大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

畳暮らしと朝陽と夕陽 … 便利さと美しさと ~ 畳と障子の再評価

今日はエイプリルフール。気の利いたウソでも書けたらいいんですが、
ホントに思ったこと・・・。


今朝、懇意にしているお寺にお参りに行ってきました。
ふと、東から障子越しの清々しい陽射しに気付きました。
畳を照らす朝陽が、なんとも美しい。


本願寺阿弥陀如来を西側に配置しているので東向きなんですが、
このお寺は街の区割りから真南を向いてるんです。
昼間は軒がかなり深いので陽は射さないんですが、朝7時、いい時に遭遇できました。

で、我が家はと言えば、お彼岸の頃以降、東向きの玄関ホールにまた朝陽が射し始めました。
我が家の立地は東側が丘なので、冬の間は朝なかなか陽が昇ってこないんです。
夏至の頃はもっと射すんですが、今ごろの柔らかい朝陽もなかなかいいもんです。

この時期になると2階の東側の部屋にも、朝から陽が射すようになります。
この障子越しの柔らかい陽射しの下、「春眠不覚暁」と洒落こみたいところ。

☝この障子は全開できるようになっていて☟、メッチャ明るくすることもできます。

畳の床に射す日光と格子の影のコントラストが美しいんですが、
散らかっていて残念ながらお見せできません・・・。


ところで、二十年来ためこんできた大量の書類を、
先日からようやく整理し始めたんです。

なんせものすごい量なので、並べ替えて分類して整理するには、
相当大きな机でも載せきれません。

そこで便利なのが2階の畳を敷き詰めた部屋。たった6帖の部屋です。

座布団を中心に縦横に動きまわって、必要なものを探しまわれます。

部屋としては決して広くはありませんが、そんなに大きな机があるわけでもない。
洋室にテーブルの暮らしでは、なかなかこうはいきません。

この書類とは、工工四。クンクンシーと沖縄の言葉(ウチナーグチ)で読むんですが、
三線(サンシン=沖縄の蛇皮の三味線)の楽譜です。

漢字で棹を指で押さえるポジション(チブドゥクル)が書いてあります。

畳の部屋の便利さは、
でも取り上げたところです。

その掲載写真を目に留めてくださった鈴木あるの先生(京都橘大学)のご縁で、
日本建築学会:日本建築和室の世界遺産的価値ワーキンググループの
ZOOMディスカッションにお招きいただいたことも​2022/10/1稿​で述べました。

そして、その写真が、
「和室礼讃」という本の鈴木あるの先生執筆のページ「畳む」に掲載されました。

帯の「和室では作業途中で寝そべったって問題ない。曖昧で適当でいい。」
という養老孟司の言葉が全てを語っている・・・お勧めの本。


我が家は「木と土と草と紙とでできた家」をコンセプトとした
石場建て伝統構法の家ですが、何度も触れているように、
とりたてて「和室」をつくりたかったというわけではないんですが・・・。

それにしても、6帖=畳6枚分=3坪。平方メートルで言われても・・・。
畳で言われると誰でも広さが具体的にイメージできる。
これって当たり前のようで、すごくないですか!

畳の使い勝手の良さは、日本の家の洋室にも取り入れて然るべき。
縁なし畳や和紙畳など今はいい現代風の畳もあることですし、
合板フローリングにするぐらいならぜひ畳をお勧めしたいところです。


さて、今日は大阪は4/1にして夏日、最高気温25℃との予想。
3/22には既に観測史上最早の夏日、恐ろしいぐらいです。
この分だと真夏には60℃?!(・・・エイプリルフール)

ウチから程近い天野川河川敷、
天津(アマツ)橋〜禁野(キンヤ)橋界隈も、先週末から見頃を迎えています。

河川敷ならではの菜花との取合せ。

貴族の狩猟地としての枚方(ヒラカタ)禁野、交野(カタノ)が原…七夕伝説の天野川流域は、
千年前平安時代以来の片野桜の名所です。

3/27には大阪で桜の満開が発表されました。
開花は観測史上最も早く、満開も二番目に早かったとか。
入学式には葉桜? 早過ぎる春本番も、これがスタンダードになるんでしょうか。


汗ばむ陽気の花見から帰宅して玄関に入ったら、ヒンヤリ爽やか。
築2年なのに古民家のようなこの感覚は、無垢材土壁の家ならでは。
外では近所の子どもたちと賑やかな声が微笑ましい。

そんな今日ののどかな家での昼下がり、
太陽は次第に西へ、このあと夕方はと言えば・・・。

5日前3/27のことですが、仕事から帰宅してもうすぐ6時という頃、
ふと西側の台所の窓が夕陽に染まっていることに気付きました。

気付いたというのも、冬場は南西に迫った隣家の陰になっているからです。

それで2階へ。西側の畳の部屋に上がってみると、
こちらも障子が茜色に染まっています。


障子を開けてみると、もうすぐ陽が沈もうとしているのが見えました。


これから夏至に向けて、​2021/5/4稿☟​で述べたように、
夕焼けの日没が楽しみな時季に入っていきます。


今どきの家づくりは高気密高断熱を言うがあまり窓不要論さえ喧しいようですが、
季節によるお天道様の光の移ろいを窓を通して愛でることのできる家・・・。

畳敷きの部屋の使い勝手の良さや美しさもあわせて、
そんな豊かさに結びつく家づくりを考えてみるのもいいんじゃないかと思うのです。

春本番 … 1階にようやく陽射しが ~ 太陽の動きを楽しむ木組み土壁の家

久しぶりの投稿、
ひと月ちょっと前の雪の話題​(2023/1/31稿)​の次は、
もう春の陽気の話題・・・

大阪・枚方では、2月下旬から最高気温が15℃を超えることが多くなり、
朝夕はまだ冷えるものの春本番を実感できる日が増えてきました。

それまでは1階の床置きエアコンと2階の壁掛けエアコンの
1台ずつ(計2台)で家じゅう全館暖房をしていたのですが、
こうなるとエアコンは1階の1台だけで家じゅうまかなえます。

三寒四温、3/2は冬型の気圧配置で北風でしたが、
その後は高気圧に覆われて南寄りの風でまた暖かくなってきました。

そんなよく晴れたおととい日曜日(3/5)。
ふと、冬の間は南側の隣家に遮られていた陽射しが、
また障子に眩しく射していることに気付きました。

南東側の書斎には、冬でも朝のうちだけは南隣りの家の影響を受けず陽が射します。


けれど昼になると、肝心の南側の窓は隣家の影に入ってしまっていたんです。
南側が大きく開けていると冬でも1階の窓に陽が射し込んで、
エアコンを切ることができるんでしょうけど、都会ではそうもいきません。

それが・・・

おっと! 昼過ぎにもしっかり陽が射している☝

思わず掃き出し窓を全開にして、

庭にとび出してしまいました。
 

南西側のダイニングの窓にも、陽が射しています。


北側の階段室。

北隣りの家が白っぽいお陰で、反射光がけっこう明るく射します。

階段室の照明は、
木組み土壁の家に馴染んで目立たないブラケットを選びました。
けっこう気に入っています。

夕方の西側の窓も、冬場は南西の隣家の陰で陽が射さなかったのですが、
この日はちゃんと陽が射していていました。


日中の時間が春分の日に向けて長くなり、
それにつれて太陽の高度も上がってきたのを実感できます。

ただ、日没の夕陽は、まだ南西の隣家に隠れてしまいます。
春分の日を過ぎると、日没がまた見られるかな・・・どうだったっけ?

参照:2021/5/4稿(西側の窓から夕陽を望む☟click)
「続・西陽を楽しむ窓配置…窓からの眺望と陽の光による空間デザイン~窓の役割を見直そう」

それにしても、障子に射す日光は、美しい!

ところで、この陽気で杉花粉の飛散が悲惨なことになってるとか。
ビニルクロス・合板の家に住んでいたときには手放せなかった鼻炎薬、
無垢材・土壁の家に暮らし始めてからは一切出番がなくなりました!

壁断熱なし土壁の家 … エアコンひとつ!氷点下・雪の日も ~ ヒートショック無縁!

一年で最も寒いのは1月下旬・・・教科書どおりの先週の寒さ、この冬一番の大寒波!
大阪・枚方でも最高気温は5℃前後、最低気温は氷点下って日が続いた週でした。

1月24日(火)は日暮れから雪がチラチラ。
グングン気温が下がり続けて18時には-1℃、降った雪が積もり始めました。


枚方では積雪は、一年で1~2回ってところ。それが来たといえばそうなんですが、
今回の大寒波は十年に一度という強烈さだそうです。


翌25日(水)の早朝には、最低気温-4.2℃(06:40)。
おぉ! 雪が積もってる!


我が家の2階ベランダ、7:30の実測は-1.3℃(湿度62%)。


さすがにここまで冷えると、窓サッシの下端が結露しているのを初めて見ました。
アルミ樹脂複合サッシ複層ガラス、障子による断熱効果で、結露したことはなかったんです。


家じゅうでエアコン2台のみ、点けっぱなし暖房。
1階は22℃設定、2階は18℃設定。

それで1階はいつもは20℃ほどを保ててるんですが、この時は19℃ほど。
2階は21℃ほどを保てているところ、この時は20℃ほど。湿度は40%でした。

我が家の外壁には断熱材は入っておらず、土壁と無垢杉30mm厚板のみ。
十年に一度の大寒波でも、大阪ではこれで十分。室内は寒くない。

積雪とはいえ、枚方ではたかが知れています。
大阪と京都の境の山地の向こう側、京都府南丹市園部の息子の家は、これ!


逆に大阪の人は、この程度だからと、ノーマルタイヤのままで車を出すから、かえって危険!

かく言う私も、そのまま自転車で出勤。

この日はこのあととってもいい天気。

せっかくの雪も溶け始めましたが、それでも最高気温は3.2℃(14:20)。

日没17時には1℃まで下がり、23時以降はまた氷点下に。
そこで心配なのは、ヒートショックが喧伝されているお風呂。

エアコンの暖気が直接は及ばない脱衣場の温度計を見ると、16.5℃。
推奨される18℃は下回ってるけど、極端に寒いわけでもありません。

で、冬場はいつもやっていることは・・・。
お風呂が沸いたら蓋を開けて、浴室の扉も全開にして、脱衣場の戸は閉める。

半時間もこうしておくと、風呂の湯気が脱衣場に充満して、
脱衣場の温度は19℃、湿度は97%。これで服を脱いでも、まったく寒くありません。

浴室に入って扉を閉めて体を洗って、湯船に浸かったら今度は扉を開けます。
これで頭部はひんやり、のぼせることもなく露天風呂効果。

その間に浴室と脱衣場の温度湿度が同じになるので、風呂上りの湯冷めもありません。
そのときの脱衣場の温度/湿度は、21℃/100%。ヒートショック知らず!

脱衣場の鏡は完全に曇って(結露して)いますが、
サワラ無垢材の壁面は湿り気なしのサラサラ。


そしてそのあとは、浴室換気扇は回さず、脱衣場の戸を全開して、
居室側に風呂場の湿り気を一晩かけて放出します。

朝には浴室はほぼ乾燥。土/漆喰壁の居室は潤ってサラサラ。
ビニルクロスなら、これでベチャベチャ、いっぺんにカビるんでしょうね。

土壁・無垢材木組みの伝統構法の家。
高断熱高気密の高性能住宅じゃないけど、真冬でも捨てたもんじゃありません。

明日2/1は枚方の最高気温13.5℃の予報。3月並みだとか!
2/4はもう立春・・・文字どおり春になればいいのですが。

賀正 … 年頭にあたり ~ #伝統構法 #木組み #無垢材 #土壁 #自然素材 #木と土壁の家 ・・・

この石場建て伝統構法、木と竹と土と紙の新居に、
一昨年の正月明けから暮らし始めてほぼ2年。
2度目のお正月を迎えました。



今年も玄関先には「​​ことほき​​」の創作しめ飾り。
これはいつも玄関内の上がり框の上にスッピンで掛けてあるものですが、
正月には庭先にあるものを足してアレンジして、表に掛け替えます。



昨日大晦日は最高気温10℃超えの予報だったので、
昨年12月22日稿​「冬将軍!・・・」​に述べたように、朝から2階のエアコンは切りました。
で、日中は12℃まで上がったので、1階のエアコン1台で家じゅう約20℃をキープ。

今朝の冷え込みは比較的ゆるく、朝6時で5℃ほど。
年越しの夜どおし2階のエアコンは切ったままでも大丈夫でした。
もちろん1階のエアコンは24時間点けっぱなしですが。


毎月1日は行きつけのお寺で恒例の朝7時からのお参り会。
今年も初詣はまずはその菩提寺へ。
2019年6月27日稿​「起工式(地鎮祭)~仏式・・・」​のお寺さんです。



今日の法話は、御文章(御文)の白骨章。
蓮如上人の手紙の一章から。
だれもみな尊い命という一大事に真正面から向き合って生きよう。

これに絡めて同時代の一休禅師のお話し。
一休さんが正月に因んでめでたい言葉をと頼まれて書いたという。

「親死(に)子死(に)孫死(に)」
 

順番どおりに死ぬのは当たり前のようでとても難しい、
順番どおりということは、頂いた命をまっとうしたということだからめでたい。
一休さんらしい言葉をもうひとつ。


いま、ウクライナの惨状を見るにつけ、
戦争のない平和な世の中を78年間守り続けてきた尊さをかみしめながら、
命に向き合っていこうと思った元旦の朝でした。


お参りのあと妻の実家に年始の挨拶に立ち寄ってから、
戻ってきたのは9時半。気温はもう9℃を超えていました。
寒さも心地いい程度で風もなく晴れ、穏やかなお正月日和。



ここで、このブログを書いています。


我が家の東側は丘なので、陽が射し始めるのが遅いのですが。


2階には、隣家の屋根越しに日中はずっと陽が射すので、晴れると室温も上ります。

今日はここのベランダで13℃まで上がったので、2階のエアコンは点けずです。


午後からは、息子たち夫婦と孫たちが集まってきます。
去年から正月恒例になりました。子々孫々・・・ありがたいことです。
けれど今年は、私の妹の家族と妻の実家の家族とは、集まるのを控えます。



去年の正月は座卓を3机出しましたが、今年は2机で大丈夫でしょう。
今年こそコロナ禍が収束してほしいものです。


この家に暮らし始めてから2年間。このブログには、
今どきの新建材で密閉し機械換気に頼った高性能高気密高断熱住宅とは敢えて逆をいく、
日本古来の現代的建築手法による家の四季を通した実際の住み心地を綴ってきました。

今年も同様に、この石場建て伝統構法、木と竹と土と紙の家の経年変化を踏まえつつ、
これまでとは異なった視点も織り交ぜていきたいと思います。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。



[追記]
一休禅師ではありませんが、私が
三線を始めたきっかけになった今はなき沖縄料理店「一休」にちなんだ、

今年も「命どぅ宝」をテーマに、みんなで琉球音楽を学んでいきます。
お近くで興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

「冬将軍! … 現代の伝統構法の家の場合(再) ~ 冬至にあたって」

今日は冬至。一年で最も日中が短い日。
大都市近郊の住宅密集地の我が家には、ほんの少しの貴重な日光です。
なのに今日はあいにくの天気で、そもそもほとんど陽が射しませんでした。

ちょうど一年前はどんな記録をしていたかなぁ?と
去年の12/18の記事を振り返ってみました。

ま、当たり前と言えば当たり前なんですが、
今年の状況とほぼ同じ。
また変わりばえのしない内容になってしまうのですが・・・。

今年の枚方、先週までは最高気温が10℃を超えていたのに、
12/17(土)からは雨が降り出すなか急激に冷え込み、最高気温は6.6℃、最低3.2℃。
それから冬将軍来襲、週明けにかけてこの冬一番と言われる冷え込みとなりました。

12/18(日)は晴れ、最高6.4℃、最低-0.1℃。
12/19(月)も晴れて、最高7.2℃、最低-2.3℃。
12/20(火)になってようやく最高9.9℃、最低0.2℃と、平年並みに近づいてきました。

その間、北陸では豪雪で、また新潟など道路で立ち往生や停電が発生したそうです。
それを思えば大阪(枚方)の気象は、いたって穏やかと言うべきでしょうね。
そんな​「省エネ基準地域区分6」​地域での伝統構法の新築についてのお話し・・・。


我が家の暖房は、1階の14畳用床置きエアコン1台と、
2階の14畳用壁掛けエアコン1台、
メインにはだいたいそれだけで家じゅうをまかなっています。

最高気温が15℃以上であれば、1階のエアコン20℃設定で、
それ1台をだけで2階まで家じゅうほぼ20℃前後をキープできています。
24時間自動運転していると、静かに作動しています。

これが最高気温が10℃ぐらいに下がってくると、
家じゅう20℃前後をキープするには、
1階のエアコンは21℃設定に上げしないといけなくなります。

そして最高気温が10℃を下回わった12/17日。

1階を22℃設定に上げても室温が20℃に届かなくなったので、
2階のエアコン暖房のスイッチをこの冬初めて19℃設定で入れ始めました。

そんな12/18(日)に、我が家の室温を測定してみたので、
以下に記録しておきます。



玄関は暖房の影響をほぼ全く受けないにもかかわらず、
三和土土間と土壁のお陰か、温度はほぼ一定です。

1階トイレは、入るたびにセンサー電気ファンヒーターが短時間作動します。
脱衣場は、前日夜の入浴時に、浴室の湯気で約20℃まで上がっています。
両方とも日中の温度変化はあまりありません。

1階LDKも2階居間も、最低気温が0℃を少し下回ったぐらいでは、
健康保持に大切とされる18℃を下回ることはありません。

2階寝室は、夜は戸を閉め切っていますが、エアコンは点けていません。
日中は戸を開けて2階リビングのエアコンの暖気が及ぶようにしています。
直接暖房していなくても、特に寒いということはありません。


去年の12/18稿でも書きましたが、我が家は南側に隣家が迫っていて、
ちょうど日中にその影に入るので1階には陽が射さなくなります。
もっと日射取得ができる敷地なら、暖房効率はかなり上がると思われるのですが。

そんな冬至の日射取得の写真を撮りたかったのですが、
今日はあいにくの天気だったので、冬至前後ということで、
ちょっと前ですが12/10の我が家への陽射しを掲載しておきます。

昼過ぎ12:30頃の1階。

ちょうど南側の隣家の陰で掃き出し窓には残念ながら陽は射さないのですが、
吹抜けを通して2階の窓から、隣家の屋根の上に太陽が覗いています。

その同時刻の窓が、これ。

2本の光が右から左へ、午前から午後へと動いていきます。

半間ほど奥行のある深い軒。
夏場の高い太陽からは、この軒のお陰で窓には陽が射しませんが、
冬場は太陽が低いので、2階はしっかり窓や外壁に光を受けることができます。



この外壁には、断熱材が入っていません。
30mmの無垢杉板の中は、蓄熱性の高い本物の土壁です。
日伸建設​の棟梁は、こういう壁は断熱材を入れる必要がないと言っていました。

隣家の屋根の上から日光が射し込む2階のベランダに出る窓。

住宅密集地ながら隣家までの距離はできる限り広く何とか3mはとったので、
北側斜線のお陰で2階にはちゃんと日射取得ができました。

我が家は、元1筆約60坪だった土地を半分に割った北側の約30坪。
元の60坪あれば冬に1階まで日射取得できるんですが、この地価では無理!

大阪の住宅地で30坪といえばまあ標準的な広さですが、
隣家が迫っていても工夫次第!
冬場の日射取得(と夏場の日射遮蔽)はしっかり考慮すると良いでしょう。


昨日から今日にかけて両日とも最高気温が10℃をわずかに上回り、
昨夜から今朝は雨で最低気温も5℃を下回らない予報だったので、
昨夜から今日日中にかけては2階のエアコンは切って1階だけにしました。

それで今晩の室温は1階2階とも20℃ほど。
今夜はよく晴れて明朝は一気に冷え込み、気温は最低-0.4℃、最高も4℃の予報!
室温が温かいうちに、また今夜は2階のエアコンを入れておきましょうか。


(追記)
を読み返してみると、前の冬はこの時期まだ2階のエアコンは点けてませんでした。
・・・そう言われると、点けなくてもいい程度には寒くないんですけどね。

まぁ大阪(枚方)では、伝統構法・無垢材と土壁の家なら、
地域区分4~5で世界有数の豪雪地帯である新潟並みの断熱気密性能って
必要か?!って話しです。

立冬 … 家の灯し火と街明り ~ そして442年ぶりの皆既月食と惑星食

忙しかったこの秋、1か月半ぶりの投稿となってしまいました。
その間、11/7は立冬、11/13には近畿地方木枯らし1号が吹き、
晩秋からいよいよ冬に入っていきます。

冬至まであと1か月ちょっと。
仕事を終えて帰宅する時間、夏場ならまだまだ日の入り前だったのに、
今は日の入りは5時前なのでもう真っ暗。

そんな帰宅を、我が家の温かい灯りが出迎えてくれると、ホッとします。
この頃はポーチ灯が人感センサーライトになっている家が多いんですが、
暗いなか歩いていると、特に冬場は家からの灯りがないと街が寒々しく感じられます。

そこで家の明りも街並み景観ということで、我が家は敢えて人感ライトにせず、
夜いつも明りが灯っているようにしてあります。
玄関も夜中じゅう薄明りをポッと灯してあります。



そんな立冬の翌日の11/8の夜は、皆既月食
しかも天王星食と同時に起こるという、
記録をたどれる4000年間では一度もなかった稀有な天体ショーの夜。

天王星以外でも皆既月食と惑星食が重なるのは、
日本では1580年7月の土星食以来、次は2344年7月の土星食だそうで、
これは見逃すわけにはいきません!

急いで仕事から帰宅し、2階へ駆けあがった19時過ぎ。
東の窓から見上げると、もう半分以上欠けています。


19:16ごろ、食の最大に入り始めました。


この窓の格子の隙間から眺めています。


国立天文台のライブ映像では、
20:04ごろ天王星が月の向こう側に隠れようとしています。


20:45ごろ、月がまた光を放ち始めました。


21:00ごろ、月は半分以上見えていますが、
普通の半月の陰とは反対で、暗い側が円いので地球の影だと分かります。


21:20過ぎ、また天王星が月の向こうから現れました。


格安スマホのカメラで夜の撮影、
何が何だか分からない真っ暗な写真ばかりの掲載になってしまいました。

ともあれ、次の皆既月食と惑星食が重なるのは322年後。
さすがの百年二百年住宅も、もう無くなってるでしょうね!

ということで、石場建て伝統構法の家のブログではありますが、
この家に次の皆既月食土星食が重なるのを見てほしいなという
願いを込めつつ、ミレニアム天体ショーを記録しておきました。

そして、災害には比較的強い石場建て伝統構法の家ですが、
戦争で廃墟になるなんてことのないよう平和を月に祈りつつ!

和室?和の家? … 日本建築学会 和室WG ZOOMディスカッション参加 ~「畳の上で着物を畳む」から

今朝は穏やかな秋晴れ。
朝夕はめっきり寒さを感じるほどになり、ここんとこ日中もエアコン要らず。
今朝も窓全開、玄関も開放して、外に開かれた日本の家を満喫しています。



さて、一昨日9/29、日本建築学:日本建築和室の世界遺産的価値ワーキンググループの
ZOOMディスカッションにお招きいただいて、
オンラインでお話しする機会をいただきました。

というのも、私のブログに掲載した写真が、
そのWGに所属していらっしゃる鈴木あるの先生(京都橘大学)のお目にとまったご縁。

キッカケは、鈴木先生が今共同で執筆されている著書に
「畳の上で着物を畳む」とのテーマでこの写真を使わせてほしいというご依頼でした。

それから私のブログをご覧になって、
和室WG主催者の松村秀一先生・服部岑生先生にお伝えくださり、
ZOOMディスカッションへの参加をお受けすることになったのです。

で、そのブログ記事を見返してみて、
あらためてその頃その本を読んでいたのを思い出したのでした。

「和室学 世界で日本にしかない空間」松村秀一・服部岑生編・平凡社
​話す内容としては、伝統構法の家を建てて実際に暮らしている経験や発見など、
ブログに綴られているような日々の発見や思いを中心に、
和室ユーザーの目線からの体験談をとのこと。

和室ユーザーとしてもうひとり、宝塚市の​狐白軒​という古民家を改装したサロンで
着物や和食を中心とした和の暮らしのワークショップを主催している
吉田道呼​さんと、それぞれ30分ほどずつお話しすることになりました。

以下、記憶を頼りに内容の抄録です。
画像の共有をしながら原稿なしでお話ししたので、まとまりなく恐縮です。
ここで掲載の話しの流れの都合上、当日と多少順番が前後しています。


まずは自己紹介。地元、大阪・枚方で、​三線サークル​を主宰しています。
作務衣や着物など常日ごろ和装で暮らしているというのを、言うのを忘れたかもしれません。
私にとってあまりにも当たり前のことだったもので・・・。

そして、ここでお話しするきっかけとなった私のブログの写真、
畳職人さんが畳を敷き詰めてくれた日についての紹介。

我が街ひらかたの紹介・・・淀川と天野川河岸段丘があり、その上には戦前、
東洋一の規模の旧陸軍火薬庫がありました。

決して大きいわけではない我が家。大都市近郊では、いわゆる平均的な大きさ。
中心市街地に近い住宅地、30坪ほどの敷地に建蔽率50%の石場建ての家。

手掛けたのは隣りの交野(カタノ)市の日伸建設。
どんな家なのか詳細は、​ウェブサイト(新築ギャラリー)​をご覧ください。
建てた経緯についてのお話しも、掲載されています(お施主様の声)。
石場建ての新築は、枚方では第1号かと思われます。
近隣市でも寝屋川市四條畷市に1軒ずつぐらいか・・・?
石場建て伝統構法の家を建てられる工務店、本物の大工さんは、希少です。
地域密着の工務店、地元の匠が手掛けたということが大事です。

石場建てになったのは、親方棟梁(社長)のつぶやき…
「ホンマは石場建てがエエねんけどな。」が直接のキッカケですが、
妻が見つけてきた「なぜ新耐震住宅は倒れたか」の本が決め手となりました。

​それからいろんな本を読みあさり、シンポジウムなどにも参加し、勉強しました。


石場建てなので、​篠山城大書院​のような大規模建築も、基本は同じです。
桁外れに我が家の方が小さいですが・・・。

床下は、コンクリート基礎に囲まれておらず、完全に開放されています。
礎石の上に柱が乗っているだけです。

地面に穴を掘ってグリ石を詰め込んで
ヨイトマケで突き固めた上に礎石を置くのが本来ですが、
地盤強度と工期と費用の関係で、ベースコンクリート方式が採用されました。

コンクリートの寿命は五十~百年足らずですが、
その強度が劣化しても基本は耐久力が万年単位の礎石なので大丈夫。
建物の構造体の天然乾燥無垢材の寿命も数百年単位です。

伝統構法ですから、在来工法のように筋交いはなく、
柱に貫を通して、堅木の楔(クサビ)や栓(セン)で接合します。

伝統構法の家がなかなか建てられないのは、
構造計算(限界耐力計算)や適判/建築確認に何か月もかかることだけでなく、
壁土づくりの発酵期間なども含めると、ものすごく工期が長くなることもあります。

竹小舞を編んだり、壁土を塗ったり、
多様な職人さんの大変な手間がかかっているので、費用もそれなりにかさみます。

省エネ基準適合のため高気密高断熱の「閉鎖系」住宅が圧倒的主流になっていくなかで、
地域の気候風土に適応した「開放系」の省エネ達成の選択肢の枠組みができています。
我が家は​気候風土適応住宅​の認定は受けていませんが、準じる仕様になっています。
木の家ネットのビルダーの中には、ヨイトマケに取り組んでいるところもあります。


さて、我が家。
先史時代に土の床で暮らしていたところ、三和土(タタキ)の土間から始まります。
床が高いので、沓脱石(クツヌギイシ)⇔式台⇔上がり框(ガマチ)というのは、
いわゆる古民家と同じです。
式台に腰掛けて、土間でいろいろ作業をすることもあります。

そして、板の間の時代、畳敷きの時代へと、
1階から2階に時代が下っていくような造りの間取りを考えました。

1階はというと板敷、日本古来の杉ですが、いわゆるフローリングです。
それでも「和室」と認識されますよね。
それは、真壁で柱が露出しているからでしょうか。
それとも間仕切りがゆるやかで、
仕切っても開放しても使えるし、
床座ではポジションが椅子のように限定されないからでしょうか。
それとも、明かり障子が和を感じさせるのでしょうか。
屋外・庭との緩やかなつながりも、和室の特徴です。
我が家は小さいので縁側(内縁)を設けるゆとりはありませんでしたが、
大きい濡縁(今風に言えばウッドデッキ)が中間領域となって内と外とを繋いでいます。

和室を考える上で重要な要素に、引戸があります。
ドア(扉)のノブだと、着物の袂(タモト)・袖口を引掛けてしまいます。
我が家のトイレの扉のノブは向こう向きなので大丈夫ですが、
昔のドアは、例えば便所の扉などは、小さなツマミしかありませんでした。

和室といえば、床の間。とはいえ、我が家にはありません。
畳だけでなく床の間も、和室である必要条件ではなさそうです。
けれどこの位置は床の間・仏間に準じた扱いにしてあります。
仏さんを板敷に直に置くのも何となくはばかられて、置き畳の上。
この感性は、畳というものの性格を表しているのかもしれません。
仏壇の上は、踏むことのないよう床を張らず、吹抜けにしてあります。

1階の書斎は、小上がりにして、畳を敷いてあります。
畳敷きですが、掘りごたつ式に椅子座です。

畳なので床そのものではなく、どこにでも物を置けます。
そのせいで、今はものすごく散らかっていますが・・・。

その場で寝転ぶこともできます。
この狭さ、籠(コモ)り感は、茶室に通じるところもあるように思います。

2階は全面畳敷き。

床に布団を敷いて寝る心地よさは、畳のお陰。
(韓国では板敷の上に布団を敷くので、畳は必須ではないものの…。)
ベッドから落ちる心配はありません。

2階も続き間を個室にしたり広間にしたり、必要に応じて変えられます。
広間にすると・・・たがが4畳半+6畳ですが、孫が来たら走り回ります。
 
そして、例の当初の写真です。
着物を広げたり畳んだり、半襟を縫い付けたり繕ったりアイロンを当てたり、
風を通したり季節によって入れ替えたり・・・。
・・・ちょっとテーブルでは難しいです。
和服(着物)がワンピースで大きく、平面裁断で進化してきたのは、
畳のお陰かもしれません。・・・ただし、腰が痛い!

谷崎潤一郎「陰翳礼讃(インエイライサン)」を引き合いに出すまでもなく、
光と影のコントラストは、和室の美しさを際立てます。
殊に格子の影は、和を演出します。

ところで、先般訪れた​鴻池新田会所​。
ここは住宅ではなく、今で言う事業所の建物ですが、造りは基本的には我が家と同じ。
こうして見ると、和室とは、規模や真(格式)/行(遊び)/草(質実)の差はあれ、
構成要素は同じなんだなあと思いました。

今や新築住宅では、和室は絶滅の危機に瀕していると言われています。
それでも今の若い人でも、いろんな理由から我が家に和室は要らんけど、
サザエさんの家にやトトロのサツキとメイの家には親近感を覚えます。

和室は今後、消えていく一方なんでしょうか。
大好きなSTAR TREKピカード艦長は24世紀、退役後は故郷フランスの古民家で暮らします。
欧米人の未来感は、そういうものなんでしょう。
2199年~23世紀の日本。宇宙艦に和室を設える感性や発想を持てているでしょうか。

今や多くの一般の人たちには、伝統構法どころか、
和室という選択肢さえ持てていないのかもしれません。
その選択肢をいかに「選択肢」たらしめるか!が課題なのではないでしょうか。

住宅展示場が家づくりの入口では、「できる大工さんなんて今どきいませんよ!」から始まります。
けれど、こうして伝統構法の家づくりを実際にやってみて、
できる大工さんや設計者さんなど実務者はビックリするほどたくさんいらっしゃることを知りました。

ちょうど我が家の新築企画が始まった前あたりからの関係者の運動の甲斐あって、
ユネスコ無形文化遺産世界遺産となっています。
私も妻とこのシンポジウムに参加してきました。

一介のサラリーマンのマイホーム新築。
こういう家、実は意外と手の届くところにあるんですよね。


私のお話しは、コインの表裏で2人目となりました。
内容は1人目の吉田道呼さんと事前の打ち合わせなしだったのですが、
内容が重なる部分がかなり多く、きっとそこに「和室」のエッセンスがありそうです。

一度こうしてお招きいただくと自動的にこのWGの仲間にしていただけるということで、
これからいろんな情報をいただけそうでとても楽しみです。
思いがけず大変貴重な機会を与えていただき、本当にありがとうございました。