大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

トイレあれこれ … 腰掛便器選び編 ~ 最新高機能?シンプルベーシック?

今日は妻と久しぶりの外食ランチ。

全国チェーンの洋食店。千円でお釣りがくる。それでもそこそこ美味くて腹いっぱい。

ああ、これって、大手ハウスメーカーのプレカット張りボテ住宅やね!って、二人で苦笑い。
それでもオープンキッチンなんで、大壁づくりで構造材が見えない家よりいいか!と。


さて本稿は、石場建てにも伝統構法にも無垢材にも手刻みにも土壁にも関係なく、
どんなビルダーでもどんな工法の家でも避けて通れないトイレの選択について。

注文住宅は住設機器のことでは、いろいろ悩みますよね。
特に水回り。いちど設置したら滅多なことで交換はしないので、
選ぶのも慎重になります。・・・えっ、トイレは工務店にお任せ?


我が家は1階と2階の2か所にトイレを設けました。

大雑把に言って、1階☝は昼用、2階☟は夜用って感じ。

特に家人の寝室や客人の宿泊室を2階にするなら、2階のトイレは必須でしょう。

で、便器をどれにするか?

我が家を手掛けた​日伸建設​は、
何も注文をつけなければ​LIXIL=INAX​の中から見繕ってくれます。
どうも、他のメーカーより割安に仕入れるルートがあるのかな。

けれど、それでもアカンわけやなかったんですが、
妻が施設管理の仕事をしていた経験上TOTOの方がトラブルが少なかったということで、
性能的にもデザイン的にも両社同等だとは思ったんですが、結局TOTOで選ぶことに。

前の家のトイレはLIXILとTakaraを選んでいました。
そこで、予算のこともあるし、一応3社ともショールームで見積もりを取りました。
枚方には、TOTOLIXILもTakaraもショールームがあるんです。

やっぱりデザインに惹かれたのは、タンクレス/洗浄便座一体型トイレです。
これからは、コレでしょう!って感じ。

LIXILなら​サティス​。
TOTOなら​ネオレストRH​。

でも、我が家が石場建て伝統構法に至ったのは、
来たるべき南海トラフ地震に備えてのこと。
災害対策でまず考えるべきは、電気がなくても!暮らせるかということ。

その観点でいくと、タンクレストイレは水道が通じていても、
電気がないと水を流せないんですよね!
これは、災害時に死活問題です。

そんなことをあれこれ妻としゃべっていたのが一昨年(2019年)。
ちょうどタイムリーに、その年の7/1、
近畿地方で伝統構法といえば!という「​​木造建築 東風​​」からのメルマガ・・・。
 
(許可を頂いたので、一部引用します。)

> 入居1年目:タンクレス便器+便座を購入する。happy ♪
>         ↓
> 入居2年目:(=約1年後) 製品がモデルチェンジされて廃番になる
>         ↓
> 入居10年目:(=8年後) メーカーの法的な部品保持責任は無くなる
>          つまりこの時点で、修理はできなくなります
>         ↓
> 入居15年後:便座(ウオシュレット)が水漏れなどを起こして壊れる。
>  この時点で、便器はまだまだ使えるのに、
>  それに合う(専用デザインの)便座 は世の中に存在しない状況になり、
>  必然的に便器も便座も廃棄処分して新品を購入するいうことになります
​​
> タンクレス型便器+便座は約30~40万円。
> 見た目はすっきりしていて掃除もしやすいが実質的な寿命は約15年。
>
> ロータンク型便器+便座は20~30万円。
> 見た目はすっきりしていないし掃除も面倒だが
> 便座は汎用品で長年部品交換できるので寿命は約30年。

・・・そうやんなぁ! タンクレス/洗浄便座一体型やと、故障したら総替えやん!
便器そのものは陶器なんで、詰まりさえしなければ三十年どころか百年でも。
故障するのは機器類なんで、そこだけ交換できる方がいい。

タンクレス式でも、電気がなくてもバケツの水で流せば流れるんでしょうけど、
機構は簡素な方が、要するに故障する部分は少ないに越したことはない。

ということで、災害対策という観点だけでなく、
メンテナンス性、耐用年数といった面からも、タンクレス/洗浄便座一体型は選択肢からはずれ、
いわゆる組合わせ便器から選ぶことにしました。

で、次に考えたのは、サイズ。
えっ!便器ってサイズいろいろあるの?

我が家の1階のトイレは、少し特殊な形状になっているんです。
それは、小便器を併設しているから。(小便器については、稿をあらためます。)
平面略図でいうと、こんな感じ。

(私のイメージを描いて棟梁に送ったもの。出来上がり図ではありません。)

これを見て分かるように、腰掛便器のエリアは奥行が1間あるので、
どんな大きさの便器を入れても大丈夫そうなんですが、
その奥の小便器に行くのに少しでも通路を広くとるためには、腰掛便器は小さい方がいい。

そこで考えたのは、パブリック便器。
TOTOには家庭用の他に公共・店舗用の商品展開があるんです・・・さすが!
さっそくTOTOのカタログを検索・・・おっ!これエエやん!!

なんと、家庭用便器より8.5cmも奥行が短い67.5cmとタンクレス式より小さい!

しかも連続洗浄もでき、タンクが低くてオシャレ。​(click☝catalog)
その上に飾り棚でも付ければ、花とかちょっとしたものを飾れそうです。

けど、一般家庭に使えるの?・・・HPのフォームから問い合わせてみると、

> 一般ご家庭にもお取付は可能です。
> ご確認が必要な点・・・流動時で最低必要水圧(0.07Mpa)が確保されているかです。

・・・との回答。私としてはイチオシの便器なんですが、
なんで一般家庭での設置はほとんどないんでしょうか?

もしかしたら、仕入れ原価が割高なのかもしれません。
エアコンでも、量販店用は品番も違っていて仕入れ値が安いそうですから。

そういうわけかどうか分からないんですが、
結局は実際に設置されたのはこれではなく、

​こちらは家庭用のカタログにもp.91にCS597として載っていて、
これでも家庭用のピュアレストQRより奥行が3.7cmも短い72.3cmとタンクレス式並。
(click☟catalog)

連続洗浄の性能はありませんが、デザインは家庭用のピュアレストQRとほぼ同じ。
想い描いてたのとは違っていましたが、結果的にはこれで何の問題もないし、
奥の小便器へも何の不便もないので、特に不満はありません。

2階は腰掛便器だけで、畳1畳分の広さがあるので、
普通のシンプルな家庭用の組合せ便器で十分です。
選択肢はTOTOの☟ピュアレストEXか、

☟ピュアレストQR


タンクレスなら丸っこいデザインがいいと思ってたんですが、
組合せ式のタンクの好みはなぜかシャープな印象の角のある方のタイプ。
やはり私は、流行を追うよりオーソドックスなのが好みのようです。

1階はトイレ内に手洗用水栓を別途設置したので、手洗器なし。
2階はトイレ内の手洗用水栓は特にないので、手洗器付き。
どちらもトイレを出てすぐのところに洗面所はあるんですけどね。


1階のトイレ前は、メインの洗面台☝
2階のトイレ前は、サブの洗面台☟


このタンク上部の手洗器、洋式便器が出始めた頃からあったように思いますが、
確かに洗浄用の水を先に手洗いに使うって、いいアイデアです。
でも実際のところ、使い勝手はあんまり良くないんですよね。


中国人が日本でこれを見て、中国でも!と流行り出したそうですが、
今の日本では手洗用水栓を別に設置するのが主流じゃないかなぁ。


便器の色は、ベージュにしました。
前の家は真っ白だったんですが、どうも病院みたいで・・・。
木の家との親和性も考えてのことです。

それにしても、昔はすごい色の便器がありましたよね!

でも、濃い色は、便の色チェックがうまくできないので、家庭用には不向きとか。
そのせいか今は淡い色ばかりですが、こういうものも流行を追わない方がいい。

五十年ほど前の親戚の家、そのときで既に古民家だった長屋のボットン便所は、
今から思えば伊万里焼だったんじゃないかと、懐かしく思い出されます。



トイレについてはまだまだあるんですが、
本稿は第一弾として、腰掛便座選びに絞って述べてみました。
要は、simple is best! ってことです。

サステナブル(持続可能)がこの家のコンセプトですし、
結局はその観点からトイレ選びもそこに帰着するんですよね。


トイレあれこれ第2弾
8/17稿「​奥が深いトイレあれこれ…内装・照明・小物など編~土壁・板壁WCは臭わない?!​」に続く。

 



本稿に出てくる便器3種の価格の目安のため、あくまでも参考まで、以下挙げておきます。
洗浄便座なし本体価格ですが、通販最安クラスの例なので、工務店仕入れ価格は全く見当もつきません。

[rakuten:setubi:10080227:detail]

黒い家ってどうよ … 隣近所から見て ~ 街並みの観点からも!

今朝(7/3)は明るい陽射し。ウッドデッキは昨日から昨夜の雨で濡れています。


梅雨後半、今日は静岡県の方では豪雨で大変な災害が起こってしまいました。
枚方は昨日からの雨は今朝には止み、陽もときどき照って、かえって蒸し暑い!

昨日は最高気温28℃、湿度90%超え。
雨でも窓を開けておけるこの家でも、さすがに外気を入れても涼しくないので、
昨日の日暮れごろからエアコンで除湿しました。ほぼ3か月ぶりのエアコンです。

冬に活躍するのは1階の床置きエアコン。

この14畳用1台で家中暖房できます。

そして、これから活躍するのが2階のこの天井エアコン。

安価な家庭用壁掛け型14畳用を、業務用天吊り型のように設置してあります。
設定は「除湿/弱」、これ1台。

これで昨夜から今日一日中、家中26℃程、湿度57%程。
外は最高気温31℃湿度70%でしたが、除湿/弱のままで家中一定。
不快指数は73.9「暑くない」ですが、体感的には~70「快い」って感じで過不足なし。

エアコンの及ばない玄関土間もトイレも、室温26℃程、湿度65%程だったので、
エアコンなしでも不快指数は74.7「暑くない」で、
これなら扇風機だけでも大丈夫だったんですが・・・。


さて話しを戻して、今朝。
庭の明るい陽射しを綺麗だなぁと眺めていて、フと思いました。

これって、隣りの家の外壁の色のお陰でもあるな・・・と!

そういえば、最近建ち始めた近くの分譲地。
白い家が建った次に、黒い家が建ったんです。

そんなチグハグな街並みを平気で造ってしまう業者の感性を疑います。

それはともかく、自分は黒い家は選ばないにしても、
この黒い家の周囲の家も嫌だなと思ったんです。
だって、こっちまで薄暗く陰気になってしまうでしょ!

それにしてもこの十年ほど、黒い家が次々増えてきたのは、何なんでしょう?
黒い家は諸外国では邪悪の象徴、ほとんど見られないそうです。
「黒い家」でググると、ホラー小説と映画が挙がってくる。

時代を象徴する流行りに乗る・・・十年も経てば入れ替わってしまう車ならともかく、
これから百年住宅が標榜される今、どうなんでしょう?

黒い家が所々にある街並みは虫歯のようで景観上好ましいとは思えないし、
黒い家が建ち並ぶ街並みができてしまったら、陰鬱な街になりそうです。

黒が素敵と思う日本人の美意識は、
漆や、古民家の焼杉など、伝統文化からくるのかもしれません。

それも本物の焼杉なら、耐用年数は四半世紀~半世紀。
その間の経年変化は味、なんとも言えない美しさを醸し出します。



click☟link
​「​焼き杉板YS-6の経年変化​」​


一方、新建材だとその黒の変化は、十~二十年ほどで
塗膜のチョーキング(白亜化)現象が見られ始めるなど劣化でしかなく、
味わいとは程遠いものでしょう。

黒は効果的に配色すると、アクセントが際立つ演出ができて好感が持てます。
烏城(ウジョウ)と呼ばれる​岡山城​も黒と白の対比が美しい。

でも、ただ黒いだけの家は、独り善がり。
デザイナーの思考停止としか思えないのです。

四方の1か所でも黒い家が建っていたら、
その土地はマイホーム用地としては選びたくない。
断りもなしにマイホームの隣に黒い家を建ててほしくない。


そんなことを考えていると、
我が家は、これはたまたまではあるけれど、
隣家に恵まれているなぁ!と思ったんです。

隣り近所付き合いがとっても良好なのは、
周囲の家の色より何よりありがたいことなんですが、
四方に一軒も黒い家がないありがたさに改めて気付きました。

南側は、冒頭の写真と・・・。

眺望は望めない住宅密集地でありながら、家の中に陽は直接射していなくても、
隣家の北壁面から間接的に光を感じることができます。

2階も深い軒で直射日光を遮りながら、

お隣さんのお陰で明るく感じることができます。


東側は、2階から全面道路を挟んで向かいの1階が見えるのですが、

もし目の前に黒い家の陰が浮かんでいたら、朝の陽射しも陰ってしまいそう。

北側は、1階のハイサイドライトから、

お隣さんの白っぽい家の反射光が奥まで射し込みます。

階段室も・・・

2階のハイサイドライトからも。


西側の窓は、6/21稿「​夏至の西陽!・・・​」で述べたように、
隣接する家と家の間を狙った位置にしてあるので、

西陽が障子越しに柔らかく部屋を照らします。


黒い家は、デザイナーズ住宅から始まったんでしょうか。
だとしたら、デザインのプロとしての見識を疑いますが、
今では建売住宅まで・・・。

黒い家が欲しいという人を否定する気はありませんし、それは自由です。
でも、じゃあ!と黒一色の家を提案するようでは、プロとは言えないでしょう。

黒い家が増えてきたことを顰蹙(ヒンシュク)モノと感じている人は、
少なからずいるのではないでしょうか。

閉塞感の漂う暗いご時勢、だからこそ!
せめて家の外観も街並みも明るくありたいものです。
あくまでも私個人の偏見に満ちた思いですけど・・・。

夏至の西陽! ・・・ 盛夏に向けての日射遮蔽 ~ できるだけエアコンに頼らずに

今日6/21(月)は、夏至。一年で最も日中が長い日。
大阪・枚方(ひらかた)の日の出は4:44だったらしいけど、
目覚めた7時には太陽はもうかなり北寄りの東高く輝いていました。

昼間、南中高度は79°近く。
ほとんど真上ぐらい高いですが、軒の浅い家だと南側壁面に陽射しが当たります。

けれど、この家は軒が深い(約半間≒90cm程)ので、太陽は軒の上。
南側壁面は陰になっています。

壁面への雨当たりの問題もありますが、
夏場の壁面への日射熱射を考えれば、断熱の観点からも紫外線による劣化の観点からも、
軒ゼロ(or極短)住宅は論外だと思うのですが、どうでしょう。


さて、そんなことを言っておきながら・・・。
夏場に避けるべきは西陽というのが常識なんでしょうが、
この家は、敢えて西側に窓を設けてあります。
西の窓から見える夕焼けの眺めを添えて述べてみました。

これが夏至にはどうなるか?!

昨日の昼下がり、2階の西側の出窓には、日光がカァ~ッと射してきました。

最高気温は28℃超え。窓を全開にして通風し、室温は26℃ほど。
格子の影と障子である程度は日光を遮れますが、障子を閉めると通風も遮断されてしまいます。

そこで夕方、太陽の位置を見ながら、

右側の窓にだけ簾(すだれ)をかけてみました。
これで窓を全開にしていても、ずいぶん直射日光は遮ることができているようです。


そして今日、夏至当日の夕方6時前。
なるほど・・・家の西面には、こんなふうに日光が当たっているのかぁ。


ちょうどキッチンの窓のところに、日光が当たってる!


これを室内側から見ると・・・

陽射しは奥の方まで届いていますが、ハイサイドライトの上下は細いので、
遮熱タイプの複層ガラスも相まって、直接太陽に目線を合わす角度だと眩しい割には、
熱射は問題なさそうです。

2階の出窓は、簾をかけた方は、ちょうど隣家の陰に入っています。


これを室内側から見ると・・・

右側の簾のかかっている方の窓は全開で、隣家と簾の陰で通風は確保。
左側は遮熱タイプの複層ガラスが2重になっているうえ、
障子も2重になっているので、日射は4重遮蔽で万全(?!)。

ある程度これを狙って窓配置を考えたんですが、
ドンピシャリ!でした。

今日の枚方の最高気温は32℃。
この写真の時点6時ごろは外気温は28℃ほど、2階の室内も窓全開で28℃ほど。
外から爽やかな風がそよぎ、エアコンも扇風機も無しで、木組み土壁の家は快適です。


今日の日の入りは19:14。
春には日没を直に見ることができたんですが、
今はかなり北寄りに沈むので日没は隣家の向こうで見えません。



左側の窓には簾をかけていないので、
西陽の直射が気にならない時間には左側の窓を開けると、
街中の住宅地なんで隣家同士の隙間ではありますが、眺望が抜けます。



うーん、昼間は晴れたといっても、梅雨まっただなか。
夜には西の空に雲がかかり始めました。天気はだいたい西から東へ・・・。
明日は天気予報でも、やっぱり曇りだそうです。

ウッドショックを機に ・・・ みんなで考える本来の家づくり ~ 業界だけの問題ではない!

石場建て伝統構法、木組み土壁の家。
その写真には、国産のスギ・ヒノキ・マツ・ヒバ・クリ、その継手、そして土壁などが写っています。

・・・って、よく見えない?

先日スマホの機種変更をして以来、写真うつりが良くなくて、
ブログに載せるにも補正をかけないと使い物にならず、何か変だなぁと思っていたんです。

で、妻がフと見つけました・・・

レンズに保護シールが貼ったぁるままやん!

はがしてみると、ホッ! 普通にちゃんと写りました。
店にクレームをつけに行かんでよかった。

手鉋仕上げで艶光りしています。

この玄関、戸を開けると、国産天然乾燥無垢材ならではの空気感。
集成材はむろん、無垢材でも人工乾燥材では、こうは香らないそうです。

しかし、そんな国産材まで、
輸入材のあおりを受けて価格が高騰してきているというのです。


「​ウッドショック​」
​​

輸入材に頼ってきた建築業界にとっては一大事!
マイホームの夢は遠のくのでしょうか?
「​職人がつくる木の家ネット​」がウッドショックを機にオンラインリレートークを始めていて、
これがすごく中身が濃くておもしろいんです!(☟click)


特に私たちマイホームを発注する側、素人としては、6/2配信リレートーク№5
「ウッドショック!木の家の柱や梁は、どんな材料かご存じですか!」なんか、
基礎知識として見ておくと良いと思います。(☟click)


大工の立場からの本音や、木材の専門家からの解説など、とても見ごたえがあります。
ウッドショックについてのYouTubeはこの3か月ほど次々とアップされていますが、
伝統構法を手掛ける大工さん自身による生の声は、他にはほとんどありません。

また、6/8配信リレートーク№6
「木の家の耐震の本当の話!施主には、知られてない裏側について語る」も、
​本音トークがすごくおもしろいです。​(☟click)​


大工の立場から​宮内建築の宮内寿和さん​が「​4号特例​」について問題提起。


その上でさらに宮内さんが、
「お伝えしたいこと」として突っ込んでいきます。

それに対して、木質材料の専門家の立場から​国立建築研究所​の​槌本敬大さん​が、
反証を加えながら解説します。
それぞれの立場からのお話しも興味深いです。


ウッドショックといっても輸入材から始まった問題ですから、
我が石場建て伝統構法の家を設計施工した​日伸建設​もそうですが、
そもそも国産天然乾燥無垢材で建てている工務店には当面は影響がないようです。

そのあたり、ここでも「国産」「天然乾燥」「無垢材」などの言葉が出てきますが、
木の家ネット​のリレートークを見て理解を深めるためにも、
これらのキーワードについて、マイホームを考えるにあたって知っておく必要があります。

そのためにも、まずは入門編として、こちらを見ておくと分かりやすいかもしれません。

​​​​内保製材(☝click)「【ウッドショックの影響?!】滋賀発!日本の木で家をつくる工務店の現状やいかに?」​

「本物」の工務店は、産地の見える材と手刻みの技にこだわっているはずです。
日本の林業は問題も大きいようですが、
地産地消ができているところにウッド「ショック」なんてことは起こらないハズ。

食材を買うとき、産直や有機栽培や無農薬などにこだわる人が増えています。
「衣・食・住」・・・住も同じこと!

​​(山長商店「木の家に住むということ>家の柱ご存知ですか?」)​​

これを機に、マイホームを発注する業者選びに、
そんな視点をもってみませんか?!

「手刻みのできる大工さんはいますか?」
「工房やストックヤードを見せてもらえませんか?」
「木材産地とつながりを持っていますか?」

WEBで仕入れた知識を振りかざすより、まずは尋ねてみましょう。


YouTubeの動画をあれこれ紹介しておきながら何ですが、
これらを全部見たらかなりの長丁場!・・・私は早送りで見ました。
それにしても、地上波はロクな番組が無く、ほとんど見る気になれません。
 
 

我が家のもうひとり ・・・ 老犬ヨーキー ~ 木と土の家の恩恵を最大限受ける犬の目線

今日のこの稿は、いつもの石場建て伝統構法の家のことというより、
そこで一緒に暮らすウチの飼い犬の話題。



ところで・・・。

早過ぎる梅雨入りだったというのに、先週は梅雨らしくない天気が続き、
最高気温は連日30℃超えでした。

でも、日中は対面する窓を開けて通風を確保しておくことと、
小屋裏換気扇でテッペンに溜まる暑気を排気することで、
最高室温は27℃ほどで収まっているので、まだエアコンは要りません。

縁側代わりの玄関引戸を開け放っておくと(参照:​5/26稿「・・・内と外を繋ぎ遮る仕掛け」​)、
午後はその東面は日陰側になり、
結構いい風が入ってきて心地いいです。


軒が深いことと、障子があることで、
窓からの日光の直射が抑えられていることも、
板張り土壁のお陰だけではない大きな要因だと思われます。

夜は気温がまだちゃんと20℃ほどまで下がるので、
格子窓を空かしていれば屋外と屋内の温度差で外気が入ってきて、
暖かくなった室内を冷ますことができます。
実際この半年この家で暮らしてみて、
機械換気装置に頼る必要はない家が実現できているなというのが実感です。


さて、ウチの飼い犬に話しを戻しましょう。
一日のほとんどを家の中で過ごす、ヨークシャーテリアの老犬のことです。


この犬、もう2年ほど前から体調を崩していたのですが、
5か月ほど前にこの家に転居してきて以来、この家が快適だからか、
どうもこのところ持ち直してきているように見受けられるのです。

もう15歳ですから、人間に換算すると76歳だそうで、
小型犬の平均寿命に既に達しています。

一日の大半は、お気に入りのインド綿カバーのクッションの上でじっとしています。

年齢的なこともあり、この一年ほどはずっと1週間に5日の病院通い。
一時は餌も食べようとせずグッタリ状態が続いてもう危ういかも・・・だったのですが、
今は老いは感じさせるものの以前に比べれば目に見えて元気です。


体重もいっときは1.4kgほどまで落ちて吠えることもなくなっていたのに、
このごろは1.8kgほどまでに回復(*)してときどき元気に吠えるようになってきており、
主治医も驚いているぐらいです。(*元は2.4㎏ほど)


思い返せば生まれてこの方、ビニルクロスの部屋、
合板の硬く冷たいフローリングに敷いた化繊のカーペットでの暮らしでした。

大人になってからは、階段から落ちて頭蓋骨骨折でICUに入院したり、
化学物質の煙に巻かれて肺が真っ黒けになったり、
腎臓を患ったりといろいろ大変で、身体はかなり傷んでるはずです。

それがなぜ今になって回復傾向なのか・・・?!


もちろん​病院​の優れた先生方による治療のお陰は言うまでもありませんが、
この体調が持ち直してきた数か月の大きな変化といえば、
なんといっても居住環境!


無垢の杉床板と無垢の檜柱と土・漆喰壁に囲まれて暮らし始めた・・・ということです。

特に犬は、鼻も口もそれらから数cmのところ。
視界はこんな感じでしょうから、

視力も色覚も人間よりかなり弱いそうですが、
それでも無垢材や土や漆喰を視覚的によりダイレクトに感じそうです。

さらに、犬の嗅覚は人間より桁外れに優れているそうですし、
身体が小さいぶん体重・体積当たりの匂い物質は人間の何十倍にもなりそうです。
そういえば、この家に来てから、クシャミが減ったように思われます。

私たち感覚の鈍い人間でも、この家の心地よさは言い表せないほどです。
ましてや犬にとっては、病さえ癒すほどなのでは・・・?
 
科学的な根拠は私には言えませんが、
この心地よさの体感は、物言わぬ小さな犬が顕著に表しているように思われるのです。

イヌもヒトも、森から生まれ進化した動物。
森由来の自然素材そのまんまの家に親和性が高い・・・というより、
それが動物としての本来の免疫力を高めているのかもしれません。

自然素材の家に移り住んでから、
ひどいアトピーなどの不調が治まったという話しはよく聞きます。
それなら、最初から住んでいたら、発症しなかった(軽かった)かもしれません。

ここで科学的データを示して根拠を論証することは私にはできませんが、
ウチの犬を実際に見ていても、
この家のような無垢材と土や漆喰の家が体に良いことは間違いなさそうです。



しばらく梅雨の中休みが続いていましたが、
ようやく今日だけは久しぶりに本格的に雨が降っています。

軒の深いこの家は、雨でも窓を開けて外気を採り入れます。

雨の匂い感じながらも、木と土の家は湿気を感じることはありません。
乾いた家には、恵みの雨です。

トイレの電気スイッチは外側?内側? … 遅れ停止スイッチに! ~ 実際に暮らしてみて

昨日(6/4)は久しぶりの大雨。
日中は窓をほんの少し空かした状態で閉め切り、
もちろんエアコンは点けず・・・4月に入ってから一度も点けずに過ごせています。



そして帰宅した夕方6時頃。雨はそろそろ止もうとしている様子。
ヒンヤリした外から屋内に入ると、家の中は暖かく感じます。
でも湿気は高くないので、とてもいい感じです。

<※ 末尾に実測値を記録しておきます。>


ところで、みなさんのお家のトイレの電気スイッチは、
トイレの外側にありますか?内側にありますか?

我が家は、1階は内側、2階は外側でした。なんでか?
1階は、外側にスイッチを仕込む壁がなかったから。
2階は、転居前の家のトイレが外側だったから。

そんな単純な理由!
というか、考えて選ぼうというような項目ではなかったので、
どちらがいいか調べもしなかったんです。

ところが、実際に暮らしてみると、
1階のトイレ・・・内側にスイッチがある方が便利!
便座に座ったまま操作できる利便性なんて、この家で初めて知りました。

しかも2階のトイレのスイッチは、
トイレ前のスペースの電灯とトイレの換気扇のスイッチとの3連になっていて、
これが意外と紛らわしくて点け間違えることもたびたび・・・。

そこで、棟梁と電気技師さんに相談して、
トイレの電灯と換気扇のスイッチをトイレの内側に移設してもらうことに。
ついでに換気扇のスイッチを、遅れ停止スイッチに変えることにしました。


これが元の3連スイッチ。

当初の間取り図ではこの袖壁は無く、右側の柱が戸当たりになっていたのですが、
工事が始まってからここにスイッチ!と思い付いて、急遽袖壁を設えてもらったのです。

その部分の工事中の写真は、
2020/8/22稿「​屋内造作がとりあえず一段落・・・大工さん大奮闘!​」に載っています。

そしてその内側は、こうなっていました。

ここに袖壁を設えたことで、飾り棚を付けることができたので、
その下を物置きにすることができるようになりました。

ところがこの袖壁、土壁の「​真壁​」です。
近年一般的な石膏ボードの「​大壁​」と違って壁の中が柱の厚み分(10cm強)の中空ではないので、
スイッチボックスを単純に埋め込むわけにはいきません。

それならスイッチボックスを木で作ったらどうなん?とか、
スイッチ部分をスイッチボックスぶん木の板でふかしたらどうなん?とか、

作図して棟梁にイメージを伝えて、具体的にはお任せすることにしました。


さて、1週間前の5/30朝イチ。
日曜で休みの日だというのに、棟梁と電気技師さんが来てくれて、作業開始。

で、さあ電気工事にかかろうと・・・ふと気になることが・・・暗い! 
この周囲は夜のほの暗さを演出するために敢えて20w相当LEDにしてあるので、
昼間の工事には照度が全然たりません。

そこで急遽、予備の100w白熱電球に交換!
この家の照明器具は基本的にほぼ全部ソケットにLED電球を挿してあるだけなので、
交換は超簡単。これは想定外の事態でしたが、やはりSimple is best ! 正解でした。

電気技師さんが外側のスイッチをバラし、
内側の土壁にスイッチボックスを取り付ける穴を穿ちます。


それを棟梁が引き継いで、ふかし壁を無垢材で作ります。
電気技師さんの腰にはたくさんの拳銃が・・・いや、七つ(?)道具が光ります!


私のイメージ図とは違って、全体的に板壁にするようです。


壁の断面、木摺に土を塗って、漆喰仕上げをしてある層が見えます。


2人がかりで約3時間の作業。
あたかも元々そうだったかのような出来上がりです。
スイッチは床から90cmほどの高さにしてもらったので、便座に座ったままでも操作できます。

内側のスイッチは、上側がトイレの電灯、下側が換気扇。
換気扇は、スイッチをOFFにすると15分後に切れる設定にしてもらいました。

外側のスイッチは、上側がトイレ前スペースの照明、下側がトイレの電灯。
つまりトイレの電灯は3路スイッチにしたので、外からでも内からでも点滅できます。


これでスイッチの押し間違いはなくなるし、
換気扇は自動で必要な時間が経てば切れ、点けっぱなしになることもなく省エネです。

とはいえ、
無垢材と土・漆喰壁のトイレは、ビックリするほど臭わないので、
消臭芳香剤がいらないどころか換気扇もほとんど使う必要がありません!


みなさんは、トイレのスイッチは、外側派?内側派?・・・好みの問題かな。
換気扇は、遅れ停止または一時動作スイッチ?・・・これ、お勧め。
注文住宅を検討するにあたって、そんなことも考えてみてはいかがでしょう。
 
 
<※ 6/4(雨)の実測値>

午後6時ごろ。
外気温22℃ほど、湿度80%ほど。

1階は、室温24.5℃ほど、湿度65%ほど。
2階は、室温25.5℃ほど、湿度55%ほど。

湿度は低いので室内の不快感は全くなかったのですが、
室温は涼しかった外から入ったときに少し温かく閉塞感を覚えたので、
家中の窓を全開して外気を入れて室内環境の変化を測定してみました。

まだ小雨が降っていましたが、
引違い窓のある側は軒・ケラバが深いのと、
軒の浅い側は滑り出し換気窓なので、雨は入ってきません。

約30分後と約2時間後。
外は、気温22℃ほど、湿度80%ほどで変わらず。

1階は、室温22.5℃ほど、湿度75%ほど。
2階は、室温25.5℃ほど、湿度60%ほど。

外の空気が一気に入ったので、1階はかなり涼しくなりました。
そして湿度は少し上がって、それきり安定しました。

不快指数計算サイト​で算出してみると、
そもそも外気が不快指数70.1で「暑くない」の下限近く。
室内はいずれも不快指数70~73ほどで「暑くない」の下限近く。

屋内が外気より気温が高く湿度が低かったのはなぜか・・・。
温度は、晴れて暖かかった前日の室温が保たれていた?
湿度は、窓を空かして湿った外気が入ってきても、室内で除湿された?

室内の不快指数は65~70「快い」範囲ではありませんでしたが、
体感として不快感は全くありません。
梅雨期の一日中の雨でも、無垢材と土壁の家は心地いい室内環境です。
 
 

木と土の玄関 ・・・ 光と風と薫 ~ 内と外を繋ぎ遮る仕掛け

> 昨日5/16には、もう梅雨入り・・・
> 近畿地方では平年より3週間ほど早く、1951年以来統計史上最も早い・・・

で、過去の梅雨入りは?と自分のこのブログを辿ってみると、
なんと、もう2年前のこと。昨日のことのように思い出されます。

> 昨日(2019.6.26)、ようやく「起工式」を迎えることができました。
> 天気予報ではこの日は梅雨入り、雨になるかもとのことでしたが、
> 式場設営中は風もなく夏至すぐ後の強烈の陽射しで暑い!

一昨年の梅雨入りはかなり遅く、夏至の後だったんですねぇ。
大阪の梅雨入りの「平年」は6/6頃、去年は6/10頃。
普通なら今ごろはカラッと五月晴れの一年で最もいい季節なのに、今年は・・・。

4月から5月にかけ、日に日に暖かくなっていくなかで、
この家では天気のいい日には窓を全開にし、外気を積極的に取り入れています。

このあいだの土日も早すぎる梅雨の中休みで、5月らしい陽気だったので、

> 居間から(植付けたヤマブキを)見ると、こんな感じ。
> 今日はいい天気で、(掃出し)窓サッシは1間幅で引き込み全開しています。


居間の掃出し窓は、いわゆる縁側を想定して配置したんですが、
この家では玄関にもその機能をもたせてあり、
こんな気候のいいときには玄関の両開き引戸も全開にしているんです。
 

そんな玄関のご紹介・・・

といっても1月中旬に引越ししてきて以来、一向に片付かない!玄関。
そこでもう半年も前、昨年末の竣工直後12/20の写真で。

お客様がいらっしゃると、一様に「良い薫りがしますね!」とおっしゃいます。
雨だと、なおさら薫りが立ちます。ジメジメした感じには全くなりません。
でも、木製の引戸は、少し開けにくくなります。木と土の玄関は、生きています。

今は夏至(6/21)の時候ですが、
この☝写真、この日は冬至(12/21)頃。午前10時台の陽射しです。
冬でも陽射しが温かいと、こうして全開にすると心地いいのです。

これだけ全開にしても、すぐ前の道からの視線はポーチの格子で遮られます。


網戸があるので、夏の虫にも安心です。
が、今ごろは蚊が出始めているのに、青森ヒバ天然乾燥無垢材枠の網戸や玄関引戸の周りには、
不思議となんとなく蚊が寄ってこないような気がします。


青森ヒバは抗菌防虫作用のあるフィトンチッドのうちヒノキチオールを発散しており、
「総青森ヒバ造りの家には三年間は蚊が入らない」とも言われるそうです。

この家で青森ヒバを使っているのは建具だけですが、
他もヒノキやスギなど天然乾燥無垢材だらけですから、蚊除け効果があるのかもしれません。
(人工機械高温乾燥材ではフィトンチッドは干からびていて、効能は期待できないでしょう。)

玄関から奥の居間や台所が見通せるんですが、
ガラスも紙も張っていない千本格子の建具で、
通気したまま視線を遮ることができるようにしてあります。


玄関式台のところはアクリル板千本格子障子で閉め切ることができるので、
冷暖房効率を高めることもできます。

ここで仕切ることで、玄関土間に風除室の機能をもたせてあるわけです。

上がり框のところには、遊び心でニッチを付けてもらいました。

飾り棚は、棟梁が日伸建設の工房から掘り出してきた​チャンチン​という木に、
棟梁自ら​我谷盆(ワガタボン)​風に彫り物をしたもの。

手摺は、これも工房から掘り出してきたサクラの自然木。
削り出してみると洞(ウロ)が出てきて、これも味と敢えて見える向きに。

ニッチに対面しては、棟梁手作り造作下足箱。

これ、今でも一般的に下駄箱って言いますよね・・・下駄なんて普通は入ってないのに。
ウチは、私が日頃から和装なんで、本当に下駄が入っていますが!

その奥は今風に、ウォークインシューズクローゼット!

この下足箱には裏板が無く、表側は扉を閉めていても実はオープンラック。
その奥には通気窓もあるので、中で空気がこもることはありません。

そして式台は、名栗(ナグリ)の第一人者である京都・京北の原田隆晴さんによる京名栗。
名栗は普通はその名のとおり栗の木を手斧(チョウナ)でナグルんですが、これは敢えての北山杉。

この式台は幅が1間半(2m半)ほどあり、
玄関引戸が両開きに1間幅で引込開放できるようにしてあることと合わせて、
縁側・内縁(ウチエン)的な役割も持たせてあります。

というのは、昔の農家が普段は縁側から出入りしていたこと、
町家が通り土間から出入りしていたことをイメージしたもの。
当初の想い、​2018/4/15稿「こんな家がいいなぁ・・・」​が、形を変えて実現したものです。



式台の下の沓脱石(クツヌギイシ)は、親方自ら見つけてきた丹波鞍馬石(=たんくら)。
鞍馬石とは京都・鞍馬産の閃緑岩で全国的に銘石として知られていますが、超希少!
それに準じた丹波地方産のものですが、これも良質のものは減少しているそうです。

この沓脱石をステップにこの上で文字どおり靴を脱げばいいのですが、
いらしたお客様は憚(ハバカ)られるのか、必ずこの石を避けられる・・・。
それにしても下駄箱同様これも昔からあるのに、こちらは沓(靴)?!

玄関土間は、文字どおり土の間。
壁も、漆喰を混ぜない素の藁スサ入り土壁。
そして床も、京都の深草土に消石灰と苦汁(ニガリ)を混ぜて突き固めた、本物の三和土(タタキ)。

土間の床のことをコンクリート/モルタルでもタイル敷でも一般にタタキと言いますが、
本来は3種の天然素材を和ませせて叩(タタ)いた、日本古来のコンクリート様のもの。
石灰と苦汁のアルカリで、土がカチンコチンに固まります。

といっても土は土ですから、靴の裏に泥がついて上がり込んでも全く気になりません。
しかも柔らかみと温かみのある風合い・・・本当にコンクリートと比べて。
汚れは箒で外に掃き出すだけで、超そうじ楽!

施工については​2020/10/15稿「三和土 たたき タタキ・・・」​に掲載してありますが、
ここまで本格的にしなくても今は​タタキバインド​や​モルタルでも三和土風​にできるので、
伝統構法でなくてもモダンな家でも、ぜひオススメしたいところです。

玄関から外に出て、ポーチも三和土。
内と外がゆるくつながるというこの家のコンセプトを、同じ素材の連続面で表現。
屋外に本物の三和土でも、雨が激しくたたきつけるところでない限り全く大丈夫です。


郵便受のある方の正式な?入口は右側☝なんですが、
実際の出入りはほとんど将来の車椅子での出入りを想定した左側☟になっています。

このスロープのお陰で、今は自転車をポーチの下屋の下に入れています。

このポーチの下屋を支える柱も石場建て。
ここだけ地面に金物で固定すると、家が地震で揺れたら、この柱は折れてしまいます。

そしてこの礎石も、沓脱石と同じ丹波鞍馬石。
自然石なので、表面はデコボコ。
そこで柱の底面は、その凹凸にピッタリ密着するように「​ひかりつけ​」してあります。

この工程については、​2020/10/9稿「・・・玄関ポーチの格子づくり」​に掲載してありますが、
それにしても、玄関の前が石畳になるとは、思いもよりませんでした!
この工程については、​2020/11/27稿「外構にかかっています・・・」​を参照ください。


昨日今日と梅雨の中休みで晴れたのですが、今日は夕方から雲が厚くなってきました。
今晩は3年ぶり、スーパームーンでは24年ぶりの​皆既月食​でしたが、
20:09~19分間だったのに全く見ることができませんでした。

例年ならまだ梅雨じゃないので、いい時季の天体ショーだったのですが・・・。
明日はかなりの大雨になるとの予報。災害にならなければいいのですが。