大阪で伝統構法の家づくり!・・・石場建て/木組み/土壁 ~今さらマイホーム新築

五十代も後半、自宅を再建新築。 今さら住宅ローン!建売りのローコスト住宅か…。 で、行き着いたのはやっぱり自然素材、地元の工務店。 手刻みの材木、金物をほとんど使わない躯体、美しい木組み。 間取りの打ち合わせがほぼ終わった頃、棟梁がつぶやいた。 「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」 「えっ?石場建てってなんですのん?!」・・・ 家造り、伝統構法について、発信していきます。

西陽を生かす、灯りを生かす ・・・ キッチンに障子を追加しました ~ 障子の効果!

昨日8/8、コロナ禍で強行された東京オリンピックが閉幕。
お祭り騒ぎの後には感染者激増の後遺症、平穏な日々は戻ってきません。

せっかくの夏休みなのに旅行もはばかられる事態ですが、
木と竹と土と紙の我が家は民宿に来ているような心持ち。
前の家を思い浮かべると、こんなときは家の快適性がおおいに問われることを実感します。


ところで、
我が家のキッチンの窓。モロ西向きなんです。普通なら避けるべきところです。


敷地がわりときっちり東西南北に向いていて東西に細長く、
真南から南西にかけて隣家が迫っているので、

空いている東側と西側からの採光を重視した窓配置になっています。

特に西側は夕陽の眺望を優先したので、
夏の西陽対策は重要になってきます。
(参照:5/4稿「​続・西陽を楽しむ窓配置・・・​」、6/21稿「​夏至の西陽!・・・​」

その西側のキッチンの窓・・・けれど、
食器棚を挟んで上側にFIX(はめころし)採光窓と、
下側に採風手元明り窓とに分けてあるので、とりたてて西陽による差し障りはありません。


夕方にはリビングの奥の方まで光が射して、
それはそれでかなり気に入っていました。


とはいえ、そのハイサイドライトに目をやると、かなり眩しい!
しかも、樹脂アルミ複合サッシ/遮熱型Low-E複層ガラスとはいえ、
今ごろの酷暑期には、内ガラスの表面温度が40℃超のこともあることが実測されました。


それと、もうひとつ。夜になると他の窓は障子で白いのに、
障子のないこの窓は外の闇で真っ黒になってすごく不釣り合い。
しかも食器棚の上の間接照明が、隣家の2階の窓を煌々と照らしてしまう。


そこで、このハイサイドライトに障子を入れてはどうかと​日伸建設​の棟梁に相談。
さっそくこの家を手掛けた建具職人を呼んできてくれて、その案採用!
他の建具と同じ青森ヒバで製作してもらうことになりました。


そして昨日8/8、いよいよ搬入、取り付け、
朝から棟梁と建具職人さんが来てくれました。
日曜日なのに、お仕事ご苦労さまです。


仮当てして、
鉋をかけて微調整して、

はめ込みます。磁石で固定してあるので、引っ張ると外すことができます。

うーん! なかなかいい感じ。窓の雰囲気が思っていた以上。
下側の窓と比べると、型ガラスのギラギラ感がなくなり、それと樹脂サッシ枠が見えなくなり、
障子紙の柔らかい光と青森ヒバの柔らかい質感で、圧倒的に良くなりました。


障子紙といっても、ここは日光が直射するところ、紙だと劣化が気になります。
そこで、アクリル板で障子紙を挟み込んだものになっています。
本物の和紙なら日光による劣化はマシなのかもしれませんが・・・。

桟は、他の窓の障子は縦繁(タテシゲ)格子なんですが、
この横長窓には鬱陶しかろうと、最低限にしました。

これで西陽の制御だけでなく、断熱性も格段に向上!
夏でも冬でも快適性が向上するはずです。
(障子の断熱効果は、7/24稿「​・・・表面温度を実測・・・​」参照)

とってもうまくいって、ご機嫌の妻。
棟梁と建具職人さんに手土産を渡して、
コーヒーを淹れておもてなし。小一時間4人で楽しい職人談義、楽しいひと時!

さて、ちょうど西陽の直撃を受ける夕方。

かなり光が和らいで、眩しくなくなりました。
部屋の奥を照らす日光が見られなくなりましたが、光が拡散されて暗くはなりません。

気になっていた夜も、下側の窓と比べると一目瞭然ですが、
窓が外の闇で黒くならず、
障子のお陰で食器棚の上の間接照明が効果的に見えます。



それとキッチンでもう一つ、勝手口のアルミ樹脂複合サッシドア。
ここも、すぐ横の障子と釣り合いが悪くて、気になっていたのです。


けっこう出入りもするし、ドアクローザーも干渉するしで、躊躇していたんです。

それで、障子紙をガラスに直に水糊で貼り付けることも考えたんです。
そんなときフとホームセンターで見つけたのが、これ。

窓ガラスに水で貼り付ける和紙風のフィルム。

フィルムは塩化ビニルなので自然素材の家には合わないかもしれませんが、
キッチンなので直に水拭きできることを優先したってわけです。

上述の障子の設置の後の午後、さっそく自分で貼ってみました。
上側のガラスは説明書どおりにやって、ちょっとイマイチ。

貼ってると貼ってないの差は、かなり大きい。
下側のガラスは自分の工夫を入れてバッチリ!・・・DIYって、練習が本番、あとがない。

よく見ればアラはありますが、遠目にはいい感じになりました。


型ガラスのギラギラ感がないのと、
横の障子との釣り合いがマシになったのと。

格子の縦横が違ってるのはご愛敬。

夜はどうかと見てみると、思ったほど白く照明を反射していません。

障子紙を直に貼っていたら雰囲気がもっと良かったのかもしれませんが、
それでもガラスが夜の闇で真っ黒ってことはなくなりました。

外から見ても、中の人影はほとんど映らなくなり、

横の窓との釣り合いも格段に良くなりました。

これでますます民宿っぽくなってきて、
お出かけしなくても家で楽しく一日中過ごすことができます。
 


台風9号から変わった低気圧の影響で、今は暴風警報かなり強い風と雨。
でも軒が深いお陰で窓は開けておけるので、
家じゅうを風が通り抜けていき、連日の暑さが和らぎます。

一昨日8/7は立秋。まだ夏のピークではありますが、
こうして風雨が吹き荒れると、やはり夏の終わりを感じさせられます。

夏の夜を彩る、満月を愛でる ・・・ 家の灯りと月の明り ~ 夜の街並みの景観

猛暑の7月24日(土)、この日は​一粒万倍日​。
想い返せば1年半前の2020年2月21日、この日も一粒万倍日。
日伸建設​の棟梁の勧めで、この日に合わせて上棟式をしたのでした。

夕方から妻と久しぶりにお出かけ、ザ・シンフォニーホール。
大阪交響楽団の演奏会、モーツァルト交響曲38・40・41番。


夜、家路に東の空を見上げると、素晴らしい満月「バックムーン」。
アメリカの先住民が名付けた名称で、
今は雄鹿(Buck)の角が生え変わる季節なので、そう呼ばれるようになったそうです。

明るく賑やかな駅前の繁華街を抜け住宅街に入って行くと、
すっかり辺りが静かに暗くなります。
月明かりの空に、家々の陰が浮かび上がります。

その道すがらの家々の窓から漏れる灯りには、温かい暮らしが感じられ、
また我が家に帰り着いたときに目にする灯りには、
ホッとした心持ちになります。



住宅地の街並み。
昼間の街並みは家の形や色合いや質感などが大きな要素になりますが、
夜の街並みは家々の窓から漏れる灯りがそれを演出するように思います。

家を建てるとき、街並みの景観に思いを巡らせますか。
ましてや夜の街並みの景観にまで!
憧れの!ヨーロッパの街並みは、どうしてあんなに美しいのでしょう・・・。


我が家に帰ってきました。

「ただいま!」って、心が安らぎます。

格子から漏れる灯りは美しいのですが、
スマホのカメラでは見えているようには写りません・・・。


ガラリの採風雨戸からも灯りが漏れ、

中は見えずに暮らしの気配を外に伝えます。

(余談ですが、ガラリって、英語のgrill(焼き網)が訛ったって説があるそうです。)

ご近所の障子灯り。いつも通りすがりに、いいなあと目がいきます。

多分ここは洋室(?)、やっぱりカーテン越しより障子越しの方がスマート!
障子は内からも外からも美しいなぁとしみじみ思います。


その夜半、~25日(~日)には、満月がぼぼ南中。

ちょうどいい高さで、月明かりが室内に煌々と射し込み、

格子吹抜けを照らします。

インナーバルコニーは、設計では想定外の、我が家の観月楼。

猛暑日だったことを忘れる爽やかな夜風(といっても28℃近くあるんですが。)


寝室にもガラリ雨戸から月光が寝床に射し、すごく綺麗です!

けれどスマホでは、まったく見えているようには写りません・・・。


いい夢が見られそうです。
いい日になりました。おやすみなさい。
 

真夏の木と土の家 … 表面温度を実測 ~ 断熱性能と輻射熱は?!

新型コロナで緊急事態宣言が初めて出され、学校が休校になった昨年春。
職場で非接触体温計による体温測定が始まったのを機に、
私も家用に買ってみました。

そして今、変異株が猛威を振るい、あのころより数段ひどい状況のなか、
一年延期で東京オリンピックが強行され、昨夜は開会式。
地元東京ではどうか知りませんが、大阪ではほぼ話題にもならず。

夏休みの時期に入ったというのにどこへも行くあてもなく、
朝から蝉の大合唱が真夏を虚しく盛り上げています。

せっかく非接触体温計(表面温度計)を常備したものの、​
あれ以来まったく使うこともなく、この機会に夏休みの自由研究?!
石場建て伝統構法の新築の表面温度をあちこち測ってみることにしました。


今日7/24も朝から猛烈な陽射し。
でも夏至の頃の6月(6/21稿「​夏至・・・​」)を思い返せば、太陽が昇るのが遅くなってきました。

7時半には石鉢の向こうの植え込みまで陽が射していたのに、今日は8時でもまだ。
ここは東側が河岸段丘の山側なので、そもそも日の出は遅いのですが・・・。

でも、東正面には朝陽が直射。

玄関土間の中まで陽が射して、格子の陰が光を際立たせます。

(朝一番、お天道様を玄関にお迎えします。時季によって格子の影が変化していきます。)


さあ、測定開始。

これ、中国製の安物なので、信憑性は心許ないんですが、
自分の体温を測ると他の体温計と差がないので、多分ほぼ正確だと思います。
測定範囲は32.0~42.9℃なので、Loは32℃未満、Hiは43℃以上という意味です。


【9時(7/24)】外気温:30.5 ​​(外気温は2階のインナーバルコニーで測定)​​

*屋外の地面(場所によって差が大きいので1℃単位の概数)
 三和土:(日向)42 (日陰)35
 御影石:(日向)37 (日陰)33
 コンクリート:(日向)42 (日陰)34
 アスファルト:(日向)Hi (日陰)36
 杉ウッドデッキ:(日向)Hi (日陰)36 (寒冷紗の下)40


*壁(場所によって少々差があるので0.5℃単位の概数)
 東外壁:(日向)Hi  東土漆喰内壁:37.5
 南外壁:(日陰)36.5  南壁土内壁:33.0

【12時(7/24)】外気温:33.5

*1階床
 杉板床面:Lo
 石場建て床下気温:32.0

*玄関ポーチ(午前中に日が当たっていた後の日陰)
 三和土:(打水前)36.5 (打水5分後)34.5
 御影石:(打水前)37.0 (打水5分後)36.5

【16時(7/22)】外気温:35.0(※)

*壁(0.1℃単位)

 南杉板外壁:(日向)Hi (日陰)36.6 ​​(15時頃、太陽高度が下がると南面に少し陽が射します。)​​
 南壁土内壁:33.7

*屋根裏天井杉板:36.0


*西陽出窓 遮熱型Low-E複層ガラス(0.1℃単位)
 ガラス内側面:42.7(Hi)  簾+ガラス面:37.1
 ガラス+障子:36.8   簾+ガラス+障子面:36.2
(夕暮れ、お天道様をここからお見送りします。時季によって格子の陰が変化していきます。)

​​※今日は夕方から妻に誘われてコンサートへ。大阪交響楽団モーツァルト。それでこれは、一昨日の測定値。・・・というか実は一昨日、西陽の直射を受ける窓を測ろうと思い付いて始めたことなので、時系列があべこべになっています。まったく同じような天気だったので、大目に見てください。​​


さて、考察。

杉面は、直射日光で表面温度は一気に上昇します。
三和土もかなり暑くなりますが、御影石は意外に三和土より温度が低い。
日陰では似たような表面温度ですが、御影石とコンクリートは特性が似ているようです。

ウッドデッキの上の寒冷紗は、
遮光率80%と表示してある割には下はそんなに暗くならないので疑っていたんですが、
意外にそれなりの効果があるようです。


壁は、外壁杉板に日光の直射があって熱くなっても、
内壁(土塗または土漆喰塗)は最高37℃台、
直射日光が外壁に当たっていなければ内壁は33℃台と、案外熱を伝えていません。


いわゆる最新の高断熱住宅ほどではないでしょうけど、
外気温が35℃でもエアコンなしで室温を29~30℃に抑えられるのですから、
杉板30㎜と通気層と竹小舞土壁(断熱材なし)の断熱性能は、なかなかのものだと思います。

床はといえば、杉無垢板の表面は、素足で心地いい。
何℃か分かりませんでしたが、寝転がると冷た過ぎずフワッと涼しい。

石場建ての床下は、日陰の外気温より1.5℃低い。空気の動きが床下を守ります。

そして心配だった屋根断熱。

ガンガンに日光の直射を浴びて、瓦の表面は大変な温度になっているはずですが、
屋根裏の杉板天井は36℃にしかなってない!

屋根の構造は、2020/2/26稿「​屋根断熱…フォレストボード​」にあるように、
上から淡路燻瓦・杉野地板・通気層・フォレストボード60mm・天井杉板30mm。
日伸建設​の棟梁の判断、さすがです!

省エネでよく言われる打水は、日陰では多少効果ありそうです。
​でも顕著に効果が出るのは、石敷より、水の浸透保水性のある三和土。

 ​(昼過ぎ、日陰に入ってから打水をして約1時間後、まだ湿っています。)​
やはり昔は舗装してなかったから意味があったんでしょうね。
日向で透水性のないところに撒いても、文字どおり焼け石に水でしょう。

面白いのが、西陽の直射を受ける西側の出窓。
5/3稿「​夕陽に寛ぐ・・・​」や6/21稿「​夏至の西陽・・・​」で、
この出窓の趣旨や仕掛けについて述べたところです。

その仕掛けのひとつ、遮熱型Low-E複層ガラスも、
さすがに西陽の直射にはかなわないということ。
やはり窓は、断熱のネックであるには違いありません。

それを承知で設置した西の窓ではありますが、
障子の断熱性能がいかに優れているか、簾がいかに効果的かが、
ここでハッキリと数字に表れています。

直射日光を外壁に受ける内壁の表面温度と大差ないとは、意外でした。
エアコン節電術で、簾や葦簀を掛けましょうとはよく言われることですが、
日本古来の障子の性能が見直され、もっと評価されるべきだと思います。


温度計の性能がたいしたことなくてこの程度しか分かりませんでしたが、
こういう0℃~80℃まで測れるような機種にしておけば良かったですね。


私は着物が好きで日ごろから和装です。
着物好きの人は、よく言います・・・着物って涼しい(暖かい)んですよ!
でも、暑い日は何を着ていたって暑い! 涼しいと言ってしまえば、それは身贔屓、誇張。

石場建て・伝統構法・木と土の家・・・、これも同じこと。
確かに比較的、体感的に涼しいし温かい・・・、けれど、
暑い日はそれなりに暑いし、寒い日はそれなりに寒い。

主観的な感覚を言っているだけでは、説得力に乏しいと思うんです。
ただの身贔屓、我田引水ではなく、客観的にこうだから自分はこう感じる!
その客観性があってこその性能評価だと思って、こうして夏休みの自由研究を楽しんでいます。

続く猛暑日!… クーラー始動 ~ 伝統構法の家でどうやって酷暑をしのぐか?!

7/17の梅雨明けすぐは7/18稿「​梅雨明け・・・​」でも述べたように
最高気温がまだ33℃ほどの真夏日だったので、
伝統構法の我が家はエアコンなしでなんとか過ごすことができました。

けれどそれもつかの間、
翌7/19・20と最高気温が36℃の猛暑日


7月に入ってからの除湿/弱設定は、ウチのエアコンでは、
除湿すると室温は約1℃下がるということになっているようですが、
それではとても間に合いそうにありません。

この日は老犬に留守番させないといけないこともあり、
とりあえず2階の小屋裏エアコン1台を28℃設定にして全館冷房。

冷気が吹抜けと階段から自然と下に降りるのを、シーリングファンでさらに落とす作戦。

28℃は、​環境省が推奨​する冷房の室内温度で、設定温度のことではないのですが、
28℃設定で過ごせるならそれに越したことはない・・・試しにということで。

けれど、夕方帰宅してみると、
2階は直にエアコンが当たって27℃台だったんですが、
吹抜け下の1階は約29℃。許容範囲ではありますが、ちょっと暑い。

そこで次の7/21は、朝8時には室温が早くも29℃を超えたので、
1℃下げて27℃設定にしてスイッチon。

この日の最高気温は35.5℃。
そのときの室温は見ていないんですが、
夕方18時は気温(℃)/湿度(%)=35.0/35、1階=28.0/55、2階=27.0/60。

ま、27℃設定の全館冷房で大丈夫みたい。


(環境省HPより☝)​​

環境省が推奨する28℃ったって、コンクリートの建物では、こりゃぁ暑いです。
私の職場では26℃設定なんですが、現実には24℃設定にしないと暑いです。
でも木組み土壁のこの家なら、室温28℃でもぜんぜん大丈夫! 空気感が違います。

ただ、空調は室温28℃、湿度は50%以下に…と言われているようです。
ところが、この家では湿度は、エアコンを長時間かけてもそんなに下がらず、
せいぜい55%前後で安定してしまうようです。

冬場もエアコンで長時間暖房しても湿度は40%を切ることはなかったのですが、
これは無垢材と土壁の持つ特性だと考えられそうです。

外は36℃で35%のとき、
中は28℃で55%(不快指数76.36やや暑い)。
これで快適なんだから、これでいいでしょう。

ただし、扇風機は要ります!!
除湿/弱で過ごしていたときから扇風機は併用していました。

書斎にも・・・

脱衣場にも・・・

天井に照明兼扇風機が備え付けられていますし、
小型サーキュレーターもエアコンと併用しています。


けれど、さすがに朝9時にはもう30℃という猛暑、
1階の居間に小型サーキュレーターだけでは心もとないので、
前の家から持ち込んだもののお蔵入りしていた壁掛け扇を今朝設置しました。


もっと早くから設置したら良さそうなもんですが、
この家の柱や梁が綺麗すぎて、前の家みたいにどこにでも釘を打つことがためらわれ、
ようやく手鉋掛けでツルツルピカピカの梁の表面に穴を開けず設置する方法を思いついたのです!

壁掛け扇風機は、ウチのような小さな家にはピッタリ。
せっかく設置したことだし、
今日7/22も猛暑日の予報だけど、エアコンなしでいってみよう!

ということで、温度と湿度を実測。
スマホでご覧の方は画面を横向きに☟)

      1階   2 階    外気
 9:00  29.0/55  29.0/55  30.0/65
15:00  31.5/50  31.5/50  35.5/35(最高気温)

31.5℃/50%は、不快指数80.3(暑くて汗が出るの下限)
31.0℃/50%なら不快指数79.6(やや暑いの上限)

扇風機があれば、ボーっと何もせず寛ぐ分には大丈夫。
クーラーのなかった昔の家は、こんな感じでした。

けど、さすがに働く気にはなれません。
我が家の老犬クンも、もふもふクッションがいつもはお気に入りなのに、
今日は竹ラグの上で寝そべっています。


ということで、今さらながらエアコン始動。
1時間後には1階28.5.5/50、2階27.5/50に下がり、快適になりました。
やはり湿度はこれ以上下がりません。

そして夜。この時季もちろん最低気温が25℃以上の熱帯夜。
とはいえ、夜9時か10時頃には外気温が28℃程度まで下がるので、
夜中はエアコンを切って、外気を入れます。

もちろんこれをしようと思ったら、窓を開けて通風しながら、
しかも防犯は万全という窓の設計にしておかなければいけません!
それが伝統構法の家づくりのミソでもあります。

家にいるときも空けているときも、機械に頼らず通風できる窓。
これは、家の健康の意味からも耐久性の意味からも、
家の基本性能だと考えています。

最近のエアコンは、送風機能もすごくよくできています。

寝室用の予備エアコンを冷房ではなく送風にして、夜風を感じながら寝る・・・。
その方がダルくならないし、私は好きです。

そして翌朝目覚めたときの、
まだ気温が上がる前の木と土の家の真夏の空気と朝陽も!

6月の夏至の頃に比べて、日の出が少し遅くなってきたようです・・・。

梅雨明け ・・・ 伝統構法の家は酷暑を乗り切れるのか?! ~ いよいよ本格的な夏到来

近畿地方では、5月からと異例の長さだった梅雨が昨日で明け、
昨日も今日も最高気温は33℃!
我がまち枚方は、最高気温日本一の日が年に何度かあるくらい暑い土地柄。
 
家の正面、東側には容赦なく朝陽が照りつけます。


4月から3か月間エアコンなしで快適に過ごしてきましたが、
7月に入ってからは30℃を超えだしたので除湿/弱でエアコンを使い始め、
今日も29.5℃/65%で不快指数80に迫り(79.9)だした9時ごろから弱除湿を始めました。

昨日に続き今日も外からそよ風が入ってくるので、実はまだ不快感はありません。
けれど煮炊きしているキッチン周りや、
陽が直接射し込んだり地面の照り返しのある窓際は、モワッと暑い。


7/10稿「​伝統構法の家の温熱環境…前半期​」で触れたエアコンを入れる目安、
この家の場合、不快指数80(やや暑い/暑くて汗が出る境界)に迫る頃というのが、
ちょうど体感的にちょうど良さそうです。

外気が最高気温に達した昼過ぎ。33℃といっても温度計は無風の日陰。
日向の体感温度は、それどころではありません!

エアコンをかけるときは、縦横自在に開けられる障子も閉めておきます。

この1間幅で全開できる掃出し窓だけは樹脂アルミ複合サッシではないので、
熱伝導率の低い障子がアルミの熱放射を和らげてくれます。
 
それと、軒が深いお陰で、昼になっても南側の壁面には日射が当たっていません。

この家の外壁は杉の無垢板と通気層と土壁だけで断熱材が入っていませんが、
文字どおりこの日陰のお陰で冷房効率がいいのです。


ところでこの時季、エアコンの電気代を節約する方法みたいな記事が、
次々と見られます。こまめに消す? 点けっぱなし?

でも考えてみると、そもそも点けないのがいちばん安くつくんちゃうん?
エアコンの稼働日数が少なくて済む家を建てるのが、
いちばん省エネでSDGsちゃうん?!

ということで昨日、梅雨明け初日の7/17(土)、
石場建て伝統構法、木と竹と土と紙の家の一日の気温と湿度を、
エアコンなしで記録してみました。

同じ階でも部屋によって多少数値が違うので、
温度は0.5℃単位、湿度は小数点以下四捨五入の、いずれも概数です。
 
(スマホの方は画面を横向きに☟表を見てください。)
       1階       2階       屋外
  7:30  27.5℃/65%  27.5℃/60%  27.5℃/64%
12:00  29.0℃/60%  30.0℃/60%  31.0℃/55%
14:30  31.0℃/55%  31.0℃/55%  33.0℃/50%
18:30  30.0℃/55%  31.0℃/55%  31.0℃/55%
21:30  30.0℃/55%  31.0℃/55%  29.0℃/55%

一昨日7/16は曇りがちだったので、一日中エアコンなし。
昨日7/17朝は、障子を開けると朝陽が家の中に射し込み、すごい蝉の大合唱!
暑い一日になる予感。

強烈な朝陽が射し込む東の窓に、さっそく簾をかけました。

障子に映る影がなかなか美しい。
これで日除けも兼ねて、お向かいさんの視線も気にならず、窓を全開できます。


上の一覧を参照していただくと、
日中は屋外に遅れて室温が上がり始め、最高は外気温-2℃。
それ以降、日が暮れて外気温が下がってきても、ほぼ一定です。

湿度は、よく晴れてどんどん下がっていく外気に対し、
室内はずいぶん遅れて、昼下がりにようやく外気と同じぐらいになって安定。

木地表し無垢材と土・土漆喰壁の温熱環境の特性が、
如実に表れているといったところでしょうか。
まさに素材のもつ蓄熱性ゆえの、緩やかな変化だと言えるでしょう。

最高室温だった31.0℃/55%の不快指数は、80.4(暑くて汗が出る)、
それ以降の30.0℃/55%は79.1(やや暑い)。80が数値上の境界。

それなのに、なぜエアコンなしで過ごせるのか?

もちろん扇風機は点けています。けれど、炊事はしていません。
煮炊きをすると、やはりかなり暑く感じます。

やはり通風が、大きな要因だと思われます。

外からの視線を自在障子で遮りつつも、窓は全開。
上の方だけスリットシャッターを下ろしています。

昨日は一日中、南東~東の風、風速5m/sほど。
「やふぁやふぁ」とそよ風が窓から入ってきます。

ここで、私の大好きな沖縄の歌「​うりずんの詩(ウタ)​」・・・私の三線の師匠の唄三線でどうぞ♪ 

yaimatime.com

(☝click)
うりずんのごと(=如)に肝心持てば(ウリズンぬぐとぅにチムグクルむてぃば)
〽 浮世荒波も糸(=絹)の上から(ウチユあらなみんイトゥぬうぃから)
〽 サーうりずんの風よ(さーウリズンぬカジよ)
〽 やふぁやふぁと吹けよ(ヤファヤファとぅふきよ)
うりずんというのは、沖縄の立春から梅雨入りまでの時季のこと。
最高気温は30℃近くに達しますが、やふぁやふぁと吹きぬける風は心地いい。

そんな風が、昨日は一日じゅう家じゅうを吹き抜けていたんです。
枚方の​卓越風(※)​は南東の風。
この家は東南から北西に風がよく抜けるように窓を配置してあります。



家の温熱環境や心地よさは、決して温度/湿度、不快指数だけで言い表せるものではありません。
吹き抜ける自然のそよ風の風量は、扇風機の比じゃない!
外の風を採り込むことで、31.0℃/55%でも、蒸し暑くは感じないんです。

そして日暮れ。
外と家の中の温度湿度はほぼ同じなのに、窓際は風を直にかなり涼しく感じる。
窓辺の夕涼みの絵そのまんま。日本の夏って感じです。


夜9時になり、さすがに街中なので、リビングの窓を閉めました。
すると、室温も湿度も変わらないのに、だんだん暑く感じられます。
これを書いている書斎窓際のカウンターデスクは、窓からのそよ風で涼しい。



ただし! ・・・

いくら木と土の家でも、エアコンなしでこう言ってられるのは、
こまめに窓の開閉して採風を調節するというのが前提としてあります。
これをメンドクサイと箱に閉じこもっていたいタイプの人には向かない。

それと、春から夏にかけて体を暑さに慣れ(暑熱順化)させてきたからこそ。
今の段階でエアコンの冷気に体が慣れてしまっていては、こうはいかないと思います。

あと、基礎代謝の問題。
なんだかんだ言っても暑がりの人はやっぱりいるもんで、
体温が湧いてくる体質、体温がこもる体質の人は、無理しない方がいいでしょう。


ただ、体温調節しているのは、脳の機能。
そして汗腺の機能も、子どものうちにつくられるもの。

そういう意味では、エアコンに頼らざるを得ない機械仕掛けの家にこもっているようでは、
子どもの成長への影響​が気になります。


エアコンを使うのを控えようと言っているのではありません!

温熱環境の向上のために新機軸を開発しなくても、
高気密高断熱や機械仕掛けに頼り切らなくても心地いい健康的な家が、
日本の伝統的な家づくりの中で既に確立されていることに目を向けようって話し。

7/15稿「​木と土の家に住まう…​」で、木の家ネットの日高さんのお話しに触れたように、
空気加工による快適さだけではなく健康の観点からも、
温熱環境を考えてみてはいかがでしょう。

日本の伝統的な家には、欧米の外界と閉ざされていることを旨とする家と違って、
外に向かって開かれていて外と繋がっているという哲学があるように思います。

こうしてここに暮らしていて、
日高さんのおっしゃる「​暮らしの哲学に応じて選択できる仕組み​」が望ましい・・・
それを実感しています。


今日の話しに戻って・・・。
午後、最高気温33℃、室内はエアコン(除湿/弱)のお陰でずっと29℃。

ウチの老犬を連れて動物病院に入ったら、寒い!
エアコン、26℃設定? いや24℃設定ぐらいか?
働く身としては、これくらいがいいのかな? それにしても、この温度差はこたえる。

診察が終わって外に出ると、一天にわかにかき曇り、稲妻と雷鳴。
スマホを見ると、今31℃らしい・・・陽射しがなければこれくらいがホッとする。

帰路、バケツをひっくり返したような大粒の土砂降り。
昨日と違って窓を閉め切ってエアコンをかけといて出かけて良かった!

帰宅したら外は実測29℃。涼しくなったようだが、湿度は70%で蒸す。

絵に描いたような夕立。

でも、ま、これで焼けたアスファルトも屋根瓦も冷まされた。
絵に描いたような夕立。

でも、ま、これで焼けたアスファルトも屋根瓦も冷まされた。
これぞ、日本の夏!というものです。


明日も暑くなりそう・・・
枚方の天気予報は晴。最高気温・・・えっ?・・・3・・・37℃ぉ!
 

伝統構法 … 木と土の家に住まうとはどういうことか ~ 木の家ネットYouTubeリレートーク

今日も雨が降ったり止んだりでしたが、朝は結構涼しかったので、
試しに家中の窓を空かしてエアコンなしのまま夕方に帰宅したら、
室内はだいたい28℃/70%ぐらい(不快指数78ぐらい…やや暑い)。

枚方は最高だいたい31℃/90%だったので、この数値は御の字じゃないかな。
梅雨の間、日中は原則エアコン除湿弱設定にしていたのですが、
もし原則エアコンなしで過ごしても案外イケてたのかもしれません。

昨日まであった梅雨前線が今日はなくなっているので、来週には梅雨明けを期待。
さあ、本格的な夏到来! 
これから無垢の木と竹と土と紙のこの家は、どうなるのでしょう?!


ところで、昨日7/14付のデイリー新潮に、こんな記事がありました。



(以下、本文を抜粋)
> 著書『森林で日本は蘇る―林業の瓦解を食い止めよ―』で、
> この伝統木造の価値を説明する白井裕子・慶應義塾大学准教授はこう語る・・・
>
>「(中略)ドイツ、オーストリア、フランスなどでも日本の大工棟梁への賞賛を聞くのはいつものことです。
> むしろ日本よりも海外のほうが真っ当な評価をしているとすら思います」
>
> なぜ「日本よりも」というのか。実は当の日本では、
> 伝統木造が継承の危機に瀕しているからだ。白井氏はこう続ける・・・
>
>「(中略)伝統木造は、木の性質を生かして建てる建築です。
> 木が持つ性質をできるだけ生かす使い方を増やすことで、
> 木の価値が正当に評価され、山林にもお金が還っていくのです。
> 現在、増えている木材需要は安い木ばかりを求め、
> そこだけ増えても持続性は得られません。
>
> 伝統木造が継承されていくことで、我が国全体の木造の技能、
> そして住文化が発展していくと思います。過去のものではなく、
> 今でも伝統木造を知り、伝統木造を建てたい人、建てられる人もまだいます。
> 我が国の強さとして世界に打ち出せるものの一つだと思います。
> しかし、現在の法制度などは、日本の強みを生かすことに積極的とは
> とても言い難く、残念に思います」

まったく私もその通りだと思います。
石場建て伝統構法の家に実際に暮らしてみて、快適性も満足度もこの上ない。
けれど、繰り返し述べているように、建てるハードルが高過ぎる。

そんな伝統構法の家が再び市民権を得て、一般的な選択肢の一つになる・・・、
そうなればいいなぁと、こうして住まい手の立場で情報発信しているのですが・・・。


 ​(☝2020/9/2)​

さて、
5/8稿「​…本来の日本の家づくりへ~​」や​
6/17稿「​…みんなで考える本来の家づくり~​」で触れたように、
こんどのウッドショックを機に、
日本の林業や木造建築についての関心が今さらながら改めて高まっています。

そして、伝統的な技法を駆使した木組みの家の普及と啓発に真摯に取り組む
職人・建築家・工務店などのネットワーク「​(一社)職人がつくる木の家ネット​」が、
YouTube​で​リレートーク​を始めているのが面白いとご紹介しました。

その前々回、6/30にライブ配信された「​日本の民家に住む理由​」と
ライブではなくアーカイブとして見てみました。


まず「​日本の民家に住む理由​」は、
伝統構法の自宅をご自身で設計し実際にそこに暮らしてらっしゃる
設計事務所nona​(北名古屋)代表の柴田亜希子さんのお話し。



建築士という専門家の立場の方ではありますが、
住まい手ご自身としての実感が語られるということで、
建てる側の大工さん発信ではない(しかも男目線ではない)興味深いものでした。

まずおっしゃったのは、暮らしやすさは当然のこととして、
長時間そこにあり続ける建築、街並みを担うという意味、そして、
次の知らない人に引き継がれても大切に使われるような建築であってほしいと。

まさにこれ、7/3稿「​黒い家ってどうよ・・・​」で述べたことに通じるもの。

そして、伝統構法の家、いわゆる民家に住まう良さを、
かいつまんで言うと次のように話してらっしゃいました。

気候風土に合った家、
メンテナンスしやすい家、
雨漏りや地震の傷みなどにすぐに気付ける家、
経年変化を楽しめる家、
そして、美しい家・・・など。



居住環境としては、
日射しや、無垢材と土壁による蓄熱や調湿や、障子で快適。
家中の空間がつながっていて通風も確保され、夏も冬もエアコン1台で済む。
窓からの採光で明るいうちは照明は点けないでもよく、採風が効率よくできる。
石場建てならではの縁の下で澱まない通風が心地いい・・・など。

住まいのあり方としては、
特に和の建築にしたかったというわけでなく、
木や土の素の材だけでつくられている室内には何でも合うとのこと。
足るを知る暮らしに移行していった・・・無ければ無いで不自由はないと。

またキッチンや洗濯干し場など、女性としての視点でも述べられていて、
調理の匂いも、トイレにも匂いが残らないこともにも触れてらっしゃいました。

さらに、住んでみて良かったこととして、
子どもが素材に直に触れる機会になったことや、
ゴミの事や環境のことなどを自分の事として考えるようになったことを挙げてらっしゃいました。



最後に、デザインに凝るという以前に、
構造が見えている仕上がりが家として当たり前の姿だと。

簡易に過ぎるまとめ方なんで齟齬があればご容赦いただきたいところですが、
ぜひ​YouTube​をご覧になり、また補遺としても、
nonaのブログ​もお読みいただければと思います。

まさに私たち夫婦が石場建て伝統構法の家で暮らし始めた実感が、
ぜんぜん別の家なのに、まるでそのままに語られているようで、
本当に嬉しくなりました。
きらくなたてものや​(鎌倉)代表の日高保さん。
木組み土壁の家に自分で二十数年間くらしていて、それを踏まえた施工のお話し。

とっても凝った障子や網戸の紹介をしてらして、私たちの家も同様に
工務店を通して腕のいい建具職人との出会いがないとできないことですが、
これって今の家に欠けているとっても大切なことだと思います。

そして、実際の測定値を元にした温熱環境のお話し。
木と土の家の特性は・・・

夏:外気26~32℃ / 室内27~30℃
冬:外気  2~  8℃ / 室内12~20℃

・・・だとのこと。
神奈川と大阪はどちらも省エネ基準地域区分6で大差ないのですが、
我が家もだいたいこんな感じです。

実感として、温度変化がゆるやかだということ。
機械頼りの断熱性ではなく、土壁の特性が如実に表れているようです。
光熱費もデータを挙げて、一般的な平均値の約6割とのことでした。

自分が住んでいる地域の気候風土の実体感を踏まえて、
それを活かせる地域で設計・建築してらっしゃる・・・。
これはまさに、私たちが地元の工務店にこだわったわけでもあります。

その上で、身体という視点で
「快適」と「健康」についての問題提起。
これについても、全く同感!


以前いつかの稿に書いたと思うのですが、ある新築建て主のブログで読んだ一文
「高気密高断熱でエアコンが快適で、欠点を強いて言えば子どもが寒がりになったことかな(笑)」
・・・これって、いちばんアカンやん!!

快適かということより、健康かという観点。
 
その観点で言うと、冒頭の我が家のエアコンなしでの室内環境、
28℃/70%ぐらい(不快指数78ぐらい…やや暑い)は、
暑熱順化してない体には暑いだろうけど、暑熱順化してれば風があれば普通に快適なのです。

そこから高齢者の入浴中のヒートショックのことに話しが及び、
実際は違うのではないか・・・とも。

これについては既に否定的な研究結果が出ている​​のに、
意図的に喧伝されているようで、私もどうかと思っています。
※「高齢者入浴中の事故、熱中症8割超 ヒートショックは1割未満」
  2019/7/8 産経新聞

​​

そして、こう問題提起されています。

ゆるやかに環境が変化する木と土の家で、空気加工に頼らず、
ほどほどに暑さを楽しみ、ほどほどに寒さを楽しむ。
省エネ化に向けて、この選択肢があってもいいのではないか。



私もこうしてブログを書き綴っているのは、
石場建てや伝統構法や木組み土壁の家でないとダメだということではなく、
そんな選択肢が普通にある家づくりであってほしいと思うからです。

その意味で、
隅っこに追いやられている伝統構法が、もっと復権するといい・・・
日高さんの主張に私の思いを重ね合わせるのでした。


明日2021/07/16(金)21:00~21:50の木の家ネットのライブ配信
「​住みつなぐ暮らし​」

だいかね建築(綾部)金田克彦さんのリレートークも楽しみです!

伝統構法の家の温熱環境 … 前半期 ~ 無垢材の家の心地よさと省エネ性能

​​​​​​​​​​​​​​​​無垢の木と竹と土と紙のこの家。
暮らし始めて半年が経ちました。

1年で最も寒い時季から最も蒸す時季まで、
これまでブログでこの家の温熱環境にちょくちょく触れてきました。
この稿では、それらを記録の意味で抜粋し、まとめてみました。

もちろん家の心地よさは、温熱環境だけの問題ではありません。
五感全てで感じるもの。視覚・触覚・嗅覚・聴覚、素敵なキッチンで味覚も?
さらには第六感に響くものさえ感じる心地よさのこの家ではあるのですが・・・。

 
さて、再度この家の仕様・・・。

断熱材・・・。

フォレストボードを、燻防災瓦屋根裏に60mm、40mm厚無垢杉床下に90mm。

壁は断熱材なしで、外壁は杉無垢板30mm/通気層と、内壁は壁土・土漆喰だけ。

窓・・・。
Low-E複層ガラス樹脂アルミサッシに、
障子の組み合わせ(滑り出し採風窓以外すべて)。

空調・・・。
エアコン、1階の床置型と2階の小屋裏壁掛型それぞれ14畳用2台を、
時季によって1台ずつ稼働して全館空調。
予備にガスストーブと扇風機と寝室に6畳用エアコンを、限定的に使用。

断熱性能の数値・・・。
UA値もQ値も計算していませんが、C値は実測4.68cm²/m²。
数値上はH28年省エネ基準目標の5ギリギリで、
決して超高気密高断熱の家ではありません。

それで実際に暮らしていて、
外皮の蓄熱性能と、そこそこのC値が功を奏しているのかもしれませんが、
心地よさは数値が全てを表しているわけではない!と実感させられてきました。
​​
​(冬の日射取得)​

 1階の1台だけで22℃設定、家じゅう寒くない。
 2階が16℃ほどにしかなっていなくても(温かくはないけれど)寒くはない。
 (前の家では、エアコンで20℃になっていても寒さを感じる。)

 大寒波襲来、初雪の積もった1/11~12。
 日中エアコンで20℃にして夜に暖房を切り、
 丸1日後の夜はまだ10℃ほどまでにしか下がっていなかった。

 そしてそのまま暖房せずさらに翌13日の晩、
 7度ほどに下がっていましたが、肌寒くても寒くない・・・
 心地いい寒さというのか、何とも言葉にしようがない。
​​
​(玄関からの風通し)​

 暖房はずっと1階の床置きエアコン1台だけで22℃設定のまま、
 老犬のために24時間点けっぱなし。

 2/18、朝8時の外気温0.3℃。この冬一番の冷え込みといっていい日。
 ガスストーブを寝起きの半時間ほど点ける。
 1階床上の室温は19℃。寒いかというと、そうでもない。

 これだけエアコンを点けっぱなしにしていても、
 湿度が40%を下回ることはない。

 トイレは暖房をしていないのに、いつも17~18℃。
 湿度が50%以上あるので、寒さを感じない。

 南面する掃き出しの窓際は、障子の実力発揮。
 障子の際の室内側は14℃、障子とLow-eペアガラスとの間が9℃。

 この冬ずっと24時間家中ほぼ18℃~20℃、湿度40~50%。
 不快指数は、18℃/40%で62.3(何も感じない)。
​​
​(機械に頼らない窓からの換気)​

 3/29夜9時 室温は21.1℃
 3/30朝8時 室温は20.5℃ 外気温は14.5℃。
 3/30夜9時 室温は21.1℃ 外気温は17.1℃。
 3/31朝8時 室温は20.5℃ 外気温は12.6℃。
 3/31昼2時 室温は19.9℃ 外気温は23.0℃。

 湿度は、室内は連日ずっと50%超え・・・外気が25%ほどと乾燥しても。
 外気の変動にほとんど影響されず、一定の室内環境を保っている。

 気候風土適応住宅に該当する仕様の家なので、
 24時間換気義務適用外でそんな換気システムは設置なし。
 卓越風を考慮した窓配置により、十分な換気ができている。

以降、4月~6月の3か月間は、
エアコンをほぼ全く使用していません。
​​
​(障子による日射と通風と視線の調整)​

 4/25、13時、外気温23℃突破、湿度22%まで乾燥。
 室内は窓を全開放していても22℃台、朝から1℃ほどしか上がらず。
 湿度36%で、閉め切ったいつもの夜の41%ほどから大きくは下がっていない。
​​
​(雨の石場建て)​

 早くも5/16には、近畿地方は梅雨入り。
 一日中よく降っていた5/17、外気温19℃台~25℃台、湿度は80%ほど。

 室内は、このところずっと24~26℃台。
 窓を一日中すかしておいて湿度65%台。
 (雨でも、閉め切って気密を保つなんてことはしていない。)

​ 不快指数75弱(ギリギリ「暑くない」範疇)。実体感的には「心地いい」。
 4月以降ずっと、晴れても降っても全くエアコン要らず。
​​
​(梅雨…雨が降っても)​

 6/4、雨天。18時ごろ、外気温22℃ほど、湿度80%ほど。
 日中はずっと窓を少し空かしておいた状態で、
 1階室温24.5℃ほど、湿度65%ほど。
 2階室温25.5℃ほど、湿度55%ほど。

 それから家中の窓を全開し外気を入れて20時ごろ、
 屋外は温度湿度とも変化なし。
 1階室温22.5℃ほど、湿度75%ほど。
 2階室温25.5℃ほど、湿度60%ほど。

 外の空気が一気に入ったので1階はかなり涼しくなり。
 そして湿度は少し上がって、それきり安定。

 不快指数70~73ほどで「暑くない」の下限近く。
 「快い(65~70)」の範囲ではないが、
 実体感として不快感は全くない。
​​
​(自然素材は老犬の寿命を延ばしている?)​

 最高気温は連日30℃超え。
 でも、日中は対面する窓を開けて通風を確保しておくことで、
 最高室温は27℃ほどで収まっているので、まだエアコンは不要。

 夜は気温がまだちゃんと20℃ほどまで下がるので、
 格子窓を空かしていれば屋外と屋内の温度差で外気が入ってきて、
 暖かくなった室内を冷ますことができる。
​​
​(西の窓から風を採り入れ西陽を防ぐ)​

 今日6/21は夏至
 14時過ぎ最高気温32℃。空調なし窓全開、室温は26℃ほど。
 18時ごろは外気温28℃ほど、2階室内も窓全開で28℃ほど。
 外から爽やかな風がそよぎ、エアコンも扇風機も無しで快適。


7月からは、3か月ぶりにエアコン空調を再開しました。

≪7/3稿≫
​​
​(夏用の2Fエアコン:冬用は1F床置き)​

​ 7/2、最高気温28℃、湿度90%超え。
 外気を入れても涼しくないので、ほぼ3か月ぶりにエアコン稼働。
 夏場は2階の天井エアコン1台、当面「除湿/弱」設定で全館空調。

 外は最高気温31℃湿度70%。
 室内は一日中、家じゅう26℃ほど、湿度57%ほど。
 不快指数は73.9(暑くない)だが、体感的には~70(快い)って感じで過不足なし。

 エアコンの及ばない玄関土間もWCも、26℃/65%程だったので、
 エアコンなしでも不快指数は74.7「暑くない」で、
 これなら扇風機だけでも大丈夫だったが・・・。


昨日7/9の雨上がりの朝、今年になって初めて蝉の声を聞きました。
まだ梅雨は終わっていませんが、夏本番の到来を感じさせられます。

今日は、久しぶりに一日中雨が降らず、時おり陽射しも。
最高気温31℃、湿度79%。
不快指数84.4(暑くて汗が出る)、85~(暑くてたまらない)寸前!

こんな日は、窓を開けて風を入れるとかえって不快。
空調なしの玄関やトイレは日中ずっとほぼ27.5℃/65%前後で、不快指数77(やや暑い)ほど。
窓を閉め切って扇風機を点ければまだ何とか過ごせないこともありません。

けれど、27.0℃/50%で不快指数74.4(75が暑くない上限)なので、
これを一応エアコン稼働の目安にしています。
いや、29℃/70%で79.9(80がやや暑い上限)なので、それを目安にしてもいいかも。

このところずっとこんな感じなので、夜中以外は「除湿/弱」で、
家中ずっと27℃/55%、不快指数75(暑くない/やや暑い境界)前後でほぼ一定。
ちょうどいい心地よさです。

外気との差が大き過ぎるのは体に良くないので、これ以上冷やさない方がいい。
というか、ほんとはもうしばらく空調せず扇風機程度で過ごして、
夏本番に向けて体を暑さに慣らした方が健康的なんですけどね!

でも、ZEHだのHEAT20だの機械に頼った高気密高断熱住宅でなくても、
無垢材・土壁の伝統構法の家でも、
現代に求められる省エネ性能は事実上十分満たせるというのが、暮らしていての実感です。

これからの時代、最先端の住宅建築として高く評価されていいんじゃないでしょうか。
伝統構法の温熱環境が科学されることが期待されます。​​​​​​​​