論が喧しいですが、
南側に隣家が迫り南からの採光があまり望めない立地の場合、
こうして積極的に東や西からの採光を採り入れるのも一興だと思います。


今日6/8(木)、去年なら梅雨入りもしていなかったのに、
梅雨真っ盛りの雨模様。それでも窓は開けっぱなし。
軒が深いと夏の陽射しも防げますが、雨も防げます。
2022/7/22稿「雨のなか窓全開で暮らす…深い軒や窓の工夫~シン・ツユアケにあたって」
でも触れましたが、これからしばらくは雨を積極的に楽しむ時季。

断熱だ!気密だ!と、窓を閉め切って、どころか窓さえなくして、
外界から閉ざされた暮らしを指向する今どきの家へのアンチテーゼ。
木と土と草と紙でできた伝統構法の家の楽しみ方の話題でした。

若い感性で家を建てない … 家の個性と公共性 ~ 再販できる家の本質的価値

石場建て伝統構法、木と石と竹と土と紙で建ててもらった我が家。
ひょんなことから定年を目前にした歳で我が家を新築することになり、
そこで考えたのは百年先、次の時代に引き継ぐ家づくりでした。


​☝​荒壁塗りを手伝ってくれた息子​

30代で持家にしようという夫婦が多いでしょうけど、
そのときの感性やライフスタイルはいつまで続くか・・・。

私たち夫婦が初めて持家を建てたのは、やはり30代半ばでした。
​​いわゆる売り建て分譲住宅(建築条件付土地…間取りは自由だけど建売仕様)でした。
 

​☝新築して20年暮らした今は無き我が家​​

一応は定年後までのことを考えて、例えば、
子ども用大部屋→後に2分割→子ども独立後はセカンドリビングなどと、
25~30年後を見据えた間取りをその時なりに一生懸命考えました。

けれど、そうしたアーでもないコーでもないの素人施主の要望に対し、
“こうした方が家としての価値が上がる”という専門的見地からのアドバイスは、
業者さんはからは皆無でした・・・というより、

業者さんのスタンスは、売買契約さえ取れればサッサと建ててしまいたい、
施主の要望さえ満たしておけば、家そのものの本質的な価値は顧みない・・・。
今から思えば、そうだったんだなぁと想い返されます。

その時に私たちが想定できたのは、せいぜい25~30年先のこと。
地下ガレージの上で高い階段を上らないと玄関にたどり着けない家を、
妻は内心不安には思っていたようですが。

で、結局いろいろあってその家は、
日本の家の平均寿命30年を待たずして、築20年で解体ということになりました。
​​
国土交通省HP「日本の住宅は長持ちしない」より

末期とはいえバブル時代ですから、莫大な借金を背負って建てた家でしたが、​
断熱や気密や自然素材なんて価値観も皆無の時代の、再販価値ゼロの家でした。

それに今は建築基準法が変わっていて、
その地下ガレージの上に新築は載せられなくなってたのにも、驚きました。
その土地を購入したときは、その地下ガレージが欲しかったので。

そして今、その頃の私たちと同じ30代の半ばに差し掛かろうという息子夫婦が、
まったく同じ轍を踏もうとしているんですよね。

あの頃とは時代も社会情勢も価値観もすっかり変わってしまいましたが、
売り建て業者のスタンスなんてあの頃と変わらない。

そして、息子もアドバイスは聞かない。
ま、私もその年頃には親の言うことなんて聞かなかったけど・・・。
そして業者はプロとしてそんな観点で施主にアドバイスすること。
・・・特に後者!


​☝無垢材を駆使する​棟梁​:建築中の我が家のLDK(2020年8月)​

・・・施主は、素人なんです!​
なのに、プロたる業者は、普遍的・本質的な家の価値を施主に語れていますか?!
辺りの新築住宅を見回して、暗澹(アンタン)たる気分になります。

特にデザイナーズ住宅といわれるのに、ひどいのが多いように思います。

奇を衒(テラ)うことで、若い施主の気を引こうとしているとしか思えない。
奇抜な提案ができることが、専門家の価値だと思っているのでしょうか?

今はやりの軒ゼロの家!

先述の記事にも触れられていますし、
私も​2020/5/2稿「それでもやる?軒ゼロ住宅」​で取り上げたところ。

真っ黒けで、ほとんど窓のない、キューブ型の家!


これらも先述の記事に、例示は異っていますが、触れられているところでしょう。
いくら今の最新技術で高耐久・高性能に建てても、三十年後に買い手がつくか?って話し。

そもそも家は、私的に閉ざされたプライベートなものですが、
外観や外構は、不特定多数の目にさらされる公共のものです。
私が知っている限り、既に45年ほど前にはそのことが提起されているところです。

芦原義信「街並みの美学」(1979年初版)
日本には一般論としてその観点が決定的に欠けているし、
プロたる建築家がそのことにあまりにも無自覚だと言えるのではないでしょうか。

[参照]
大澤 昭彦(2011年)


多くの住宅建築のプロ・専門家に期待できないとすれば、
素人たる私たち施主が賢くなるしかありません。

冒頭の記事の自覚を持ち、家づくりを想い描く力。
賢く良心的なプロ・専門家を見抜き選ぶ力。
その双方が協同できる施主力をつけておくこと。

高性能・高耐久の家づくりがようやく一般的になってきた今、
次の住まい手が見つからず結局三十年で解体せざるを得なくなる、
家の平均寿命は結局これまでと変わらない・・・それでは悲し過ぎます。


​☝新築中の我が家(2020年10月)​


早く帰って来て寛ぎたい、街に溶け込む家。
次の住まい手候補に、ここで暮らしたいと思ってもらえる家。
そんなコンセプトでも家づくりができるといいんじゃないかと思います。
 
この私の​ブログ​では家づくりを、住まい手の健康やSDGsの観点から、
主に新建材を排した自然素材と伝統的工法から述べてきましたが、
今回は違った観点から若い世代へのエールを綴ってみました。
 
還暦になってようやく気付いたこと・・・。
いま家づくりを始めようという三十代の若者たちも、そんなことに少しでも
思慮を巡らすことができればなぁ・・・と、ここに取り上げさせてもらいました。

☟小さくとも寛げる家、街に溶け込む家・・・我が家を建ててくれた​日伸建設​の事例​